はじめに
東京都内には、着工から40年以上が経過したマンションの戸数は、平成25年末時点では、約12.6万戸ですが、建替えが進まなければ、10年後の平成35年には約3.4倍の約42.8万戸にまで急増する見込みとなっています。
また、平成25年の住宅・土地統計調査によれば、世帯主の年齢が65歳以上の割合は29.9%であり、前回平成20年調査の23.5%から大きく増加しています。
このように、「建物の老朽化」と「居住者の高齢化」という「二つの老い」が進行しています。
今後、人口・世帯数が減少局面を迎え、社会全体の高齢化も一層進むと見込まれる中、空き家住戸の増加や、管理に無関心な居住者の増加、役員の成り手不足などにより管理組合の機能低下等が起こり、建物の維持管理や建替え等について合意形成が進まないなど、管理不全に陥ってしまうマンションの増加が懸念されています。
施策の基本的な考え方
マンションは私有財産であり、その維持管理は、管理組合で自らの責任で適正に行うことが基本です。
一方で、マンションは、個人の私的生活の場にとどまらず、まちの活力や魅力、防災力の形成などとも密接に関連しているなど、地域のまちづくりやコミュニティ形成にとっても大変重要な存在となっています。
このため、マンションの適正な管理や再生を促していくことは、公共性・公益性の観点からも重要であり、行政が適切に関与していく必要があります。
こうした考え方を踏まえ、
① マンションの適正な管理の促進と、
② 老朽マンション等の再生の促進、
の2つを大きな施策の柱として積極的に施策を展開していくこととしています。
東京都都市整備局住宅施策推進部マンション課長 小林 秀行