大規模修繕

読者からの投稿より

私が住む築30年の超高層マンションでは、2回目の大規模修繕を2020年に行い大問題に直面した。

設計事務所などを間に入れて実施しようと考えたが、超高層マンションの大規模修繕に対するノウハウを持っているところはなく、安心して頼める会社がなかったのだ。

費用は想定以上に大きくすべての補修ができなかったため、残りの工事費用をどう工面するのかで話し合いを続けている。

こうした問題は他でもあるのではないか。

超高層マンションがどのような体制で大規模修繕を実施しているのか、修繕積立金の額などを調査し掲載してもらいたい。

これから大規模修繕工事を迎える超高層マンションは多く、このままでは社会問題になるだろう。

| 2021年8月07日 | カテゴリー 大規模修繕 

タワマンのリスク

まずは、「タワマン」の定義とは

高さ60メートル以上の建物を超高層ビルと呼び、そのうち住宅用がいわゆるタワマンだ。

高さ60メートル以上は20階に相当することが多い。

住宅業界では60メートル未満(つまり19階建て以下)のマンションを「板状型(ばんじょうがた)と呼ぶのが一般的だ。

タワマンの大規模修繕は板状型に比べて時間がかかり、ひいては費用が高くなる。

タワマンの大規模修繕工事にかかる費用は板状型の約2倍だ。

1戸当たりの費用は板状型なら100万円、タワマンは200万円以上かかってします。

板状型の建設現場では、型枠にコンクリートを流し込むなどして1階分を造るのに約1カ月要る。

一方、タワマンの現場では、作業の多くは工場で製造した戸境壁や外壁を次々とはめ込むことだ。

作業が早く進み、1カ月で2階分できる。タワマンの外壁は造るのは早いが、補修が大変なのだ。

| 2021年8月05日 | カテゴリー 大規模修繕 

ますます重要になる総合的建物管理の必要性

 菅対協では、この問題、建物管理については、計画修繕と日常管理を従来のような施行会社と管理会社に別々に発注するのではなく、計画修繕を発注する施工業者に日常管理も発注する総合的建物管理を推奨してきた。

 技術力があり、モラルも高い施工業者であれば、建物のことも、修繕工事の内容もよく分かっているので、管理組合と共同で計画修繕も日常管理も含めた総合的な建物管理を行うことが最も合理的である。

 そしてそのような信頼関係の強い施工業者と管理組合が共同で建物管理に取り組むことによって、管理会社やコンサルタントに頼らず、したがって利益構造に組み込まれることもなく建物管理を行うことができる。

| 2021年7月23日 | カテゴリー 大規模修繕 

悪質コンサル問題が続く原因

 悪質コンサル問題の根っこにある問題は、自立できていない管理組合の依存体質と営業力の弱い工事業者の問題に行きつく。

 営業力の弱い業者は、工事の依頼情報などを独自に収集する能力を持っていない。

 そうした修繕工事の発注に関する情報を、専ら管理会社に依存している。

 一方、管理会社は、大規模修繕などの情報を持っていることを武器に工事業者とつながり、利益を得る構造を作っている。

 この構造にコンサルタントが絡んで、マンション修繕工事の一つの受発注構造を作り上げている。

 現在、マンション大規模修繕工事は、このような管理会社・コンサル事務所・施工業者が一定の受注・発注構造を作り上げ、そこに管理組合がはめ込まれているのが実態である。

 ここに実際に必要な工事費以外に様々なお金が動く、このようにして修繕工事の利器構造が出来上がっている。

| 2021年7月20日 | カテゴリー 大規模修繕 

住宅金融支援機構からのお知らせ

『マンションすまい・る債』は、マンション管理組合が行う修繕積立金の計画的な積立てや、保管・運用をサポートするための債権です。

2021年度応募受付を開始します。

2021年度応募受付期間(予定):4月中旬~10月中旬

住宅債権専用ダイヤル:0120-0860-23

機構ホームページ:https://www.jhf.go.jp/loan/kanri/smile/index.html

 

| 2021年4月17日 | カテゴリー 大規模修繕 
住宅金融支援機構の「マンションライフサイクルシミュレーション~長期修繕ナビ~」で不安解消を!

 「マンションライフサイクルシミュレーション~長期修繕ナビ~」は、2020年9月に住宅金融支援機構のホームページに公開し、管理組合の皆様が無料で利用できる環境を整えておりますので、是非ご活用いただければと思います。

 早くから手を打てば、将来が楽になるはずです。

 本シミュレーションの利用が、長期修繕計画や修繕積立金の徴収計画を見直すきっかけとなったら幸いです。

 マンション管理については、無関心でいることで損をしていることがたくさんあります。

 管理組合の理事は大変だからやりたくないと思う人が多いと思いますが、運悪く(笑)理事になられた場合は、私がやらなきゃ誰がやるという気持ちで取り組んでいただきたいなぁと思います。

 もちろん私も情報格差の改善に向けて頑張るつもりです。

 全国の理事さん ファイト!

| 2021年4月15日 | カテゴリー 大規模修繕 

「マンションライフサイクルシミュレーション~長期修繕ナビ~」の機能

 機能としては、自分が住むマンションの所在地や新築年、住戸数、予定される工事の内容、修繕積立金の徴収額などを入力すると、同じ都道府県に建つ、同じ築年数、同じ規模のマンションの平均的な大規模修繕工事費用が示されるようになっています。

 その金額と施工会社から提示された見積書を比較し、金額差の要因について施工会社に説明を求めることで、工事内容及び工事金額に対する納得感を高めながら大規模修繕工事を進めることができます。

 また、今後の大規模修繕工事費の負担額の推移や、現状の修繕積立金徴収計画のままで過ごした場合の修繕積立金会計の収支なども試算できるようになっています。

 築30年以降に給排水管の更新などが発生し、赤字に転落する管理組合も少なくないと聞きます。そのためシミュレーションの試算期間は40年としています。

 さらに、現状を踏まえた改善提案も行えます。修繕積立金の引き上げや修繕積立金が不足する場合のローンの利用提案のほか、住宅金融支援機構が扱う「マンションすまい・る債」で余剰金を運用した場合の受取利息などが提示されます。

 試算期間は40年としていますので長期修繕計画より更に先の状況を確認することができます。

| 2021年4月13日 | カテゴリー 大規模修繕 

管理組合の「3つの不安」の解消へ

 大規模修繕工事費のシミュレーションを作成するのにあたり、私が管理組合の理事を務めた際に感じた不安を改めて整理してみると、大きく3つに集約されました。

 1つ目は、大規模修繕工事の金額が妥当かどうか判断する材料がないことです。

 複数の施工会社から見積書を提示されても、管理組合は専門家ではないため、何を基準に比較検討すればいいのかよく分からないし、比較しようとしても比較対象が存在しないという状況にあります。

 2つ目は、修繕積立金が不足し、大規模修繕工事が予定通り行えなくなる不安です。

 資金不足になれば、大規模修繕工事を先延ばしするか、予算の範囲で修繕するかといった決断を迫られることになりますが、その対処方法が分かりません。

 3つ目は、将来的に修繕積立金がどこまで上昇するのかといった点です。

 長期修繕計画は長くても30年程度の期間について作成されるのが一般的で、そこから先のことは示されていません。

 この3つの不安は、私だけでなく、管理組合が抱える共通の不安だと思います。こうした不安の解消につながるツールとして作成されたのが、「マンションライフサイクルシミュレーション~長期修繕ナビ~」です。

| 2021年4月10日 | カテゴリー 大規模修繕 

高経年マンションと長期修繕計画

 国土交通省の発表によると、平成28年末の時点において、築30年を超える高経年マンションは全国で172.7万戸を超え、今後も増え続けることが指摘されています。

 高経年マンションでは、部材や機器類の物理的な劣化に対応するものだけではなく、生活様式の変化や生活水準の向上に対し、新築時の建物や設備の性能が対応できなくなる「社会的劣化」の改善も求められてきます。

 省エネや機能向上を目的とした改良工事も計画修繕としてとらえ、計画に盛り込む必要があるでしょう。

 社会的な劣化に対する改良・改修工事は、その実施時期を判断することに明確な基準はありません。

 いつ計画し実施するのかは、管理組合によって様々です。

 そして、大幅な改良工事を検討する中でよく話に出るのが、建物全体の「寿命」です。

 「建物の寿命を60年と想定すると、築50年目に1住戸当たり100万円をかけてアルミサッシを更新するのはもったいないのでは」といった内容です。

 一方で「建物を100年以上持たせることができれば、50年目に計画するのも妥当」という意見も聞きます。

 耐震性の確保が技術的に難しい場合や、設備の改善が構造的に困難である場合を除けば、長期修繕計画上では、建物を100年以上持続させることを前提に見直していくべきと考えます。

 建物を解体するには、大規模修繕工事1回分以上の工事費がかかるともいわれています。

 少なくとも、建替えを想定して、その時期には積立金がゼロになっても構わないといった長期修繕計画の見直しは避けるべきでしょう。

(著)一般社団法人 マンションリフォーム技術協会 水白 靖之

岡管連から

 大規模修繕工事の負担金として、戸当たりの目安として、100万円超の金額が想定されています。

| 2018年3月29日 | カテゴリー 大規模修繕 

専有部分に係る工事と長期修繕計画

 排水管も、その材質が鋼管などの場合、腐食や汚損によって取り換えが必要な時期がきます。

 また排水管の場合、専有部分である住戸内の壁の内側に、「パイプスペース」と呼ばれる空間を設け、共用の排水竪管を通している建物が多く見られます。

 壁の中にある排水管を取り換える場合には、専有部分である内装材を解体・復旧する「道連れ工事」が発生します。

 道連れ工事は管理組合負担で行われる場合が多いので、内装工事の範囲(例:洗面所全体を対象とするのか、配管工事に必要な壁の一部分のみとするのか等)や、内装材のグレードによって工事の費用は大きく変わってきますので、検討が必要です。

 また、マンション全体の維持管理面やコスト面から、共用部分の配管設備工事に合わせて、床下にある給水管など個人負担である専有部分内の配管の改修工事も同時に実施することもよく行われています。

 専有部分の維持管理(修繕工事の実施)と費用は区分所有者の責任と負担ですが、このルールを知らずに、そのための「備え」をしてこなかったことから、専有部分の工事が実施できず、下階住戸への漏水事故を生じてしまった事例もあります。

 更新工事が必要な配管材を使用しているマンションでは、築20年目を過ぎてからの長期修繕計画の見直しの際には、大規模修繕工事と同時に行う専有部分の工事の必要性と費用負担について、十分に検討し、全区分所有者への報告と説明が不可欠といえるでしょう。

(著)一般社団法人 マンションリフォーム技術協会 水白 靖之

| 2018年3月27日 | カテゴリー 大規模修繕