管理不全マンション

国土交通省は、2月28日、マンション管理適正化法等一部改正が閣議決定されたことを公表した。

主な概要は、以下のサイトをご覧ください。

http://www.mlit.go.jp/report/press/content/001330502.pdf

| 2020年3月02日 | カテゴリー 管理不全マンション 

自治体が指導可能に/国交省方針

 老朽化した分譲マンションが今後急増するのを見据え、国土交通省は22日、自治体が適正管理を指導できるようにする方針を固めた。

 関連法の改正案を今国会に提出する。新制度の創設時期は未定。

 国交省によると、2018年末に約80万戸だった築40年超の分譲マンションは、今後20年で4.5倍になる。

 所有者の高齢化や空室の増加で、管理組合の担い手不足も深刻化している。

 自治体が管理に関与できる法的根拠をつくり、問題のある物件を把握できるようにする。

| 2020年1月25日 | カテゴリー 管理不全マンション 

タワマンに死角あり 浸水リスク、合意形成も難題/日本経済新聞10・19

首都圏中心に増えてきたタワーマンション。

新築マンション購入者の5人に1人がタワー型となるが、様々なリスクが浮上してきた。

「東日本大震災でも停電は1日だったのに」。

JR武蔵小杉駅(川崎市)近くにある築11年の47階建てマンション。中層階に住む女性(59)は嘆く。

台風19号の影響で、地下3階が浸水し電気設備が故障した。

エレベーターや排水設備が動かず、トイレも使えない状態に。給水ポンプも電動のため断水した。

このマンションは東日本大震災を機に防災を見直し、

地下3階にあった水や簡易トイレなどの備蓄品を各階に移した。

災害対策を重ねてきたが、地下は四角だった。

マンション管理コンサルタントの土屋氏は「タワマンでは大規模な配電設備が必要で、スペース確保のため地下2~3階に設置することが一般的」と指摘。

「配電装置を水密構造にするなどハード面を強化する必要がある」と話す。

浸水を防いだマンションもある。東京都世田谷区の東急田園都市線二子玉川駅周辺。

多摩川沿いのマンションでは、エントランス前に高さ1メートル20センチほどの止水板を設置。

周辺には浸水したマンションもあったが「あと10センチのところで助かった」(管理組合の理事長)。

水害の規模にもよるが、事前の対策が明暗を分けた。

| 2019年12月21日 | カテゴリー 管理不全マンション 

機能不全の管理組合外国人増、言葉の壁も/日本経済新聞10・18

日本語の資料が読めない。東京都荒川区で32戸が入る築37年の分譲マンション。

区分所有者の半数以上が中国人など外国人だ。

住民総会への参加を電話や書面で呼びかけても反応はなく、委任状も集まらない。

「管理規約が改正できず、修繕工事もままばらない」。

外部の専門家として管理組合理事に就いた別所氏は嘆く。

外国人材の受け入れが広がり、今後マンションへの居住はさらに増えていく。

外国人住民を地域の隣人、コミュニティーの一員としてどう迎え入れるのか。現場では苦慮している。

34戸のうち、約半数の所有者が外国人。

居住マナーを理解しておらず、大量の油を流して下水管が詰まるなどトラブルが頻発していた。

横浜市の築40年超のマンション元理事長、田辺氏は戸別訪問を繰り返し、マナー改善や管理費徴収に奔走。

運営を立て直すまで7年かかった。文化の違う外国人からマンション管理への理解を得るのは容易ではない。

| 2019年12月19日 | カテゴリー 管理不全マンション 

修繕費も管理人も不足 脅かされる「終の棲家」/日本経済新聞10・17

マンションが危機に直面している。老朽化が進む一方で修繕資金は不足。災害リスクも高まっている。

外国人住民が増え、管理不全が表面化。

永住希望が6割を超えるなか、人生100年時代の「終の棲家」が脅かされている。

気付いたら修繕積立金が消えていた。宮城県内にある築23年の7階建てマンション。

屋上で雨漏りが目立ち始めた5年前、工事を依頼しようと住民が修繕金を確かめたところ、

1000万円近くあるはずが数十万円しかなかった。管理会社が使い込んでいた。

「誰もチェックしていなかった」。理事会も組織せず、管理会社に丸投げ。

危機感に駆られた住民が立ち上がり、臨時総会を開催。管理会社との契約を解除した。

金融機関の融資を取り付け、防水工事にこぎ着けた。

築20年超だが大規模修繕をしておらず「このままでは住めなくなる」と自分たちで長期修繕計画を作成。

管理費を長期滞納している住民への督促も進め、管理は徐々に正常化した。

マンションの資金不足が深刻だ。

国土交通省の2018年度マンション総合調査では現在の修繕積立金が計画より少ないところは35%。

3か月以上の滞納は25%だった。積立金が不足するマンションには、管理会社が厳しい姿勢を見せる。

「財政が厳しい管理組合とは長く関われない」。ある大手管理会社の担当者は語る。

管理費の値上げを要求し、受け入れなければあっさり引き揚げるケースも出始めた。

背景には管理人不足がある。定年延長や再雇用でなり手が減った。管理人の時給は2~3割上昇。

管理会社は不採算の物件に強い姿勢で臨む。

東京・成城のマンションでは値上げを回避しようと管理人を時短勤務にし、

一時的に理事長が管理業務を担った。

NPO法人全国マンション管理組合連合会(全管連)の川上会長曰く、「管理の主体はあくまで住民

・・・・・居住者の自覚が、終の棲家の荒廃を防ぐ・・・・

| 2019年12月17日 | カテゴリー 管理不全マンション 

マンションの管理不全が話題になっています

マンションの管理不全とは何でしょうか?

 筆者の定義は、「管理組合の機能不全により建物劣化が放置されている状態」です。

 つまり、管理組合の機能不全と、建物の不全状態の2つが同時に生じている状態です。

 なぜ、住宅需要が期待できる好立地でも管理不全が発生するのでしょうか。

 その理由は、マンション管理は所有者の合意形成が求められることにあります。

 このため、以下の理由で管理組合が機能不全に陥り、それが建物劣化の放置を引き起こしています。

 第1が、投資用マンションです。

 管理会社は、マンションを分譲した会社であることが多く、倒産することが珍しくありません。

 しかも、所有者が分散して管理組合の実態がなく、倒産すると対処が難しくなります。

 さらに住むのは賃借人です。

 管理に問題があれば簡単に転居し空き家になります。

 第2が、議決権の多数を占める大口所有者がいて、しかも、それが法人の場合です。

 ここでの多数とは1/4以上で、管理規約改正などを不成立にできる割合のことです。

 倒産等により管理無関心者に転売され、利益優先で民泊等に利用されると問題になります。

 他の所有者らが管理規約の改正で対処しようとしても議決権に阻まれます。

 この他にも、火災や欠陥工事による損傷を修繕できない例、地方都市で低層階店舗が空き家になり管理費滞納が生じている例、などがあります。

(著)千葉大学大学院 工学研究院 教授 小林 秀樹

| 2019年11月13日 | カテゴリー 管理不全マンション 

管理不全予防には何をすればよいか

③地方自治体等行政対応も含めた社会システム

 現在のマンション管理の施策の対象は、主に自発的に支援を求めるだけの力量がある管理組合(良好なマンション)です。ゆえに、管理不全に陥らないように問題のあるマンション(懸念のあるマンション)や管理不全の場合(不適格なマンション)に対応できる施策が必要です。

 空き家対策特別措置法では、全住戸が空き家にならないと対応できません。ゆえに、管理不全予防や解消のために、小規模マンションを含め分譲開発時から適正な管理の初期設定をする体制の整備、管理段階では管理の状態の把握、状態によっての指導・勧告等が行える体制が必要です。

 さらに、管理不全になった場合には、改善のための費用負担を区分所有者自身が支払えるようにリバースモーゲージ制度の利用などの可能性の検討等も必要です。そのためには、管理の状態が金融・市場で適正に評価されること、さらに管理組合が経営も含めた幅広い管理を将来にわたって安定的に実施できるような法体制を整備することも必要であると考えます。

(著)横浜市立大学国際教養学部 教授 齋藤 広子

| 2019年11月11日 | カテゴリー 管理不全マンション 

管理不全予防には何をすればよいか

②管理会社や分譲会社、専門家等

 分譲会社は、マンションで適正な管理が実践できるように供給時から管理規約、集会、管理者の設定と、長期修繕計画及びそれに基づいた将来にツケを回さない形での修繕積立金の設定などの体制を整備し、供給することが必要です。

 マンションの築年数が経てば新たな課題が生じ、課題が大きくなってきます。日常的に管理組合を支援している管理会社は、管理不全に陥らないように長期的な視点に立った適切な支援をします。また、管理不全に陥った場合の支援策として、マンション管理士などが派遣されて体制を立て直すなど、新たな役割が求められています。

(著)横浜市立大学国際教養学部 教授 齋藤 広子

| 2019年11月09日 | カテゴリー 管理不全マンション 

管理不全予防には何をすればよいか

①管理組合

 管理組合は管理規約、集会(総会)、管理者の基本的な体制を整えることが第1です。理事会の継続性の維持、区分所有者の住所地の確認と確実な総会等の委任状の回収、長期修繕計画とそれに基づいた修繕積立金の積立等の取組みを始めとして、区分所有者、居住者の管理やマンションへの関心を高めること、特に、築年数が経てば計画性を大事にし、将来にわたって持続可能な管理体制を構築すること。さらにはその管理の状態が市場で評価され、若い世代が入って来たくなるマンションになるような対応・取り組みが必要です。

 気が付かないうちに体力が低下していないか、どこかに問題ないか、管理の状態を定期的にチェックし、長期的な視点からの対応を強化することです。また、小規模マンションでは地域連携等により、規模と集積の効果が発揮できる体制づくりが必要です。

(著)横浜市立大学国際教養学部 教授 齋藤 広子

| 2019年11月07日 | カテゴリー 管理不全マンション 

なぜ、管理不全になったのか?

 なぜ、管理不全になってしまったのかについて、登記を調べ居住者や近隣住民に聞いてみたところ、都市部では概ね5つのパターが見られました。

 1つ目は、マンション内の住戸を買い占めて地上げをしていた業者の倒産です。抵当権者等の関係者が多く、処分方針が決定できません。ゆえにそのまま放置されています。

 2つ目は、等価交換型マンションのように、元地主保有の住戸が多くあるマンションです。元地主所有の住戸が賃貸にされているため、所有者不在率が高くなっています。また、元地主が頑張って直接管理を行ってきたため、当初より管理組合や管理規約、長期修繕計画、修繕積立金のような基本的な管理体制がありません。それでも何とか人もマンションも若いうちはやってこられましたが、元地主が亡くなり、管理のリーダーシップを取る人も体制もないため、管理が適正に行えません。

 3つ目は、長屋型のマンションです。エレベーターがなく、低層少住戸であるため、問題があればその場その場の対応でやってきましたが、さすがに大規模修繕に対応できるだけの体制がありません。

 4つ目は、小規模自主管理のマンションです。区分所有者が住み、若いうちはみんなで手分けして管理を行っていましたが、賃貸化、空き家化、そして高齢化が進み、理事の成り手もなく、管理の実行部隊がいません。

5つ目は、小規模雑居型のマンションです。店舗区画と住戸区画で管理の合意形成が難しく、管理が行われていません。

 これらのマンションでは、当初から長期修繕計画、それに基づく修繕積立金がないため、大規模修繕が実施できず、物理的に管理不全が進行しているという点が共通しています。また、日常的に管理組合を適正にサポートする管理会社の支援体制がないことも共通しています。

(著)横浜市立大学国際教養学部 教授 齊藤 広子

| 2019年11月05日 | カテゴリー 管理不全マンション