管理組合と個人情報保護
(事例)
個人情報保護法の改正により今年の5月から管理組合も個人情報保護取扱い事業者として、適法な対応が求められると聞きました。法人化していない管理組合ですが、組合員名簿等の取扱いにどのような対応が必要となりますか。
(解説)
1 個人情報保護法の改正
平成29年5月30日に改正個人情報保護法が施行されました。これまで管理組合自体は取り扱う個人
情報の数が5,000件以下の場合が多いため適用されていませんでした。今回の個人情報保護法の改正で
5,000件の枠が撤廃されたことから、管理組合のように営利を目的としない「人格なき社団」でもこの
法律が適用されるようになりました。管理組合から委託先である管理会社への個人情報提供は、個人情報の
利用目的達成に必要な範囲であれば、本人の事前同意は不要とされています。
2 名簿(組合員名簿と居住者名簿)と管理規約
区分所有者で構成される管理組合は、法人化されている場合は、区分所有者名簿を備え置き、組合員に
変更があるごとに訂正しなければならないと区分所有法(48条の2)で定められています。法人化され
ていない管理組合でも、標準管理規約では理事長に、名簿を作成、保管し、請求に応じ閲覧させることの
義務があると規定されています(64条)。組合員名簿は、管理費等の徴収や総会の招集通知の送付先の
把握、共有名義の場合の総会の議決権数の所在の把握、確認の基礎資料として大変重要です。居住者名簿
は、役員資格として「組合員と同居の家族・・・」と規定している場合や、総会出席の代理人を「組合員
の同居の家族・・・」と規定している場合に、居住者名簿がその権限の確認の参考資料となります。また、
災害時における安否確認等や、支援などの際の基礎資料としても必要となります。
3 取得した個人情報の安全管理
管理組合が個人情報取扱事業者として、名簿など個人情報を取り扱う際には取得した個人情報を安全に
管理する必要があります。「個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データーの漏洩、滅失又は毀損の
防止その他の個人データーの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。」(個人情報
保護法20条)と規定されています。
これら名簿の扱いに関する細則を策定することも検討が必要となります。個人情報に対する注目度がます
ます高まる中で、もし個人情報を漏洩させてしますと、大きなトラブルに発展する可能性がありますので、
くれぐれも注意ください。