マンション総合調査

マンションの管理不全を防ぎ、安心居住の場に

 総合調査結果から見ると、

 第1に、初期から管理方法の設定が適切でないものがあります。経年してから大きな付けが出ないように初期からの適切な管理方法の設定が必要です。

 第2に、耐震診断・耐震改修の促進体制の強化が必要です。

 第3に、築年数が経つほど管理の質が大きく開きます。ゆえにがんばって管理しているマンションが市場で評価される仕組みが必要です。残念ながらまだ市場で管理の質への関心は低くなっています(注)。「マンションみらいネット」の更なる活用が望まれます。

 第4に、管理不全に陥らないように、築年数の経った自主管理のマンション等への管理支援体制の強化が必要です。市場のメカニズムをうまく活用し、効率的な支援体制整備が望まれます。

 第5に、築年数の経ったマンションで賃貸化が進行しており、賃借人をうまく巻き込んだ管理方法(築40年を超えると役員に賃借人が就任できるマンションが1~2割あります)や、空き家をうまく活用し、管理組合が経営を行う(築年数の経ったマンションで法人化率が高い)など、新たな管理方法の検討も必要です。

 最後に、どのマンションも長期ビジョンを持ち、多世代が共生できるマンションとなる体制を整えることが必要です。

(注)マンション購入時に考慮した項目 該当率%(重複回答)

1 駅からの距離等の交通の利便性         72.6

2 間取り                    63.7

3 日常の買い物環境               52.8

4 医療・福祉・教育などの公共公益施設の立地   39.4

5 眺望                     32.1

6 周辺の自然環境                28.5

7 建物の防犯性能                23.6

8 建物の耐震性能                23.2

9 専有部分の設備                20.6

10 共用部分の維持管理状態           11.5

11 共用施設・サービスの充実度          6.8

12 地域やマンション内のコミュニティ活力     4.0

(著)横浜市立大学国際教養学部教授 齊藤 広子

| 2019年9月03日 | カテゴリー マンション総合調査 

管理組合の運営等

1 専門家の選任理由・選任形式(新規調査項目)

  専門家を選任している理由としては、大規模修繕等の実施が43.3%と最も多く、次いで知識・

 ノウハウの不足が33.9%、管理費の滞納等への法的措置が32.0%となっています。

  また、選任形式は単発のコンサルティング業務が61.2%と最も多く、外部役員の就任

 (理事長等への就任)は4.1%でした。

2 外部役員を選任する意向・理由(新規調査項目)

  外部役員の選任意向は、検討している又は将来必要となれば検討したい意向をもつマンション

 が28.3%でした。

  検討理由は、区分所有者の高齢化が37.6%と最も多く、次いで役員のなり手不足が

 36.5%でした。

3 居住者間のマナーをめぐるトラブルの具体的内容

  平成30年度は、生活音が38.0%と最も多く、次いで違法駐車・違法駐輪が28.1%、ペット飼育

 が18.1%となっています。

4 管理費等の滞納戸数割合

  平成25年度と平成30年度を比較すると、管理費等の滞納が発生しているマンションの割合は減少して

 おり、滞納が発生していないマンションは62.7%となっています。

| 2019年8月29日 | カテゴリー マンション総合調査 

マンション管理の状況

3 月/戸当たり修繕積立金の額

  平成25年度と平成30年度を比較すると、月/戸当たりの修繕積立金の額、駐車場使用料等からの

 充当額を含む修繕積立金の総額ともに増加しており、平成30年度の月/戸当たりの修繕積立金の額の

 平均は11,243円、駐車場使用料等からの充当額を含む修繕積立金の総額の平均は12,268円と

 なっています。

4 現在の修繕積立金の積立方式(新規調査項目)

  現在の修繕積立金の積立方式は、均等積立方式が41.4%、段階増額積立方式が43.4%と

 なっています。

  完成年次別内訳をみると、完成年次の新しいマンションほど段階増額積立方式となっている割合が

 多くなっています。

5 修繕積立金の積立状況(新規調査項目)

  計画上の修繕積立金の積立額と現在の修繕積立金の積立額との差は、現在の積立額が計画に比べて

 不足しているマンションが34.8%となっています。

  そのうち、不足の割合が20%超のマンションが15.5%になっています。

6 マンションの老朽化問題についての対策

  マンションの老朽化問題についての対策の議論を行い、建替え等又は修繕・改修の方向性が出た管理組合

 は21.9%となっています。

  一方、議論は行ったが方向性が出ていない管理組合は16.6%、議論を行っていない管理組合の割合は

 56.3%でした。

| 2019年8月27日 | カテゴリー マンション総合調査 

マンション管理の状況

1 計画期間25年以上の長期修繕計画に基づき修繕積立金の額を設定している割合

  平成25年度と平成30年度を比較すると、計画期間25年以上の長期修繕計画に基づいて修繕積立金の

 額を設定しているマンションの割合は増加し、平成30年度は53.6%となっています。

2 長期修繕計画の見直し時期(新規調査項目)

  長期修繕計画の見直し時期は、「5年ごとを目安に定期的に見直している」が56.3%、「修繕工事

 実施直前に見直しを行っている」が12.5%、「修繕工事実施直後に見直しを行っている」が10.1%

 となっています。

  一方、見直しを行っていないマンションの割合は5.7%となっています。

| 2019年8月25日 | カテゴリー マンション総合調査 

マンション居住の状況

2 賃貸戸数割合

  平成25年度と平成30年度を比較すると、賃貸住戸のあるマンションの割合は減少しており、

 74.7%となっています。

  そのうち、戸数割合が0%超~20%のマンションの割合は57.6%、20%超のマンションの割合は

 17.1%となっており、いずれも減少しています。

  なお、平成30年度における完成年次別内訳をみると、完成年次が古いマンションほど賃貸戸数割合が

 20%超のマンションの割合が高くなる傾向があります。

3 空室戸数割合

  平成25年度と平成30年度を比較すると、空室があるマンションの割合は減少しており、37.3%と

 なっています。

  そのうち、空室戸数割合が0%超~20%のマンションの割合は36.1%に減少した一方、

 空室戸数割合が20%超のマンションは1.2%へ増加しています。

  なお、平成30年度における完成年次別内訳をみると、完成年次が古いマンションほど空室がある

 マンションの割合が高くなる傾向があります。

4 永住意識

  平成25年度と平成30年度を比較すると、マンション居住者の永住意識は高まっており、

 平成30年度は62.8%の区分所有者が「永住するつもりである」としています。

| 2019年8月23日 | カテゴリー マンション総合調査 

マンション居住の状況

1 世帯主の年齢

  平成25年度と平成30年度を比較すると、70歳代以上の割合が増加する一方、30歳代以下の割合が

 減少しています。

  平成11年度から平成30年度の変化をみると、60歳代、70歳代以上の割合が増加、50歳代以下の

 割合が減少しており、居住者の高齢化の進展がうかがわれます。

  なお、平成30年度における完成年次別内訳をみると、完成年次が古いマンションほど70歳代以上の

 割合が高くなっており、昭和54年以前のマンションにおける70歳代以上の割合は47.2%となって

 います。

 

| 2019年8月21日 | カテゴリー マンション総合調査 

はじめに

 全国の分譲マンションの戸数は平成30年末時点で約655万戸と推計され、国民の1割以上が居住する、重要な居住形態となっております。マンション総合調査は、マンションに関する情報の収集、分析、提供により適正な維持管理を推進すべく、これまでに講じられてきたマンション管理に関する施策の効果の検証、今後必要となる施策の検討、管理組合・区分所有者が求める情報の提示を行うための基礎的な資料を得ることを目的として、概ね5年ごとに実施しているものです。

 以下に、平成30年度マンション総合調査結果の概要を紹介します。

(調査方法等)

① 調査方法:アンケート調査

② 調査地域:全国

③ 調査実施期間:平成30年11月~12月

④ 調査対象:管理組合向け調査、区分所有者向け調査

| 2019年8月19日 | カテゴリー マンション総合調査 

~皆様のご協力をお願いします~

 貴管理組合にアンケート調査票が届きましたら、調査の趣旨のご理解、ご協力をいただきますようお願い申し上げます。

 また、今回よりオンラインによる回答も可能となっております。

 なお、本調査は、統計法に基づく承認を受けて実施するものであり、法律により個人情報は保護されます。

今回新たに追加した主な項目について

管理組合向けの主な追加項目は

・所有者不明の空室数

・個人情報取扱業者

・外部専門家の活用

・民泊の禁止・許容のルール

・計画期間25年以上の長期修繕計画に基づく修繕積立金の設定の有無

・前回の大規模修繕工事の実施状況

・発注の適正化  など

区分所有者向けの主な追加項目

・マンションの完成年次

・入居時に考慮した項目

・民泊の実施状況・意向

・自ら理事長を引き受ける場合の報酬

・外部専門家を役員に活用した場合の報酬

・マンション管理業者が提供するサービスの範囲として望ましいもの  など

国土交通省住宅局市街地建築課マンション政策室

| 2018年12月01日 | カテゴリー マンション総合調査 

【これからのマンション管理】

明海大学不動産学部教授 齋藤 広子先生

―平成25年度マンション総合調査検討委員会委員長―

 今回の調査結果から以下の課題が見えてきました。

1 スペース再生マネジメント

 築約25年を経過したマンションの半分以上で老朽化対応を検討しています。老朽化は突然来るものではありません。それに対応できる体制がないことが問題です。ゆえに、老朽化対応として計画的に再生を実施するためのマネジメント体制構築が必要です。これは物理的な空間(スペース)の現状維持型の管理を前提とした管理体制から、変化を前提にしたマネジメント体制への変更を示唆し、内部の合意形成を取るための新たな仕組み(マンション内住み替え、金銭的補償や融資等)、そして実行のための支援体制の強化が必要です。

2 コミュニティ再生マネジメント

 居住者の永住意識の高さと、それによる高齢化の促進が益々深刻になります。築年数の経ったマンションが「二つの老い」を迎えるのは当然ではありません。若い世代に魅力となるマンションでないからです。多世代交流促進マンションとする、コミュニティを再生するマネジメント活動が必要です。

3 マネジメントプロデューサーの育成

 前者の二つの課題は、現在の管理の支援体制の域も枠組みも越えています。その時そのマンションに合った適正な管理方法に誘導し、資産価値の維持向上を総合的にプロデュースする、マネジメントの担い手が求められています。

4 初期管理方法適正化と地域の支援体制の構築

 初期の管理方法の設定は、その後の管理に大きな影響を及ぼします。ゆえに、初期設定の管理の適正化の推進をより強化する体制が必要です。その実行の鍵は地方自治体です。国レベルの全体像の把握とともに現場に即した地域事情を踏まえた地方自治体レベル施策が益々重要になってきます。

5 マンションを取り巻く環境整備

 マンション管理の質が適正に市場で評価されるための仕組みや、マンションの集会所等を利用した高齢者向け・子育て世代向けのサービス提供・地域の非常時災害時の拠点づくり等、マンションが地域の核にとなりつつ、市場のメカニズムを活用して、より安全で安心な居住の場となる仕組み整備が必要です。

 

| 2014年9月29日 | カテゴリー マンション総合調査 

 この下の表は、平成25年度マンション総合調査の結果から、過去1年間に発生したトラブルの具体的内容についてみたものである

 

1 生活音              52.3%

2 管理費等の滞納          41.5%

3 違法駐車             37.6%

4 ペット飼育            34.6%

5 水漏れ              28.6%

6 共用廊下等への私物の放置     28.1%

7 違法駐輪             23.6%

8 バルコニーの使用方法       20.0%

9 雨漏り              18.6%

10 役員又は専門委員の人材不足   17.3%

11 騒音・異臭           12.9%

12 駐車場使用方法に関するトラブル 11.5%

13 防犯対策             9.3%

14 専有部分の修繕等         9.0%

15 施工不良             7.2%

16 アフターサービスに関するもの   5.4%

17 防災対策             5.2%

                 (注)重複回答

| 2014年9月09日 | カテゴリー マンション総合調査