4 空き家問題予防と解決のために
(3)空き家の利活用と課題
① 集会室として利用する場合
マンション居住者全員にメリットがあり、外部不経済が少ないタイプとして、集会室として利用する
場合を考えてみましょう。集会室への用途転用は、反復継続されることはないので、一般的には管理規
約での規定はありません。
はじめに、近隣住戸への生活への配慮から集会室の場所を選定する必要があります。さらに、利用の
ルールを決めることです。管理組合が住戸を買い取る場合、管理組合法人として法人格を持ち、住戸を
購入、登記をする方法があります。また、規約共用部分とする場合や賃貸で借りる場合も考えられま
す。
しかし、マンションの1室を集会室に使うことはそもそも想定されていないため、その手続きに関し
ては専門家に相談することがよいでしょう。
② ディサービスの拠点棟として利用する場合
ディサービスの拠点など、集会室以外の利用については、利用の仕方のきめ細かなルールが必要とな
ります。管理組合以外の主体が運営する場合に、管理組合がどのように関与するのかが重要です。管理
組合はどのように決議するのか。一定の条件内であれば承認するのか。理事会承認とするのか。管理組
合総会で決議をするのか。さらに、近隣住戸の承諾を必要とするのか。どの範囲の承諾を必要とするの
か。一度取った承諾はいつまで有効か。有効期限や条件がないのか。
一定の条件の中で、近隣住戸の承諾を取り、理事会承認で認めていく方向があります。その際に、近
隣住戸への説明会の開催、条件の明確化、さらに、問題があれば活動停止の条件の明確化も必要です。
利用が始まってからトラブルとなり裁判になると、解決までに時間がかかりますので、管理組合が一定
の立ち入り検査権限、使用停止命令権限を持ち、問題が起これば仲裁する制度の整備を検討することも
必要ではないでしょうか。
(著)横浜市立大学国際総合科学部 教授 齋藤 広子