空き家問題

18年住宅土地調査 用途、築年数も

 総務省は1月22日、5年に1度の住宅・土地統計調査を見直す方針を明らかにした。

 2018年分から、空き家を所有しているかどうか各世帯に回答してもらうほか、一部は築年数など詳しい状況も調べる。

 空き家は人口減少などを背景に増え続けているが、景観の悪化や、老朽化に伴う倒壊の危険が指摘されており、実態を把握する。

 18年調査は9~10月、一戸建て、マンションなどの計370万世帯を抽出して調査票を配布。

 全国の住宅や空き家の数を推計し19年4月に速報値を公表する。

岡管連から

 総務省が行う18年の調査で、マンションの「空き室」の実態把握につながるものと期待している。

 なお、平成30(2018)年度は、国土交通省が5年に1度実施する『マンション総合調査』もあります。

| 2018年2月05日 | カテゴリー 空き家問題 

空き家前段階で対応を

 日本は、団塊世代が75歳を迎える(2025年問題)を背景に、団塊世代の実家の相続と団塊ジュニア世代の実家の相続が同時発生する大量相続時代を迎える。

 しかし、子供世代は実家を離れ、すでに自宅を購入しているなど、相続した実家に住むケースは少ない。

 そのため、相続後に実家の売却・賃貸が進まなければ、住宅の立地や大きさにもよるが、空き家化するリスクが高い。

 近い将来、日本は空き家急増という時限爆弾を抱えている。

 総務省の13年の住宅・土地統計調査によれば、65歳以上のみの世帯が住む一戸建て住宅は全国で約720万戸、一戸建ての4戸に1戸が空き家予備軍である。

 その一方で、大都市では埋め立て地、工場跡地を中心にタワーマンションが林立し、大都市郊外や地方都市では農地エリアの宅地開発が野放図に行われ、住宅総数と居住地面積が拡大し続けている。

 著者は、こうした構造的な問題を抱える社会を、拙筆「老いる家 崩れる街」で「住宅過剰社会」と名付けた。

 そのためには、空き家になる「前」の段階での適切な対応が極めて重要である

 相続、税制、建築、不動産流通、住宅政策、都市計画といったさまざまな分野をつなぐ横断的な仕組みづくりと新たな専門人材の育成が急務であろう。

                                   (著)東洋大教授 野澤 千絵

中央公論2017・4より

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岡管連から

 『マンションの10年後を一緒に考えてくれる人はいますか

 マンションも居住用財産であり、社会的インフラの一つであるマンションは、今後社会に与える影響は大きいものと思われます。

| 2017年4月07日 | カテゴリー 空き家問題 

4 空き家問題予防と解決のために

(3)空き家の利活用と課題

  ① 集会室として利用する場合

    マンション居住者全員にメリットがあり、外部不経済が少ないタイプとして、集会室として利用する

   場合を考えてみましょう。集会室への用途転用は、反復継続されることはないので、一般的には管理規

   約での規定はありません。

    はじめに、近隣住戸への生活への配慮から集会室の場所を選定する必要があります。さらに、利用の

   ルールを決めることです。管理組合が住戸を買い取る場合、管理組合法人として法人格を持ち、住戸を

   購入、登記をする方法があります。また、規約共用部分とする場合や賃貸で借りる場合も考えられま

   す。

    しかし、マンションの1室を集会室に使うことはそもそも想定されていないため、その手続きに関し

   ては専門家に相談することがよいでしょう。

  ② ディサービスの拠点棟として利用する場合

    ディサービスの拠点など、集会室以外の利用については、利用の仕方のきめ細かなルールが必要とな

   ります。管理組合以外の主体が運営する場合に、管理組合がどのように関与するのかが重要です。管理

   組合はどのように決議するのか。一定の条件内であれば承認するのか。理事会承認とするのか。管理組

   合総会で決議をするのか。さらに、近隣住戸の承諾を必要とするのか。どの範囲の承諾を必要とするの

   か。一度取った承諾はいつまで有効か。有効期限や条件がないのか。

    一定の条件の中で、近隣住戸の承諾を取り、理事会承認で認めていく方向があります。その際に、近

   隣住戸への説明会の開催、条件の明確化、さらに、問題があれば活動停止の条件の明確化も必要です。

   利用が始まってからトラブルとなり裁判になると、解決までに時間がかかりますので、管理組合が一定

   の立ち入り検査権限、使用停止命令権限を持ち、問題が起これば仲裁する制度の整備を検討することも

   必要ではないでしょうか。

                        (著)横浜市立大学国際総合科学部 教授 齋藤 広子

| 2017年2月25日 | カテゴリー 空き家問題 

4 空き家問題予防と解決のために

(2)空き家の存在を考慮した管理体制

   空き家があることにより、管理組合運営や維持管理に悪影響が出ない体制を整備することも必要です。

   空き家にする際の届け出制度に加え、不在所有者への対応の制度化です。

   連絡にかかる手間等やその費用の徴収だけでなく、不在所有者が参加しやすい総会や理事会の運営とし

  て、定期総会の定例の日時や場所の設定や、理事会へのスカイプ参加による情報共有、共同清掃に参加で

  きない、排水管清掃に立ち会えない場合の業務委託など、不在であっても同じ権利と義務が執行できる体

  制づくりが必要です。

                        (著)横浜市立大学国際総合科学部 教授 齋藤 広子

| 2017年2月23日 | カテゴリー 空き家問題 

4 空き家問題予防と解決のために

(1)空き家の予防

  ① 魅力を再生

    空き家問題を生じさせないためには、空き家そのものを予防することが重要です。ステージのⅡや

   Ⅲ、そして絶対にⅣにはならないように、Ⅰの段階で対応することが必要です。

    建物の再生もそうですが、管理の仕方やイベントの内容も含めたマンションの魅力の再生を行うこ

   とが必要です。そのためには、自分たちのマンションの強み・弱みを客観的に知ることが大事です。

  ② 中古住宅としての流通の促進

    マンションの魅力を発信することも重要です。

    マンションのホームページを開設し、積極的にマンションの情報を発信する例もあります。

    ホームページのように不特定多数に情報を開示しなくても、マンションの購入を検討している人に

   適正に管理情報を開示することは重要です。マンションの管理方法、修繕履歴や今後の修繕計画、マ

   ンションのコミュニティ活動等の魅力をバックにして、情報を提供する方法があります。また、仲介

   の不動産業者からの問合せに管理組合、管理会社がスムーズに対応できるように、新しい標準管理規

   約や標準委託契約書を参考にして体制を整えておくことも必要です。

  ③ 賃貸住宅としての利用の促進

    空き家を賃貸住宅として利用する方法があります。

    1つには、所有者の組織と居住者の組織を分離し、それぞれの役割を明確にすることです。若い世

   代の借家層と高齢世代の持家層の相互の良さを生かす管理体制やコミュニティ形成の工夫が必要にな

   ります。

                       (著)横浜市立大学国際総合科学部 教授 齋藤 広子

| 2017年2月21日 | カテゴリー 空き家問題 

3 空き家による管理上の問題

  空き家による管理問題は、空き家率のステージにより、深刻さが異なっています。

  空き家率は、5%未満であれば日常的にも長期的にも問題が表面化していません。

  一般的なマンションでは『ステージⅠ(空き家率5%~10%未満)になると、管理組合の対応の仕方

 でなんとか問題を表面化しないで進められています。

  しかし、『ステージⅡ(10%~20%未満)になると、日常的な管理組合への対応がやや困難とな

 り、かつ、長期的な展望を持ちにくくなります。つまり、総会への出席率が低下し、理事会の開催にも影響

 が出ます。また、長期修繕計画の策定も滞り、積立金不足になりがちです。

  さらに、『ステージⅢ(20~50%未満)では、理事会の開催や総会への出席と入運営管理がより困

 難となり、当然長期的な展望も取組も難しくなり、長期修繕計画を見直す体制が不十分となり、修繕積立金

 が足りるかどうかすら把握できない状態になりがちです。こうして管理の負のスパイラルに陥りやすくなり

 ます。

  さらに、空き家化が大幅に進み、『ステージⅣ(50%~)となると、エレベーターが止まり、ガス・

 電気・水道も止まり、居住が困難となってきます。

                        (著)横浜市立大学国際総合科学部 教授 齋藤 広子

| 2017年2月19日 | カテゴリー 空き家問題 

1 マンションの空き家はどれだけあるのか

  マンション(区分所有の住宅)で空き家がじわじわと増えています。国土交通省が住宅・土地統計調査を

 再集計したところ、築年数が古いマンションほど空き家率が上昇し、1970年以前に建設のマンションで

 は平均で11.1%、つまり、10年に1件以上が空き家となっていました。

  空き家率について次のことが言えます。第1に、空き家率は築40年を超すと、築年数が古いほど高くな

 るわけではありません。築年数が経てば、空き家率は高いところから低いところに広がっていきます。第2

 に、空き家率が高いマンションは、必ずしも駅から遠い、バス便のマンションとは限りません、このこと

 は、マンションの空き家率は、動かせない立地にだけ大きく依存しているのではないことになります。

2 なぜ空き家になるのか

 ① 第1は、大幅な売れ残りによる空き家です。

 ② 第2は、セカンドハウスや倉庫としての利用等です。

 ③ 第3は、売却希望ですが、売却できない状態です。

 ④ 第4に、賃貸にしても借り手がない場合があります。

 ⑤ 第5に、マンションの相続放棄による空き家です。

 ⑥ 第6に、グローバル化の影響による外国人所有やファンド所有等、投資を目的とした住戸所有の空き家

   があります。

 以上のように、少子高齢化、人口・世帯減少、生活スタイルの変化、社会状況の変化、そしてグローバル化

等を背景に、空き家化が様々な理由から進んできているのです。

(注)空き家対策法では、空き家等にはマンションの住戸単位の空き家は含まれていません。

                        (著)横浜市立大学国際総合科学部 教授 齋藤 広子

| 2017年2月17日 | カテゴリー 空き家問題