欠陥マンション

1級建築士「人命に関わる隠れた重大欠陥」

建物の構造設計を行う1級建築士の男性は「構造スリットは1か所入れ忘れただけで建物の強度が半分程度になる可能性もあり、柱が欠損するようなミスも絶対に避けなければならない。大地震の際には施工ミスによって柱が折れたりする可能性もあり、人命に関わる重大な問題だ」と話しています。

そのうえで「構造スリットは外からは見えないコンクリートの中にあり、ひび割れなどの不具合が起きて調査しないかぎり施工ミスが発覚しないケースが多いため、一般的にはまだ身近な危険として認識されていない隠れた重大欠陥と言える。かなりの数の施工ミスがまだ潜在化しているものとみられ、国は調査の方法などを整備していく必要がある」と指摘しています。

| 2019年7月17日 | カテゴリー 欠陥マンション 

施工ミスを見つけるためには

「構造スリット」の施工ミスを見つけるにはどうしたらよいのでしょうか。

専門家が注目すべきだとしているのが、マンションの外壁の柱と壁の境目の部分。この部分の周辺でひび割れがあったりタイルが剥がれ落ちたりしていると構造スリットに施工ミスがある可能性があるということです。

専門家は「住民側も無関心にならず、ひび割れなどを見つけたなら速やかに販売元などに相談して、専門家による調査を行ってもらうほか、修繕工事の際には重点的にチェックし、施工ミスがあれば補修工事をさせる必要がある」と話しています。

| 2019年7月15日 | カテゴリー 欠陥マンション 

大手住宅メーカーミスを認め改修工事することで住民と合意

大手住宅メーカーが販売した別の愛知県内のマンションでは、去年の検査で、設計どおりに「構造スリット」が施工されていないミスが見つかりました。

会社側は重大なミスではなく「直ちに安全上の問題はない」としていますが、今月、会社が費用を負担して改修工事を進めることで住民側と合意したということです。

会社側は「今のところ、ほかのマンションで同じようなミスは見つかっていないが、今後の検査でミスが判明すれば適切に対応したい」としています。

| 2019年7月13日 | カテゴリー 欠陥マンション 

その後、マンションの管理組合の委託を受けた1級建築士が再び調査したところ、構造スリットの施工ミスが新たに9か所で見つかり、このうち2か所は隙間に入れた緩衝材がゆがんで柱の一部が欠損する重大なミスだったことが分かったということです。

これに対して会社側は「安全性には問題がなく再調査の必要はない」などといったん回答しましたが、その後「一方的な思い込みから尚早な回答を行い、多大な心労をおかけした」などとして判断の誤りを認め、社長が住民側に謝罪する事態になりました。

このマンションでは会社が費用を負担し、今月まで追加の修繕工事が行われました。NHKの取材に対し会社側は「個別案件の詳細については回答を控える」などとしています。

| 2019年7月11日 | カテゴリー 欠陥マンション 

施工ミス実際のケースは

大手不動産会社が販売した愛知県内のマンションでは、今年1月、「構造スリット」の施工ミスで柱の一部が欠損する重大なミスが見つかりました。実はこのマンション、3年前にも構造スリットの施工ミスが見つかっていました。

修繕工事を行ったことがきっかけとなり、設計ではおよそ550か所に施工されているはずの構造スリットが全体の6割近くにあたる300か所以上で、実際には施工されていなかったり、隙間に入れる緩衝材がゆがんだりしていたことが明らかになっていたのです。

関係者によりますと、この際、会社側は施工ミスを認めて第三者機関による検証と修繕工事を行い、昨年5月「安全性は回復された」とする書面を住民に配布しました。

| 2019年7月09日 | カテゴリー 欠陥マンション 

「構造スリット」の仕組みと役割

「構造スリット」は、地震の揺れで建物が損傷するのを防ぐためマンションの屋台骨となる柱と壁、はりの間に数センチほどの隙間を入れる耐震構造です。

柱と壁などが密着していると、地震の揺れの衝撃が特定の柱に集中して建物が損傷するリスクが高まります。このため柱と壁、はりの間に隙間=スリットを設けることで揺れが吸収され柱にかかる衝撃が和らげられる仕組みで、隙間にはスリット材と呼ばれる緩衝材を入れ、クッションの役割を果たします。

構造スリットは平成7年の阪神・淡路大震災を教訓に、マンションなど鉄筋コンクリートの多くの建物で導入されましたが、専門家によりますと、8年前の東日本大震災で被害を受けたマンションを調べたところ、構造スリットに欠陥があるケースが複数見つかったということです。

施工ミスは、設計どおりに構造スリットが施工されず、実際には柱と壁が密着していたり、建設中に柱や壁にコンクリートを流し込む過程でスリット材がねじれたりするケースが多く、ねじれたスリット材が食い込んで柱の一部が欠損し、建物の安全性に重大な影響が出るケースも見つかっているということです。

構造スリットが設計どおりに施工されていない場合には建築基準法に抵触するおそれがあります。

| 2019年7月07日 | カテゴリー 欠陥マンション 

構造スリットが設計どおりに施工されていない場合には建築基準法に抵触するおそれがありますが、専門家によりますと、構造スリットはコンクリートの中にあって外からは見えないため、実際に地震で被害が出たりひび割れなどの不具合が起きたりして調査しないかぎり、施工ミスが発覚しないケースが多いということです。

マンションの耐震構造に詳しい大阪大学の鈴木計夫名誉教授は「柱が欠損するなどの重大な施工ミスがあれば建物の強度が下がり、大地震の際には倒壊するおそれもある。

こうしたミスは多くのマンションで潜在化している可能性があり、改めて調査を進めるべきだ」と指摘しています。

| 2019年7月05日 | カテゴリー 欠陥マンション 

地震の衝撃を逃がすため多くのマンションで導入されている「構造スリット」と呼ばれる耐震構造の施工ミスが、東日本大震災以降、少なくとも全国40以上のマンションで相次いで見つかっていたことが複数の専門家の調査で分かりました。専門家は「施工ミスによって大地震の際に建物が倒壊するおそれもあるが、実際に被害が出ないと発覚しないケースが多く、こうしたミスは多くのマンションで顕在化している可能性がある」と指摘しています。

「構造スリット」は、地震の揺れで建物が損傷するのを防ぐため柱と壁などの間に隙間を入れて地震の衝撃を逃がす耐震構造で、平成7年の阪神・淡路大震災を教訓に、マンションなど鉄筋コンクリートの多くの建物で導入されています。

しかし東日本大震災以降、マンションの管理組合から委託を受けた東京の不動産コンサルタント会社や1級建築士が調べたところ、この構造スリットで設計どおりに施工されていなかったり、隙間に入れる緩衝材がねじれたり施工ミスが、少なくとも全国40以上のマンションで相次いで見つかっていたことが分かりました。

関係者によりますと、このうち大手不動産会社が販売した愛知県内のマンションでは今年1月、構造スリットの施工ミスによって柱の一部が欠損していたことが分かり、会社側がミスを認めて住民側に謝罪し、今月まで補修工事が行われました。

| 2019年7月03日 | カテゴリー 欠陥マンション 

施工不良か劣化か

 裁判となるケースも少なくない。大阪地裁には建築関連の訴訟を専門に扱う「建築部」があり、常時10数件が係争中だ。

 神戸・三宮の20階建てマンションの管理組合は昨年12月、施工不良で外壁の補修工事が必要になったとして施工会社などに約2億4300万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。

 訴状によると、マンションは05年の完成で、15年に14階の外壁タイルが幅1.5メートルにわたって剥がれ、4階のベランダに落下、一部は歩道に散乱した。補修会社の調査で外壁全体の15%に問題があるとされた。

 貼り替えを余儀なくされた管理組合は「タイルを取り付けるコンクリート面の処理に手抜きがあった」と主張。施工会社は「原因は経年劣化」と争っている。

 大阪府豊中市の9階建てマンションでも、築12年だった14年、外壁の4割でタイルが浮くなどし、管理組合はタイル(縦5センチ、横10センチ)15万枚を交換した。昨年3月、施工会社に約5900万円の支払いを求めて提訴。会社は「施工は適正」と反論している

 施工不良と劣化の見極めは難しい。建築部にいた高嶋卓裁判官は法律雑誌の17年9月号で、判断基準の目安を公表。建築士らと検討を重ねた結果として、築年数に応じ、施工不良が疑われる外壁の破損割合を、施工5年超から10年以内は3%以上、15年までは5%以上 などと示している。

岡管連から

 岡山市のマンションでも外壁タイルの剥落落下があり、同マンションの外壁の縦横2メートル程度のタイルが2か所で剥落落下し、岡管連に当該問題が持ち込まれた事案では、解決までに以下のような主な経緯があった。

・タイルの剥落落下

・売主、施工会社に相談

・施工会社等は責任回避

・半年後、岡管連に相談

・岡管連の会員である1級建築士に相談後、弁護士に話を持ちこむ

・弁護士と相談後、調停を申し立てる

・約1年かけて調停が成立

・調停成立後の約1年後、外壁タイル貼り替え工事が始まる

・約半年かけて、外壁タイル貼り替え工事化が完了

*問題発覚後、外壁タイル貼り替え工事が完了するまでに約3年半の時間を要し、役員の苦労、弁護士費用等、また役員の交代等、理事会としての対応が追われた事案であった。

| 2018年12月11日 | カテゴリー 欠陥マンション 

 マンションの外壁が剥がれたり、ひび割れたりしてトラブルになるケースが増えている。住宅紛争を扱う団体には、2016年度に約160件の相談があり、約10年間で3.5倍に急増。

 コストを抑えるための工程簡略化などが原因とみられ、築年数の浅い物件で、住民が業者相手に訴訟を起こすことも多い。

 過去には外壁落下で死亡事故も起きており、専門家は「早めの対策が必要」と指摘する。

「築5年で外壁が1メートルにわたって剥がれ落ちた」

 公益財団法人「住宅リフォーム・紛争処理支援センター」には、マンション管理組合から施工不良を訴える相談が相次ぐ。

 外壁の破損に関する相談は08年度が44件。10年度に100件を超え、その後も増加傾向が続き、16年度は161件に達した。

 センター担当者は「修繕工事の点検で、破損が見つかることが多い」と話す。

 マンションの外壁は、建物本体のコンクリートを保護し、デザイン性を高めるため、タイルを貼りつける工法が一般的だ。

 住宅問題に詳しい弁護士や業界団体は、トラブル急増の要因として、昔は職人がタイルを1枚ずつ貼りつけていたが、近年は工期短縮やコスト抑制のため、複数枚を事前に取り付けたものを現場で貼りつけたり、タイルをはがれにくくする工程を簡略化したりする施工会社が増えたことを挙げる。

| 2018年12月09日 | カテゴリー 欠陥マンション