マンションの外壁が剥がれたり、ひび割れたりしてトラブルになるケースが増えている。住宅紛争を扱う団体には、2016年度に約160件の相談があり、約10年間で3.5倍に急増。
コストを抑えるための工程簡略化などが原因とみられ、築年数の浅い物件で、住民が業者相手に訴訟を起こすことも多い。
過去には外壁落下で死亡事故も起きており、専門家は「早めの対策が必要」と指摘する。
「築5年で外壁が1メートルにわたって剥がれ落ちた」
公益財団法人「住宅リフォーム・紛争処理支援センター」には、マンション管理組合から施工不良を訴える相談が相次ぐ。
外壁の破損に関する相談は08年度が44件。10年度に100件を超え、その後も増加傾向が続き、16年度は161件に達した。
センター担当者は「修繕工事の点検で、破損が見つかることが多い」と話す。
マンションの外壁は、建物本体のコンクリートを保護し、デザイン性を高めるため、タイルを貼りつける工法が一般的だ。
住宅問題に詳しい弁護士や業界団体は、トラブル急増の要因として、昔は職人がタイルを1枚ずつ貼りつけていたが、近年は工期短縮やコスト抑制のため、複数枚を事前に取り付けたものを現場で貼りつけたり、タイルをはがれにくくする工程を簡略化したりする施工会社が増えたことを挙げる。