偽装問題

【国交省 来月にも再発防止策 有識者委員会中間報告】

 国土交通省の有識者委員会は25日、くい打ち工事問題の再発防止に向け、元請けの建設会社がくい到達に責任を負い、固い地盤の把握が難しい現場では立ち合いを求める中間報告をまとめた。

 傾斜した横浜市のマンション工事について、下請けとして関わった日立ハイテクノロジーズが、孫請けの旭化成建材に業務を丸投げしていた疑いを指摘。

 元請けの三井住友建設について両社への指導・監督が不十分だったとの認識を示した。

 中間報告では、三井住友建設はくいの到達などに関する電流計データを定期的に確認しておらず『くい到達の判断を下請け任せだった』と指摘した。

【くい打ち問題 中間報告骨子】

・元請け業者が工事全体を管理するよう統括的な役割を果たすことが重要

・元請けはくい到達に責任。固い地盤がどこにあるのか把握が難しい現場は立ち合う

・三井住友建設は、くい到達の判断を下請け任せにした。下請けの日立ハイテクノロジーズは、実質的に施工

 に携わらなかった。日立ハイテクと旭化成建材は、建設業法が定める専任の主任技術者を置かなかった

・データ流用と建物の安全性の関連性は低い

(岡管連から)

 管理組合についても同様に、管理業者へ管理業務の丸投げが多く行われているのではないでしょうか。

 くいの例でも分かるように『丸投げ』状態でいると、責任の所在があいまいになったり、管理業務の執行が適正に行われているかどうか分からないし、またその業務が必要か不必要かの判断ができないし、あるいはその業務がコスト的に見合ったものかどうかの判断ができないことになりかねません。

| 2016年2月05日 | カテゴリー 偽装問題 

 旭化成建材による杭工事のデータ偽装が判明したマンションを売買する際、買い手に偽装の事実を伝えることを、国土交通省が売買を仲介する不動産会社に義務付けた。

 買い主を保護するのがねらいで、違反した業者や担当者には、行政処分や刑事罰を科すこともできる。自殺者が出た物件などと同じ扱いとする。

 国交省は、旭化成建材によるデータ偽装が判明した約70のマンションなど民間の集合住宅について、売買を仲介する場合、原則として契約前に買い手に示す『重要事項説明書』に偽装の事実を記入し、買い手に説明するよう不動産の業界団体に指示した。

 データ偽装の事実が、宅地建物取引業法で購入者に必ず説明しなければならないとしている『重要な事項』に当たると判断した。

 ただし、杭が固い地盤に届いているなど、安全性が今後証明されれば、買い手からの問い合わせに回答すればよいことにするという。

(岡管連から)

 中古マンションを売買する場合、売り手側も買い手側も、杭の問題に関して、注意する必要が出てくるであろう。また、管理組合としても、把握しておく必要性があると思われる。

| 2015年12月11日 | カテゴリー 偽装問題 

【偽装 新たに4社8件】

―業者任せ 進まぬ点検―

 対応は業者によって異なり、偽装が見つからない社の多くは調査対象を元請けなどから要請された物件にとどめている。

 偽装があった自治体の担当者は「業者任せの自主点検には限界がある」とみるが、国土交通省は実態把握を各社の自主点検に委ね、範囲や方法を任せる構えだ。

―丸投げの結果だ―

 建築基礎に詳しい藤井 衛・東海大教授の話

 7社での偽装判明に驚きはない。業界では技術の進歩などで工法が増え、元請けがチェックも含めて丸投げしていた結果だ。

 民間、行政の物件にかかわらず、第三者機関でチックする必要がある。ただ「データ流用イコール傾斜」ではない。

 紙の紛失などが原因の偽装は、危険性は低いはずだ。

(岡管連から)

 この杭データ偽装問題は、氷山の一角と思われる。特に、杭という建物そのものの基礎、あるいは建物の存立自体に関わるという重大な事案であることを忘れてはならない。

 元請けは、下請けに対して総合的な管理監督・確認等を行なうことが求められる。これまでの報道を見ていると元請けは、各専門業務を下請けに出しているだけと思われる。

 これでは元請けは、各専門工事ごとに分けて下請けに『丸投げ』していると言われても仕方がないだろう。

| 2015年12月03日 | カテゴリー 偽装問題 

【元請けの責任は/朝日新聞朝刊11・3】

―業界 下請け任せの構造―

 旭化成建材による杭工事をめぐる問題で、データの偽装の疑いが全国で約300件にのぼることが明らかになった。

 偽装を見抜けなかった元請けゼネコンは、三井住友建設だけにとどまらない。

 下請けに仕事を任せきりにするのが常態化している業界の構造が問われる可能性もある。

―『丸投げ?』―

 元請けと直接契約していた1次下請け日立ハイテクノロジーズも今後の調査の対象だ。

 契約では、杭工事の安全面や工程管理を担うことになっていた。

 ただ、同社の社員が現場に常駐していたのかや、必要な会議などに出席していたのかについて同社広報は「まだ調査中だ」。

 もし必要な管理業務ができていないと、建設業法が禁じる『丸投げ』に当たる可能性もある。

 国交省は、今回の問題にとどまらず、元請けの責任や重層化した不透明な下請け関係など、業界が抱える構造的な問題点も洗い出す方針で、年内に中間取りまとめを予定している。

【問題に根深さ/山陽新聞朝刊11・3】

 「多くの現場代理人が、そういうことをしてしまう環境にあった」。

 立ち入り調査とほぼ同じころ、千代田区内で記者会見した旭化成の副社長は、現場管理に問題があったことを認めた。

 「(杭打ちは)2次下請け、3次下請けという形で、主導権を持てないスタイルの仕事」と問題の根深さを示唆した。

 他の建設会社が恐れるのは、データ改ざんが業界全体の問題として広がることだ。

 大手建設会社幹部は「下請けを信頼しないと仕事にならない」と語るが、別の会社の社員は「うちの手がけた物件にも(改ざんの)該当があるだろう。顧客らにどう説明するのか」。

 旭化成建材から連絡を受け、元請け建設会社として調査した準大手ゼネコン関係者は「今回でも数十人の社員を投入した。ほかの杭打ち業者も調べるとなると、どうすればよいか想像もつかない」と途方に暮れる。

(岡管連から)

 建設業法では『丸投げの禁止』、一定の工事では『専任の配置技術者の設置』の必要があります。

 元請けの建設業者は、一定以上の工事での『施工監理者の設置』と下請け業者の管理を行う『工事台帳の作成』を行う必要があります。

 また他の新聞報道によると、「工期を伸ばせず、下請けにプレッシャーがかかる背景には、マンションを完成前に販売する『青田売り』のシステムを挙げた。」と報じていた。

 マンション販売における悪慣習である『青田売り、青田買い』ということが根底にある言う指摘がされています。

| 2015年11月15日 | カテゴリー 偽装問題 

【解明これから/住民疑惑指摘公表まで10カ月】

(山陽新聞朝刊10・19より)

 全4棟計705戸の大規模マンションの住民が、販売した三井不動産レジデンシャルに対し、「手すりにズレがある」と指摘したのは昨年11月26日。

 同社が住民説明会で示した資料などによると、傾いた棟からつながる渡り廊下の手すりが、別棟との結合部分で約2センチ低かった。

 同社は今年2月、外壁の傾斜測定などの簡易検査を実施。

 7月下旬になってようやく、2カ所で杭が強固な地盤である「支持層」に届いていることが確認できなかったと、住民側に報告した。

 この間、同社は廊下のズレについて「東日本大震災時に棟の揺れ方に違いがあって生じたひずみと推察される」と説明したとされる。

 一連の経過に住民側は「交渉には長い時間がかかった。責任逃れに終始し、まったく不誠実な対応だった」と憤る。

【建て替え住民合意の壁】

(朝日新聞朝刊10・17より)

 マンション建て替えには住民の合意形成が必要だが、複数等の棟がある団地では特にハードルが高い。

 国土交通省によると、全国のマンションは約613万戸。

 過去に建て替えられたマンションは1万6600戸、計211件だけだ。

 多くは旧耐震基準以下で建設され、老朽化したケースだが、10件は2005年に発覚した耐震偽装事件で強度不足が発覚したマンションだった。

 耐震偽装事件では、すべてのマンションの建て替えに6年を要した。

                                  (注)下線は、こちら側で記載。

| 2015年11月03日 | カテゴリー 偽装問題 

【施工3000棟概要公表へ】

 旭化成は16日、「旭化成建材」がくい打ち施工をしたデータがある約3千棟に関し、所在地などの概要を月内にも公表する方針を明らかにした。

 約3千棟には、過去約10年に旭化成建材が基礎工事を請け負った全国のマンションや商業施設などの大型物件が含まれる。一戸建てはない。

 消費者から問い合わせがあるなど不安が高まっていることから概要だけでも先に公表する。

 事業主の三井不動産レジデンシャルが当初、傾きが明らかになるきっかけとなった渡り廊下の結合のズレについて、「東日本大震災の影響の可能性が排除できない」と住民に説明していたことも住民らの取材で判明した。

(岡管連から)

 基礎構造部については法制度上、10年の住宅の品質確保に関する保証措置がある。

 このような傾斜のリスクのあるマンションに対し、早急なる情報開示が求められるだろう。

 そうしなければ、対応措置が遅れる可能性がある。

 また、10年以前の建物等について、旭化成建材は、言及していない。

| 2015年10月25日 | カテゴリー 偽装問題 

【ずさんな施工 疑問の声】

―嘆く住民「不良物件扱い」―

 横浜市のマンションで、杭が支持層に届いていない問題が発覚したのは、今回が初めてではない。

 住友不動産が2003年に販売した西区の11階建てマンションで、同様に建物が傾いたことが一昨年に判明。

 市は建築基準法に基づく是正勧告をした経緯がある。

 住友側は1棟について『安全とは言い切れない』として、仮の住まいを住民に無償で用意。

 現在は全65世帯が仮の住居に転居している。

 住友側は物件の買い取りも申し出ているという。

 傾いた都筑区の大型マンションでは、三井不動産レジデンシャルと三井住友建設が9日から、住民への説明会を続けている。

 説明会に参加した住民の男性(74)は「『三井だから大丈夫だろう』と思って購入した。消費税も今後上がり、住宅購入が慎重になっていくなか、不良物件という印が一度押されたマンションの評価はどうなるのか」嘆いた。

                                  (注)下線は、こちら側で記載。

(岡管連から)

 横浜市など大型マンションに大きな問題が生じた場合、その影響は大きく、1棟に100戸以上の世帯の生活に影響を与えます。

 このようにマンションには、そのリスクが潜んでいることを認識し、マンションでの生活が脅かされるということをあらためて気づかされました。

| 2015年10月23日 | カテゴリー 偽装問題 

 【ずさんな施工 疑問の声】

―復旧 新築費用の何倍も―

 杭を打ち込む主な工法は二つあり、現場で穴を掘り下げてコンクリートを流し込んで杭を作るものと、工場で作ったコンクリート製や鋼鉄製の杭を打ち込むものだ。

 今回は既製の杭を打ち込むタイプ。既製杭は現場でつなげて使う。

 関係者は「長さが足りないと設計変更が必要になり、工事が一時止まる可能性がある」。

 工期が限られる中、下請けの業者としては、工期延長は最も避けたいことだという。

 大手地質コンサルタントの担当者は「技術的に回収が可能でも、住民がその物件に住み続けたいと思うだろうか。大がかりな改修をするより、建て替えが現実的だ」と話した。

                                    下線は、こちら側で記載。

(岡管連から)

 報道等により公開され、信用を落としたマンションの資産価値を再生するのは、容易ではないだろう。

 ニュースを拝見していると、『もうそのマンションには戻りたくない、販売会社に買い取ってもらいたい』と。

| 2015年10月21日 | カテゴリー 偽装問題 

【ずさんな施工 疑問の声】

―データ偽装「記憶あいまい」―

 「記憶があいまいだ」。旭化成建材の社員は、杭工事に関するデータ偽装について、同社の調査にこう答えているという。

 建築基準法施行令は、マンションなどの大きな建築物について、杭を「支持層」と呼ばれる強固な地盤まで打ち込んで固定するよう定めている。

 旭化成建材は多くのゼネコンの下請けに入っており、影響は広がっている。

 野村不動産、住友不動産、東急不動産などマンション販売各社は情報収集を急ぐが、どの物件に関わっているのかゼネコン経由で調べるしかなく、特定に時間がかかっているという。

(岡管連から)

 横浜市でのマンション傾斜問題のマンションは、2006年に販売を始めたもので、2007年に完成した。

 最高12階建てで、住居4棟に計705世帯が入っている。

 マンション住民として、推計で約1700人が生活している。

| 2015年10月19日 | カテゴリー 偽装問題 

【旭化成建材、10年分】

 横浜市都筑区のマンションで杭の一部が強固な地盤に届いておらず建物が傾いていた問題で、工事を担当した旭化成建材は15日、過去10年間に杭工事をした全国の約3000棟を調べることを決めた。

 傾いたマンションでは杭工事で偽造データが提出されていたとして、親会社の旭化成は調査委員会を発足させた。

 旭化成によると、調査するのは杭工事の施工報告書が残っている物件。

 約3000棟はマンションや倉庫、商業施設などで、物件名は「所有者の理解が得られていない」と明らかにしていない。

 (岡管連から)

 岡管連として、この偽造問題は、今後注視していきます。更なる問題がはらんでいると思われます。

| 2015年10月17日 | カテゴリー 偽装問題