個人情報と名簿の取扱い

4 名簿の取扱い細則のポイント

(4)名簿の管理

   組合員名簿の管理については、標準管理規約第64条で「理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員

  名簿及びその他の帳票類を作成して保管」と定められており、理事長が責任を持つことになっています。

   個人情報に関しては厳密な管理が求められていることから、管理事務室内の鍵のかかる金庫や書庫で

  保管し、鍵を持つ人を限定することが原則で、具体的な管理方法、名簿の取扱者等について細則に定めて

  おく必要がありますが、原則を優先するあまり緊急時の迅速な対応がとれなくなる等の支障が出ることの

  ないよう、実際の使用実態も考慮した上で管理方法を定めることが大切です。

   また、実際には名簿の管理は管理会社(管理員)に委託している場合も少なくないと思われますが、

  その場合は管理会社との覚書等で管理方法、責任の所在等をはっきりさせておくことが重要です。

  

公益財団法人マンション管理センター 企画部長 有田 信也

| 2019年2月13日 | カテゴリー 個人情報と名簿の取扱い 

4 名簿の取扱い細則のポイント

(3)名簿の利用目的

   個人情報保護法は、個人情報取扱事業者が個人情報を取り扱うに当たっては、その利用目的をできる

  限り特定しなければならないとするとともに、原則として、あらかじめ本人の同意を得ないで、この特定

  された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、その個人情報を取り扱ってはならないものとしています。

   この主旨を踏まえると、各種名簿を作成・利用するにあたり、管理組合は、名簿の利用目的をあらかじ

  め特定し、情報取得の際には、本人への通知、マンション内の見やすい場所への掲示、規約や使用細則等

  に記載して各戸に配布する等の措置を講じるとともに、名簿の取扱いは、この特定された利用目的の達成

  に必要な範囲内に止めることが望ましいと考えられます。

   また、名簿の利用目的は管理組合ごとに異なることも考えられますので、特定する利用目的は利用の

  実態を踏まえた過不足のないものとするとともに、利用目的の達成に必要な範囲内にあることを合理的に

  判断できる程度に明確なものである必要があります。

公益財団法人マンション管理センター 企画部長 有田 信也

| 2019年2月11日 | カテゴリー 個人情報と名簿の取扱い 

4 名簿の取扱い細則のポイント

(2)名簿の種類

  ①組合員名簿(区分所有者名簿)

    区分所有権の対象となる専有部分ごとの区分所有者の名簿が、「組合員名簿」です。

    総会の招集、総会の成立や議決の要件確認、管理組合の役員の選任、管理費等の請求等で必要に

   なる名簿です。

    記載する内容は、氏名の他、総会案内等を送付できる住所、緊急時に連絡がとれる電話番号に加え、

   電子メールアドレスも届け出てもらうことで情報の迅速な伝達が可能になります。

  ②居住者名簿

    マンションに現に居住する人の名簿が、「居住者名簿」です。

    建物や設備の管理又は使用や緊急時、災害時の対応等で必要になる名簿です。

    区分所有者、占有者(賃借人等)の別に関わらず、各住戸に居住する人が判るように、その家族も

   含めた情報を記載した名簿を作成しておくことが重要です。

  ③要援護者名簿

    「要援護者名簿」は、災害時の緊急時において、要援護者の生命、身体及び財産を保護することを

   目的として作成されるもので、居住者からの申出に基づいて作成されるのが基本です。

    管理組合は、要援護者の状況を事前に把握して緊急時に適切な対応がとれるように備えるとともに、

   緊急時にはこれを活用して必要な援護活動を行うことになります。

    記載する内容は、名簿の性格に鑑みて、援護が必要な人及びその理由が判るものとし、緊急時に

   すぐに対応できるよう、同居の家族を含む緊急連絡先等必要な情報がこの名簿だけで全て判るように

   する必要があると考えれれます。

公益財団法人マンション管理センター 企画部長 有田 信也

| 2019年2月09日 | カテゴリー 個人情報と名簿の取扱い 

4 名簿の取扱い細則のポイント

(1)名簿の定義

   管理組合が取り扱う「名簿」の定義をはっきりとする必要があります。

   一般的には、届出のあった個人の情報を一覧表の形式に取りまとめたものを名簿と呼んでいますが、

  一覧表に取りまとめることはせず、届出様式に必要な情報を記載して提出された「届出原票」を綴った

  ものを名簿と読んでいる場合もあります。

   また、一覧表も紙に印刷されたものだけではなく、パソコンで一覧表に加工され、そのまま印刷する

  ことなく電磁的に保管、随時更新されることもあろうかと思います。

   この場合は、電磁的状態の名簿が存在することになります。

   したがって、細則の制定にあたっては、

  ①届出原票を綴ったもの、

  ②それを一覧表に取りまとめた紙の名簿、

  ③パソコンに保管してある電磁的状態の名簿等、

  「名簿」に関する情報を有するものすべてを名簿に含むよう明確に定義することが必要だと考えます。

公益財団法人マンション管理センター 企画部長 有田 信也

| 2019年2月07日 | カテゴリー 個人情報と名簿の取扱い 

3 マンション管理組合に適用される個人情報保護法の規定

(1)個人情報の利用目的

   個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たり、その利用目的をできる限り特定しなければ

  なりません。また、個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、この特定された利用

  目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならないものとされています。

(2)個人情報の取得

   個人情報取扱事業者は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはなりません。また、

  個人情報取扱事業者は、原則としてあらかじめ本人の同意を得ないで、本人の人種、信条、病歴など、

  本人に対する不当な差別又は偏見が生じる可能性のある個人情報(要配慮個人情報)を取得しては

  ならないとされています。

   個人情報取扱事業者は、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を

  除き、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならないものとされています。

   そのため、管理組合が個人情報を取得するに際しては、あらかじめ個人情報の利用目的を公表して

  おくことが、円滑な組合運営の点からは望ましいといえます。

(3)個人データの管理

   個人情報取扱事業者は、利用目的の達成に必要な範囲内において、個人データを正確かつ最新の内容に

  保つとともに、利用する必要がなくなったときは、当該個人データを遅滞なく消去するよう努めると

  ともに、その取り扱う個人データの漏洩、滅失又は毀損の防止その他の個人データの安全管理のために

  必要かつ適切な措置を講じなければならないものとされています。

4)個人データの第三者提供の制限

   個人情報取扱事業者は、法令に基づく場合等例外とされる場合を除き、あらかじめ本人の同意を得ない

  で個人データを第三者に提供してはならないとされています。したがって、管理組合が個人データの第三

  者提供を行う場合には、個人データの情報を取得する段階で本人に同意を得ておくことや、第三者提供を

  規定化しておくことが望ましいと思われます。

(5)保有個人データの開示等

   本人は、個人情報取扱事業者に対し、当該本人が識別される保有個人データの開示を請求することが

  できます。

   請求を受けた個人情報取扱事業者は、遅滞なく当該保有個人データを開示しなければなりません。

公益財団法人マンション管理センター 企画部長 有田 信也

| 2019年2月05日 | カテゴリー 個人情報と名簿の取扱い 

2 個人情報とは

(1)個人情報

   「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であり、その情報に含まれる氏名、生年月日その他の

  記述等により特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の

  個人を識別することができることとなるものを含む。)をいいます。

(2)個人データ

   特定の個人情報が検索可能な状態になるように体系的に構成されたものを「個人情報データベース等」

  といい、個人情報データベース等を構成する個人情報を「個人データ」といいます。

(3)保有個人データ

   個人情報取扱事業者が、開示、内容の訂正、追加又は削除、利用の停止、消去及び第三者への提供の

  停止を行うことのできる権限を有する個人データであって、当該個人データの存否が明らかになること

  により本人又は第三者の生命、身体又は財産に危害が及ぶおそれがある等公益その他の利害が害される

  もの又は6ヶ月以内に消去することとなるもの以外のものを「保有個人データ」といいます。

公益財団法人マンション管理センター 企画部長 有田 信也

| 2019年2月03日 | カテゴリー 個人情報と名簿の取扱い 

1 はじめに

   平成27年9月に個人情報保護法が改正され、平成29年5月30日から全面施行されたところです。

   改正前の個人情報保護法では5000人以下の個人情報しか有しない小規模事業者は法規制の適用対象

  外でしたが、今回の改正により、営利・非営利を問わず、個人情報を取り扱う「すべての事業者」が規制

  の対象となりました。

   このため、マンションの管理組合も、例えば、組合員名簿等を作成して管理組合の業務に活用している

  と、個人情報データベース等を事業の用に供している場合に該当し、個人情報取扱事業者として個人情報

  保護法の規制が適用されることになります。

   マンション管理組合では、日常の業務において多くの個人情報を扱っています。例えば、総会の招集、

  総会の成立や議決の要件確認、管理組合の役員の選任等の際は、多くの管理組合で「組合員名簿

  (区分所有者名簿)」を活用していることと思いますが、今般の個人情報保護法の改正に伴い、

  管理組合も法規制の適用対象となったことから、名簿の管理、閲覧、配布等については、法律の規定に

  則った対応を取ることが必要になります。

公益財団法人マンション管理センター 企画部長 有田 信也

| 2019年2月01日 | カテゴリー 個人情報と名簿の取扱い