【解明これから/住民疑惑指摘公表まで10カ月】
(山陽新聞朝刊10・19より)
全4棟計705戸の大規模マンションの住民が、販売した三井不動産レジデンシャルに対し、「手すりにズレがある」と指摘したのは昨年11月26日。
同社が住民説明会で示した資料などによると、傾いた棟からつながる渡り廊下の手すりが、別棟との結合部分で約2センチ低かった。
同社は今年2月、外壁の傾斜測定などの簡易検査を実施。
7月下旬になってようやく、2カ所で杭が強固な地盤である「支持層」に届いていることが確認できなかったと、住民側に報告した。
この間、同社は廊下のズレについて「東日本大震災時に棟の揺れ方に違いがあって生じたひずみと推察される」と説明したとされる。
一連の経過に住民側は「交渉には長い時間がかかった。責任逃れに終始し、まったく不誠実な対応だった」と憤る。
【建て替え住民合意の壁】
(朝日新聞朝刊10・17より)
マンション建て替えには住民の合意形成が必要だが、複数等の棟がある団地では特にハードルが高い。
国土交通省によると、全国のマンションは約613万戸。
過去に建て替えられたマンションは1万6600戸、計211件だけだ。
多くは旧耐震基準以下で建設され、老朽化したケースだが、10件は2005年に発覚した耐震偽装事件で強度不足が発覚したマンションだった。
耐震偽装事件では、すべてのマンションの建て替えに6年を要した。
(注)下線は、こちら側で記載。