欠陥マンション

タイルの施工方法で差が

 タイルの剥離、浮きは、コンクリート下地の問題とからむ。原因のひとつは、工法の変化にある。以前は、躯体コンクリート打設後に、コンクリートの表面にモルタルを塗り、その上にタイルを貼る工法だったが、10数年前から、型枠精度が上がり、コンクリート躯体面に直接タイルを貼る工法になった。しかも、塗装された型枠材を使うことが多く、コンクリート表面はつるつるになる。また、型枠を外しやすいように型枠剥離剤(油脂系)を使用、コンクリート面に剥離剤が残ったままでタイルを貼ることになる。竣工後数年で剥離・浮きが起き、広がったとみられる。

 これを防ぐには、コンクリート表面に、高圧洗浄などで「目荒らし」を行い、表面に凹凸を形成、タイルとコンクリート面の接着面積を増やすことで、剥離しにくくする。最近の施工では、工法の改善で、タイルの浮きは、減ってきたとみられる。

 タイルが落下すれば住民、通行人にも被害が及ぶケースも予測されるため、剥離、浮きは、放っておけない問題だ。

岡管連から

 岡山のマンションでも、タイルの剥離、落下が起きて、問題になった建物があります。タイルの剥離・落下が起きた後、当管理組合から岡管連に相談が寄せられ、岡管連が仲介・紹介した1級建築士、住宅問題に詳しい弁護士が対応にあたり、解決に至った事案がありました。

 結局、問題が発覚後、改修工事で解決するまでに、約3年費やしました。

 品確法では、タイルの瑕疵保証は、竣工後2年間です。

| 2017年8月03日 | カテゴリー 欠陥マンション 

10数年前のマンションに多発

 外壁にタイルを張ったマンションで、タイルの剥離・浮きがここ数年、目立つようになった。調査の結果、50%を超えるタイルが浮き、という異常なケースも出現、管理組合は頭を抱える。10~20年前に竣工した比較的築年数の新しいマンションに目立つが、コンクリートの表面にタイルを直貼りする施工方法を採用したマンションでとくに目立つ。タイルの補修では、瑕疵責任かどうかで、管理組合と工事業者との交渉が難航、タイル紛争が、長期化するケースも出てきた。

 一般的に、7%程度の剥離・浮き現象は、過去にもみられたが、最近は、10%、さらに50%を超える事例も出た。5割を超えると、見る影もないほどの外壁になる。

 タイルの工事瑕疵については、2011年7月の別府マンション事件の最高裁判決が知られる。この裁判は賃貸マンションを一棟ごと買った原告がひび割れなどの瑕疵を理由に、設計監理会社、施工会社を被告として、損害賠償を請求した事案。1996年に提訴、大分地裁、福岡高裁判決の後、最高裁の差し戻し判決、さらに再度の高裁判決、さらに再度の最高裁の差し戻し、と長期裁判となった。

 判決では、建物の基本的安全性を損なう瑕疵とは、居住者等の生命、身体、財産に対する現実的な危険をもたらしている場合に限らず、当該瑕疵の性質に鑑み、これを放置するといずれは居住者等の生命、身体または財産に対する危険が現実化することになる場合には、当該瑕疵は建物としての基本的な安全を損なう瑕疵に該当すると解するのが妥当である、とした。

| 2017年8月01日 | カテゴリー 欠陥マンション 

中四国ネット岡山支部創立20周年記念 研究会

 岡山弁護士会館にて、6月10日13時30分からマンションを含めた欠陥住宅被害全国連絡協議会が開催された。

(基調講演)

 ・演題:「建築瑕疵の法律と実務」

 ・講師:大地法律事務所 弁護士 1級建築士 岩島 秀樹先生

(岡山でのマンション事例2件の報告)

 1 築1年のマンションの陸屋根の防水層の膨れ、剥がれ等の瑕疵事案

 2 築5年のマンションの外壁タイル剥落の瑕疵事案

岡管連から

 上記2の事案は、岡管連が当初から初期対応を行い、1級建築士及び弁護士につなげて、2年超かけて瑕疵の事案が解決に至ったものです。

 

| 2017年6月11日 | カテゴリー 欠陥マンション 

【購入前 昔の土地状況や工期 確認を】

 これからマンションを購入する人は、どのような点に注意すればいいのか。

 物件の検討段階で考慮したいのは土地の歴史だ。

 海、沼、池、川だった土地は地盤が弱い可能性も。

 国土地理院のホームページでは、古い地図が閲覧できる。

 次に工期。極端に短い工期は手抜き工事の温床となる。

 工法によっても異なるが、一般的には「マンションの階数プラス数カ月はかかる」と言われる。

 業者選びはどうか。通常、建設に関わる会社は「設計・施工・監理」と役割が違う。

 広告に載っている「物件概要」などを見て、それぞれの担当会社を把握し、過去に手がけた物件の評判を

調べてみよう。

 契約後でも、不具合を見つけられるタイミングはある。引渡し前におこなわれる内覧会だ。

(岡管連から)

 広告に記載されていて、細かい字で書かれている「物件概要」は、購入予定者がほとんど見ていないのではないでしょうか?

 その中には、設計・監理会社や施工会社だけではなく、費用負担や管理会社など様々な情報が記載されています。

 マンションを選ぶ際、展示会場や写真などでの室内の良さ、利便性や景観などを考慮するだけではなく、

マンション購入後の生活面や、維持管理面など管理規約に記載されています権利・義務の関係にマンション居住者は、制約されることになります。

 マンションは一戸建てとは違い、自由度が制限されます。

| 2015年11月13日 | カテゴリー 欠陥マンション 

【管理組合で情報集約】

 『建物の不具合の情報は管理組合に集約して、販売会社とのやりとりも組合として行うのが基本です。』

 住民にとって最も気がかりなのは、不具合が重大な欠陥に起因するのかどうかだ。

 それを見極めるためにも、1級建築士は『専門家に早めに相談を』と助言する。

 販売会社に調査を要請しても、渋るケースが少ないからだ。

 欠陥は、入居者の目には普段触れない部分に潜んでいることが多い。

 共用部の地下スペースでは、配線・配管のためにコンクリートの一部をくりぬく作業で誤って内部の鉄筋を切断してしまった跡など、耐震性に関わる施工ミスが本格調査で見つかることも。

 1級建築士は『地下をみると、依頼のあった物件の2~3割で何らかの欠陥が見つかっていますと』と話す。

 費用は、管理組合でアンケートを配布・回収するなど工夫をすれば、予備調査が1世帯当たり数千円程度。

 本格調査は別途、費用がかかる。

(岡管連から)

 住宅に関する『瑕疵担保責任』では、売主が欠陥の責任を負う期間は、以下のとおりです。

原 則:建物の引渡しは、2年。

特 例:基礎や柱などの基本構造部分及び雨漏りは、10年。

     と義務付けられている。

| 2015年11月11日 | カテゴリー 欠陥マンション 

【経過分かるよう記録】

 横浜市のマンションでは、固い地盤に杭が届いたかのようにデータが偽装されていた。

 では、入居後に欠陥に気付く手立てはあるのか。

 「毎日通る廊下などでいいので、共用部にも定期的に目を向けてみてください」と

1級建築士の大川さんは言う。

 今回の問題も、棟の連結部分にある手すりにズレが生じているのを入居者が見つけたのが発端

と言われている。

 住まいの様子が「おかしい」と感じたら、次にどうすればいいのだろう。

 1級建築士の岩山さんは、「建物の状態は変化するので、不具合は経過が分かるように記録して

おくべきだ」と指摘する。

 写真を撮り、ひび割れなどがある場合は測る。

【我が家のマンションは大丈夫?】

―こんな不具合は要注意―

1 床の傾き

 ・ビー玉やパチンコ玉を使い、床においてみて、そのころがり具合を見る。

 ・建物が沈んでいる可能性も・・・

2 ひび割れ

 ・柱や梁、壁などに斜めに入っているひびは特に注意。

 ・ひびの幅が2ミリ以上は、補修の検討を要する。

 ・鉄筋やコンクリートの施工不良もある。

3 雨漏り

 ・水がしみて内部の鉄筋が腐食すると、強度にも影響する。

 ・コンクリートの白華現象を見逃さない。

                   (注)下線部は、こちら側で記載。

【販売会社と交渉するには】

1 記録すべし

 ・不具合箇所の写真を撮り、メモを。

 ・交渉の過程も。

2 管理組合で共有

 ・個人でなく、管理組合で情報は共有。

 ・交渉も管理組合として。

3 専門家を味方に

 ・経験豊かな専門家に早めに相談を。

(岡管連から)

―自分のマンションを知ろう―

 管理組合の自主点検として、年1回の『マンション探検隊ツアー』のイベントを企画する。

 合わせて、イベント終了後は簡単な食事会などや、探検隊ツアーを通した話し合いなどで、和やかなマンションのコミュニティーを形成することも目的とする。

 『マンション探検隊ツアー』で必要な7つ道具は、以下のものです。

① 巻尺(メジャー)

② クラックスケール

③ 懐中電灯

④ カメラ

⑤ メモ台

⑥ 雑巾、ハケ、ブラシ

⑦ 双眼鏡

| 2015年11月09日 | カテゴリー 欠陥マンション 

―居住者意識の結束/『二次被害』の防止―

 ところで、欠陥が見つかったマンションに住む住民にとって、『マンションの資産価値が下がってしまうのではないか』という心配も大きいだろう。

 こうした不安があるため、欠陥だという情報を外部に漏れないよう管理組合の理事会などが抑えて、住民が情報を共有していないケースも意外に多いという。

 実は、これが思わぬ『二次被害』につながりかねないのだ。

 たとえば、共用部分の不具合や欠陥を知らない住民がマンションを売ったとしよう。

 マンションの売買契約をするとき、不具合などがあれば相手にその旨を告知しなければならない。いったん契約が成立した後で、新しい買い主が不具合を知ることになったら、『告知義務違反』を指摘され、契約の無効や、さらには違約金の支払いまで求められかねない。

 不具合の発覚から調査、さらに補修工事の終了や最終的な確認検査に至るまで、経過を記した詳細な報告書を組合で作成しておけば、マンションを売るとき、相手側に安全な物件であることを示すこともできるのだ。

 冒頭の横浜のマンションの理事は、こう語っていた。

 『居住者全員が一枚岩になったことが一番よかったのかもしれないですね』

 長い闘いでもあきらめず、住民が結束してことに当たる。これが欠陥マンションと闘う際の、もっとも重要なポイントかもしれない。

 

(シリーズを通しての感想)

・欠陥マンションに住んでいるかにかかわらず、マンションに『無関心』でいれば、

 後で大きな問題となり、取り返しのつかないことが往々にある。

・余談であるが、岡管連が『二つの老い』という大きなテーマを掲げているが、

 マンションの『二次被害』の例として、居住者の高齢化、夫婦二人又は一人住まいが

 増加するにしたがって、社会とある意味隔離されたマンション(無縁(援)社会

 において、『孤立死』、『孤独死』が起きていること自体、外部に漏れないよう

 にしている管理組合もあるという。

| 2014年7月05日 | カテゴリー 欠陥マンション 

―引き渡しからの年で変わる負担―

 実際の調査は、予備調査と本格調査に分かれることが多いという。欠陥住宅問題に取り組むNPO『建築Gメンの会』理事長の大川照夫氏が語る。

 『予備調査では半日から一日かけて配置や設計図書を確認しながら調査します。その後の本格調査で目視し、機材を使用して専門的な調査を行います』

 そして、調査の結果、欠陥がわかり、いよいよ補修工事が必要になった場合、構造上の欠陥であれば、売り主が補修工事を行わなければならない。売り主は法律上、『瑕疵担保責任』を負っている。つまり、瑕疵=欠点・欠陥があれば修復する責任があるのだ。

 このとき、物件の引き渡しからの期間によって費用負担が変わってくる。2年以内であれば、基本的にはアフターサービスが適用され、軽微な補修でも費用はすべて売り主が負担する。

 10年以内であれば、構造や雨漏りなどの不具合については、売り主が費用を負担することになっている。

 ただし、10年を過ぎているからといってあきらめてはいけないと強調するのは、前出の土屋氏だ。

 「欠陥が施工会社の施工ミスに起因すると一定程度証明できれば、10年を過ぎていても施工会社に『不法行為責任』を追及できる場合があるからです」

| 2014年7月03日 | カテゴリー 欠陥マンション 

―不具合の情報は組合で共有する―

外壁タイルの浮きや剥離も要注意だ。

 『竣工の12~13年後に大規模修繕工事をするとき、外壁タイルの浮きや剥離がかなり広範にわたっていることがわかることが多い。修繕のためにタイルをはがしてみたら、構造スリット(耐震性を高めるために柱と壁の間に隙間を設ける設計手法)やコンクリート工事の不具合などの問題が見つかることもあるのです』(さくら事務所 マンション管理コンサルタント 土屋輝之氏)

 まず、手すりのズレやコンクリートのひび割れなどの異変が、構造的な欠陥につながるものなのかを見極めることが第一歩となる。

 このとき大事なのは、異常を発見したのが住民個人だったとしても、マンションの管理組合でその情報を共有することだ。

 個人で業者に対応すると、『許容範囲内』『問題ない』などとごまかされかねない。管理組合で理事会や総会を開いて、住民全体の問題として意思決定し、業者側と話し合っていきたい。

| 2014年7月01日 | カテゴリー 欠陥マンション 

―理事の苦労―

『一生に一度の買い物が欠陥商品だったら―』

 横浜市内のマンションで、施工ミスによって建物が傾いていたことが発覚した。実は、これは氷山の一角かもしれない。

 不具合が見つかったマンションの住民はどうすればいいのか、欠陥マンションとの 『闘い方』を週刊朝日(6・27号)よりその一部を4回シリーズで紹介する

 メディア等(岡管連HPでも紹介済)で6月に明らかになったこのマンションは、分譲した住友不動産も、施工した熊谷組も、すぐに欠陥を認めたわけではない。住民は分譲直後から、棟と棟とのつなぎ目にズレがあることを指摘してきたが、売り主側は、『地震などの衝撃を吸収した結果であり、問題はない』などと繰り返してきた。

 住民の闘いは、分譲から10年以上もかかった。補修工事になるのか、建て替えになるのか、現段階では未定だが、マンション管理組合の理事の一人は、この間の苦労をこう振り返る。

 『わたしたちのような素人集団が大企業を相手に闘うのは大変です。向こうは仕事だけど、こちらはあくまでボランティア。平日の夜や土日を使って相手と話し合いを続けました。調査会社など第三者の協力(注)がなかったら乗り越えられませんでした・・・」

*下線部は、こちら側で加筆。

(注)岡管連などNPOも協力可能。

| 2014年6月29日 | カテゴリー 欠陥マンション