3 空き家による管理上の問題
空き家による管理問題は、空き家率のステージにより、深刻さが異なっています。
空き家率は、5%未満であれば日常的にも長期的にも問題が表面化していません。
一般的なマンションでは『ステージⅠ(空き家率5%~10%未満)』になると、管理組合の対応の仕方
でなんとか問題を表面化しないで進められています。
しかし、『ステージⅡ(10%~20%未満)』になると、日常的な管理組合への対応がやや困難とな
り、かつ、長期的な展望を持ちにくくなります。つまり、総会への出席率が低下し、理事会の開催にも影響
が出ます。また、長期修繕計画の策定も滞り、積立金不足になりがちです。
さらに、『ステージⅢ(20~50%未満)』では、理事会の開催や総会への出席と入運営管理がより困
難となり、当然長期的な展望も取組も難しくなり、長期修繕計画を見直す体制が不十分となり、修繕積立金
が足りるかどうかすら把握できない状態になりがちです。こうして管理の負のスパイラルに陥りやすくなり
ます。
さらに、空き家化が大幅に進み、『ステージⅣ(50%~)』となると、エレベーターが止まり、ガス・
電気・水道も止まり、居住が困難となってきます。
(著)横浜市立大学国際総合科学部 教授 齋藤 広子