大規模修繕

 昨年の11月に天地人企画より、『大規模修繕 どこまでやるの いつやるの』(大槻博司 著)が発刊されました。

(目 次)

 1 管理組合の大仕事 大規模修繕

 2 外壁の塗り替え、屋上の防水改修

 3 設備の改修工事

 4 専有部分のリフォームに管理組合はどう関わる?

 5 マンションの耐震化

 6 修繕積立金はどうやって決める?

 7 マンション、ちょっと不思議な住まいの集合体

 8 マンション再生の展望

(企 画)

 新建築家技術者集団

(日本マンション学会 会長 梶浦恒男氏からのお言葉)

「マンションの大規模修繕工事は今や当たり前になりましたが、

 その時期と工事範囲はマンションごとに違って当然です。

 調査診断によって裏付けのある計画を立て、

 修繕積立金の無駄遣いを避けましょう。」

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| 2017年3月07日 | カテゴリー 大規模修繕 

大規模修繕工事の特徴と課題

1 仮設足場計画 基本的にゴンドラ作業

   適切な仮設足場方式の選定

   ① 工事の生産性・効率化、稼働率(工期)

   ② 工事中の居住者負担の軽減

   ③ 仮設費用

2 使用材料 高強度コンクリート

   補修材料の選択

   *高強度コンクリートは、一般のマンションに使用されるコンクリート強度よりも

    2.5倍の強度が必要

3 高額な改修費用と長い工期

   高額な修繕工事費

    ① 長い工期

    ② 特殊設備や仕様

    ③ 多様な用途、形状

   修繕周期の長期化に取り組む必要性

    ① より耐久性の高い材料や仕様の採用

    ② 点検、調査・診断の実施と適切な長期修繕計画の作成

    ③ 高品質な改修工事

    ④ 丁寧な合意形成

                   (著)公益財団法人 マンション管理センター

 「ゴンドラ作業」の画像検索結果  %e4%b8%a1%e5%82%99%e3%83%84%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%82%bf%e3%83%af%e3%83%bc

| 2017年1月29日 | カテゴリー 大規模修繕 

工 事 請 負 契 約

 総会の決議を経ると施工会社と工事請負契約を締結することになります。

 請負契約書は、契約書本文に工事請負契約約款、設計図書(質疑回答書、見積要項書、仕様書など)、工事費内訳書などを添付して、発注者であ管理組合と受注者となる施工会社の間で取り交わします。

 契約書に添付する工事請負契約約款は、これまで新築工事向けのものを代用することが一般的でしたが、今年4月にマンションの修繕工事に適合させた「民間(旧四会)連合協定マンション修繕工事請負契約約款」が発行されました。

 新たな約款は、マンションの共用部分を対象に実施される大規模修繕工事での利用を想定したものとなっています。

 これまでの工事請負契約約款の基本的な骨組みは変えずに、多様な形態が考えられる監理者の位置付けや、工事完成保証、工事遅延による違約金の考え方などについて、マンション修繕工事の実態を踏まえた修正が加えられたものとなっています。

 今後、マンションの大規模修繕工事では、この約款をもとにした契約書式が活用されるようになると考えられます。

                        (著)日本建築家協会メンテナンス部会員 奥澤 健一

(岡管連から)

 大規模修繕工事の進め方についての具体的詳細は、マン管センターが発行しています書籍「計画修繕工事実務マニュアル」をご参照ください。

| 2016年10月21日 | カテゴリー 大規模修繕 

施工会社の選定手順

4 見積内容の比較および面談(ヒアリング)

  各社から見積書や提案内容が提出されたら、理事会や専門委員会においてこれらを精査し、面談(ヒアリ

 ング)を行う会社を選考します。

  見積りの単価や計算に不備がないか、項目に漏れはないかどうかの確認はもちろんのこと、価格の妥当

 性、他社との比較で極端に安値や高値の項目がないか、著しいバランスを欠いたりしていないかなどをし

 っかりとチェックすることが大切です。

  工事項目別の一覧表や細目の比較表、分かりやすい分析グラフなどを作成して比較検討します。

  ヒアリングでは、施工会社から自社のPRも含め、施工計画、施工体制、工事中の居住者対応やアフタ

 ーサービス対応などについての説明を受けます。

  最近は大変わかりやすい説明資料を準備してヒアリングに臨む施工会社が少なくありません。

  説明内容や質疑応答を通じて、各社の取組姿勢や受注意欲を感じ取り、工事に対する理解度、施工や安

 全管理体制に問題がないか、工事中の居住者サービス内容、保証やアフターサービスなどについての細部

 を確認します。

  また、見積内容を精査した結果に基づく価格交渉や、必要に応じて再見積りの提示などを要請します。

  ヒアリングには一般に現場代理人といわれる「現場監督」の予定者についても出席を依頼し、面談によ

 り人柄や経験、コミュニケーション力などを確認することが望まれます。

  工事の品質確保や円滑な進行は会社の規模や知名度などではなく、現場監督の力量に大きく左右されま

 す。

  限られた時間の中で人柄や力量を判断するのは難しいことも事実ですが、服装や挨拶の仕方といった第

 一印象、話し方、質問に対する受け答えの仕方といったことなども重要な評価の一つになり得ます。

5 工事発注先の決定

  提示された見積価格に加え、提出資料やヒアリングなどで確認した諸事項の総合評価により、専門委員

 会で施工会社を選出し、その結果を理事会に答申します。

  理事会では専門委員会から答申を確認して発注先となる施工会社を内定し、総会における承認を受けて

 正式に施工会社が決定されます。

  総会では、工事の内容、工事金額、資金計画、施工会社などについての承認を得ますが、施工会社の選定

 のプロセスや内定に至った理由をきちんと説明し、正確な情報を開示することが必要です。

                        (著)日本建築家協会メンテナンス部会員 奥澤 健一

| 2016年10月19日 | カテゴリー 大規模修繕 

施工会社の選定手順

1 見積要項書・設計図書・参考見積内訳書の準備

  見積りの作成に当たり各種の条件がバラバラでは、見積り内容の比較や妥当性について判断することは

 困難です。

  そこで、工事の概要、見積りを行うのに必要となる諸条件(工事期間、作業時間、支払い方法、契約や

 保証条件など)を明記した「見積要項書」、工事範囲や工事仕様を記載した工事仕様書および改修計画図面

 といった「設計図書」、見積書の内訳明細に項目や仕様・参考数量を記載し、単価や金額欄は空白とした

 「参考見積内訳書」(見積項目一覧表、金抜き見積書などともいいます。)を作成します。

  これらは主に設計監理を委託されたコンサルタントが理事会や専門委員会と協議しながら工事の方針を踏

 まえて立案し、専門委員会の承認を得て最終的には理事会がとりまとめます。

2 施工会社の募集

  マンションの規模や工事の内容を勘案し、建設業の許可、会社の所在地、資本金、財務状況、工事実績

 件数などに一定の条件を定め、見積り参加の資格条件とします。

  建物概要、工事概要、工事期間、その他諸条件を示し、見積合わせに参加をする施工会社を募集します。

  募集方法には、業界紙やWEBサービスなどを利用した公募、インターネットでの検索、近隣や他のマン

 ション管理組合からの情報収集、組合員からの推薦やコンサルタントからの情報提供といった方法があり

 ます。

  新築時の元施工会社、過去の修繕工事などで実績や関係のある施工会社、日常管理を委託している管理

 会社なども候補となる場合もあります。

  なお、安価な報酬で業務を受託してバックマージンや談合を仕組むような悪質なコンサルタントもいる

 とされますので、コンサルタントに過度に依存せず、管理組合自らが主体的に取り組むことが大切です。

3 見積り依頼と見積りの受領

  応募のあった施工会社から必要書類を取り寄せて、会社概要(建設業登録や技術者数)、財務状況、工事

 実績などについて審査し、見積りを依頼する会社を5~10社に絞り込みます。

  業界紙などで公募をすると数十社から公募が寄せられることも少なくありません。

  どのように絞り込んだのかを明確に説明できるよう、客観的評価基準を定めて理事会あるいは専門委員会

 の場で公平に審査する必要があります。

  次に、書類審査により絞り込んだ施工会社に「見積要項書」「設計図書」「参考見積内訳書」などの説明

 や配布をして見積りの提示を依頼します。

  見積期間中は施工会社それぞれが現地を確認し、工事仕様や設計内容に対する質疑応答したうえで見積書

 の提出を受けます。

  見積書の提出に当たっては、見積りの内訳明細に加えて、工程表や施工体制表、必要に応じて技術的な

 提案なども求める場合もあります。

                        (著)日本建築家協会メンテナンス部会員 奥澤 健一

| 2016年10月17日 | カテゴリー 大規模修繕 

施工会社の選定方式

① 見積合わせ方式(総合評価方式)

  施工会社の会社規模、経営状況、工事実績などに一定の条件を設けて複数会社を選出し、設計仕様書に基

 づく統一の見積り条件や書式などにより見積書の提出を受け、面談(ヒアリング)などを行い発注先を決定

 する方式です。

  施工計画や技術的な部分なども含めて総合的に評価することから、必ずしも最低価格を提示した会社が発

 注先となるとは限りません。

② 入札方式

  入札希望者を公募または指名し、競争入札を行う方式で、原則として最低価格を提示した会社が発注先と

 なります。

  価格だけの競争となりがちで、品質がおろそかになるリスクがあるとされます。

③ 特命随意契約方式

  新築時の元施工会社や管理会社、以前の修繕工事で契約実績がある施工会社など、特定の1社から見積り

 を取得し、その内容について検討・協議したうえで契約する方式です。

  競争が働かずに価格的に割高となる傾向があることや、小規模あるいは緊急性のある場合を除いては、公

 平性や透明性の点で問題となることが少なくありません。

  施工会社を選定する要素は、価格に加え、会社規模、経営状況、保証能力、工事実績、施工能力や技術力

 など多岐にわたります。

  さらに、工事受注に向けた熱意や取組姿勢をも勘案して総合的に判断することが望ましいとされます。

| 2016年10月15日 | カテゴリー 大規模修繕 

設計監理方式と責任(設計)施工方式

 大規模修繕工事の発注方式には、設計監理方式と責任(設計)施工方式に大別されます。

 設計監理方式は、建築士事務所などの専門家(コンサルタント)に調査診断、修繕設計、施工会社選定の支援、工事監理などを委託する方式です。

 責任(設計)施工方式は、管理組合が特定の施工会社に設計から施工までを一括して依頼する方式です。

 それぞれに一長一短がありますが、設計監理方式の場合は、第三者が介在することで施工会社を選定する判断において客観性を持たせることができるとされます。

 責任(設計)施工方式であっても管理組合と施工会社の間で信頼関係が構築されていれば問題ありませんが、客観的な判断が十分にできないリスクがあることを否定することはできません。

 どちらの方式を採用するかは、工事内容や規模にもよりますし、管理組合の考え方によっても異なると思われます。

 複数の施工会社に見積もりを依頼する場合、工事範囲や内容、改修仕様や工法などをきちんと決定して共通の条件で見積りを依頼しないと、各社各様の見積りが提出されることとなり、見積内容の比較や妥当性を判断することは困難です。

 大規模修繕工事を例にとると、最近は外壁などの補修や塗装・防水といった基本的な工事以外に、玄関ドアやサッシ、手摺金物といった大型の二次的部材の改修や、バリアフリー化やグレードアップといった工事を実施する事例も多くあります。

 このように工事内容が多様化・複雑化する傾向にあり見積内容の妥当性を判断するには専門的な知見が求められますので、施工会社の選定に際してのコンサルタントによる支援は不可欠になると思われます。

                        (著)日本建築家協会メンテナンス部会員 奥澤 健一

| 2016年10月13日 | カテゴリー 大規模修繕 

大規模修繕工事の運営体制

 マンションの外壁修繕や屋上防水、給水管や排水管の改修といった大規模な修繕工事では、工事を実施しようという発意から工事の完了までに2~3年の期間を要することが少なくありません。

 管理組合の通常業務は理事会が執行していきますが、理事の任期は1~2年程度であることが多く、大規模修繕工事のプロジェクトを継続的に遂行するのは難しい面があります。

 そこで、理事会とは別に大規模修繕工事に取り組む専門委員会を設置し、継続性を持ってプロジェクトを進める場合が少なくありません。

 専門委員会のメンバーには、建築や設備に詳しい知識を持つ人や、理事経験者や以前に大規模修繕工事に関わったことのある人、専門的知識や経験はなくても大規模修繕工事への関心が高く意欲のある人など、年齢や性別を踏まえて多様な立場の人をバランスよく揃えることが望ましいとされます。

 専門委員会の設置に当たっては、大規模修繕工事の発注先となる可能性のある会社に関係のある組合員が理事や委員となる場合には、施工会社の選定段階には関与しないなどといった、一定のルールをあらかじめ設けておくことも望まれます。

                        (著)日本建築家協会メンテナンス部会員 奥澤 健一

(岡管連から)

 一定のルールとしては、『大規模修繕工事専門委員会運営細則』などがあります。

 また、本年3月に改正された『標準管理規約』では、新たに『利益相反取引の禁止』条項が盛り込まれました。

| 2016年10月11日 | カテゴリー 大規模修繕 

 前回の『計画修繕工事の実施の発意』に続き、第2弾として、管理組合が計画修繕工事を行うための体制を整えていく必要があります。

【検討体制の整備】

 計画修繕工事は実施の発意から工事の完了まで2~3年程度かかりますが、管理組合の役員の任期は1・2年程度ですし、通常の業務と併せて行うには負担が大きいため、一般的には、理事会から諮問を受けて検討を行う大規模修繕工事専門委員会(大規模修繕委員会)を設置します。委員には、経験、知識、意欲がある区分所有者や若い人の参加等多様な立場の人をバランスよく選び、大規模修繕委員会は、役員の改選時期にとらわれず、継続した検討を行います。

 大規模修繕委員会を設ける場合は、その位置づけ、検討する事項などを明確にしておかないと大規模修繕委員会と理事会との間でトラブル等が生じることがありますので、大規模修繕委員会の運営細則や委員の公募要領を定めておくことが望まれます。

                     『計画修繕工事実務マニュアル』より

| 2014年11月05日 | カテゴリー 大規模修繕 

 11月15日(土)に、岡管連主催の『第10回 マンション生活支援セミナー』が開催されます。

 この度のセミナーでは、専門家による『大規模修繕工事の進め方』についての講演を予定しています。

 そこで、管理組合としてまず取り組まなければならない計画修繕工事を進めるにあたって、初期の準備段階を2回のテーマに分けて取り上げることにしました。

 なお、公益財団法人 マンション管理センターから『計画修繕工事実務マニュアル』の改訂版が、この9月に発行されています。

【計画修繕工事の実施の発意】

 計画修繕工事の実施の検討は、一般的には、長期修繕計画で設定されている時期を目安として、その2年~3年ぐらい前から準備を始めます。その他、日常点検で劣化が目立ってきた、居住者からの要望等が多くなってきた、災害や法定点検において修繕の必要性が指摘された、管理会社や施工会社より提案があった場合などがあります。

 長期修繕計画で設定されている時期はあくまでも目安であり、マンションの立地条件、管理状態などにより異なりますので、調査・診断を行って工事の実施の時期と内容を判断します。新築時の建物や設備の性能・機能を維持・回復する修繕工事が主体ですが、経年とともに性能や機能を向上する改良工事の検討も必要となります。

 まずは、修繕担当理事などが、計画(大規模)修繕工事に関するセミナーや他のマンションの計画修繕工事の見学会などに参加したり、理事会において勉強会を行うなど、情報の収集と理解を深めるところからスタートします。

 また、計画修繕は居住者が住みながらの工事ですので、日常生活になるべく支障が出ないように、また、直接仮設や共通仮設の設置費用の軽減を図るため、修繕工事の集約の検討が必要です。

                     『計画修繕工事実務マニュアル』より

| 2014年11月03日 | カテゴリー 大規模修繕