行政情報
社会情勢を踏まえた改正
Ο 暴力団等の排除規定
暴力団の構成員に部屋を貸さない、役員になれないとする条項を整備。
Ο 災害時の管理組合の意思決定
災害時等における理事長等による応急的な補修や、緊急避難措置としての専有部分への立入り等に関する
規定を整備。
Ο 管理状況などの情報開示
大規模修繕工事の実施状況や予定、修繕積立金の積み立て状況などの情報を開示する場合の状況を整備。
その他所要の規定の改正を実施
マンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律(平成26年法律第80号)の施工等に
伴う改正、字句の修正等。
選択肢を広げるもの
Ο 外部の専門家の活用
理事長を含む理事及び監事について、これまで区分所有者に限定していたものを、選択肢として外部の
専門家も就任可とし、利益相反取引の防止、監事の権限の明確化等の所要の規定を措置。
Ο 議決権割合
新築物件における選択肢として、総会の議決権(及び譲渡契約時の敷地の持分割合)について、住戸の
価値割合に連動した設定も考えられる旨の解説を追加。
適正な管理のための規定の明確化
Ο コミュニティ条項等の再整理
防災・防犯、美化・清掃などのコミュニティ活動が可能であることを明確にし、判例も踏まえた条項
として各業務を再整理。
Ο 管理費等の滞納に対する措置
管理組合が滞納者に対して取り得る各種の措置について段階的のまとめたフローチャート等を提示。
【外部専門家の活用及びその場合の留意事項を明記】
Ο『基本的方向』に外部専門家活用及びその場合の留意事項を記載
・マンションの状況によっては、外部の専門家が、管理組合の管理者等又は役員に就任することも考え
られる。
・その場合には、マンションの区分所有者等が当該管理者等又は役員の選任や業務の監視等を適正に行う
とともに、監視・監督の強化のための措置等を講じることにより適正な業務運営を担保することが重要。
Ο『管理組合が留意すべき基本的事項』に外部専門家を活用する際の留意事項を記載
(発注等の適正化)
・管理業務の委託や工事の発注等については、利益相反等に注意して、適正に行われる必要。
・とりわけ外部の専門家が管理組合の管理者等又は役員に就任する場合においては、マンションの区分所有者
等から信頼されるような発注等に係るルールの整備が必要。
【コミュニティ形成の積極的な取り組みを新たに明記】
Ο前文及び『管理組合が留意すべき基本的事項』に、新たに、コミュニティ形成について位置付け
・マンションにおけるコミュニティ形成は、日常的なトラブルの防止や防災減災、防犯などの観点から重要。
・管理組合においても、建物の区分所有等に関する法律に則り、良好なコミュニティの形成に積極的に取り
組むことが望ましい。
・その際、自治会及び町内会等は各居住者が各自の判断で加入するものであることに留意すること。
・特に、管理費の使途については、マンションの管理と自治会活動の範囲・相互関係を整理し、管理費と
自治会費の徴収・支出を分けて適切に運用することが必要。
・なお、このように適切な峻別や代行徴収に係る負担の整理が行われるのであれば、自治会費の徴収を代行
することや、防災や美化などのマンションの管理業務を自治会が行う活動と連携して行うことも差し支え
ない。
3月14日、国土交通省から『マンションの管理の適正化に関する指針』(公示)及び『マンション標準管理規約』(局長通知)が公表されました。
【背景・経緯】
マンションの管理ルールについて、高齢化等を背景とした管理組合の担い手不足、管理費滞納等による管理不全、暴力団排除の必要性、災害時における意思決定ルールの明確化など、様々な課題が指摘されており、これら課題に対応した新たなルールの整備が求められている。
このため、平成24年1月に『マンションの新たな管理ルールに関する検討会』を設置、平成27年3月に報告書を取りまとめたところ。
パブリックコメントを、平成27年10月21日~11月19日で実施済。
(岡管連から)
次回から、『マンションの管理の適正化に関する指針の改正の概要』及び『マンション標準管理規約の改正の主要項目』について、各2回ずつお知らせしていきます。
【源泉徴収義務について】
皆さんの管理組合では、理事・監事の役員報酬はどうされているでしょうか。
無報酬でボランティアという管理組合もあれば、規約を定めて、役職に応じた一定額を報酬として支給している管理組合もあると思います。
役員報酬を支給している場合には、管理組合は、これらの報酬に対して源泉徴収義務がありますので、注意が必要です。
所得税法上、管理組合は人格のない社団に該当(管理組合法人は法人に該当)し、源泉徴収義務者となります(所得税法第6条)。
【特定個人情報の適正な取り扱い】
マイナンバーを取り扱う事業者は、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(「番号法」)に基づき、マイナンバーおよび特定個人情報の漏えい、滅失または毀損の防止その他の適切な管理のために、必要かつ適切な安全管理措置を講じなければなりません。
マイナンバーを取り扱う管理組合で、管理業務を管理会社に委託している場合は、マイナンバーの適正な取り扱いが可能となる各種対応策が講じられているか、委託する管理会社へ質問し、説明を受けておくことをお勧めします。
他方、管理業務を管理会社へ委託せず、自ら行っている管理組合の皆さんは、特定個人情報保護委員会が公表する「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業編)」を参考にして、必要な対応策を講じることが必要です。
【おわりに】
管理組合の業務に、マイナンバー制度導入による影響が及ぶ局面は多くないものと思いますが、マイナンバーを取り扱う場合には、番号法により、個人情報保護法よりも重い罰則が科されますので、特定個人情報の漏えい等に十分留意することが必要です。
マイナンバーを取り扱う場合には、弁護士などの専門家の助言を仰ぎ、適正な取扱いを行うことが望まれます。
(著)公認会計士・税理士 吉岡 順子
【はじめに】
平成28年1月から、行政機関や地方公共団体における業務の効率化を図り、行政手続きの簡素化を通じて、私たち国民の利便性を向上させ、所得や行政サービスの受給状況が把握し易くなることにより、より公平・公正な社会を実現することを目的として、個人・法人1人ひとりに番号(マイナンバー)が割り当てられ、社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)の運用が開始されました。
個人には、平成27年10月から、住民票を有する全ての人に12桁のマイナンバー(個人番号)が通知される一方、法人には、13桁の法人番号が指定され、名称・所在地と共に、国税庁HPで公表されています。
【法人番号が指定される場合】
管理組合は人格のない社団に該当(管理組合法人は法人に該当)しますので、
①収益事業に該当する事業を行っており、法人税・消費税等の申告納税義務を有する場合
または
②役員の報酬や管理組合が直庸する管理員の給与を支給している、あるいは、弁護士、公認会計士、
税理士、マンション管理士等の専門家を活用し、報酬を支払っており、給与等に係る所得税の源泉徴収義務
を有する場合
には、法人番号が指定されることになります。
(1)自動的に法人番号が指定される場合
税務署に、前記の①について、内国普通法人等の設立の届出書、収益事業開始の届出書または消費税課税事業者届出書を提出している場合、②については、給与等の支払をする事務所の開設等の届出書を提出している場合には、国税庁から法人番号が指定され、自動的に法人番号指定通知書が届きます。
管理組合の場合は、法人番号等の公表同意書に同意する旨の回答を記載して、提出した場合のみ、基本3情報が国税庁法人番号公表サイトに記載されます(管理組合法人は、自動的に記載)。
(2)自動的に法人番号が指定されない場合
(1)に記載した各種届出書を税務署に提出していない場合には、自動的に法人番号は通知されませんので、自ら国税庁長官に届け出た上で、法人番号を入手することになります。
法人番号の指定を受けるための必要な要件に該当する事由などの所要事項を記載する届出書に、管理規約の写し等を添付して、国税庁長官あてに提出します。
(著)公認会計士・税理士 吉岡 順子
【新 住生活基本計画】
この度、政府より2016年~2025年度の『新たな住生活基本計画』原案が示され、今国会に新たな住宅政策の基本となる法律案が提出される予定です。
その中に『分譲マンションの現状と課題』が掲載されています。ここでは、そのポイントを列挙しておきます。
【分譲マンションの建築時期別ストック数(着工統計から推計)】
・現在のストック総数は、約613万戸(平成26年末時点)
・現在も年間10万戸前後が新規供給
・築後40年超のマンションは現在51万戸であり、10年後には3倍の151万戸、
20年後には6倍の296万戸となるなど、今後、老朽化マンションが急増する見込み。
【マンション管理を蝕む課題/高齢化、賃貸化(不在)】
・高齢化、賃貸化⇒役員就任の忌避⇒特定の高齢者への負担など管理形骸化
*管理組合の役員就任を引き受けない理由としては
①高齢化のため(30.4%)
②仕事等が忙しいから(23.2%)
③本人、家族に病人がいる等の事情(10.7%)
などが主な理由となっている。
【分譲マンションの建築時期別 空家率(住宅土地統計調査から集計)】
・建築時期が古いものほど空き家率が高い(H3~12年:5.5%⇒~S46年:11.1%)
・経年とともに空き家率が上昇する傾向
詳しいことは、以下のホームページをご覧ください。
http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/house02_sg_000119.html
1 はじめに
名古屋市が平成23年度~26年度に実施した分譲マンション管理実態調査では、築年数の古いマンションほど、適正な管理がなされていない実態が浮き彫りとなった。
分譲マンションは戸建て住宅などとは異なり、1棟の建物を多数の区分所有者が管理していくこととなり、維持管理上の合意形成の困難さ、管理組合の役員のなり手不足などといった課題に直面することとなる。
分譲マンションが適切に管理されず、計画的な修繕が実施されないと、その影響はマンション居住者のみならず、その周辺の影響にも及ぼすこととなる。
また、管理不全のマンションが空き家を生み、既存ストックが有効に活用されないと、スラム化が進むおそれがあり、まちづくりの観点からも大きな問題となる。
適正な管理運営により分譲マンションの市場評価を維持し、既存ストックの流通性を向上させることや都市環境を守ることは、行政にとっても重要な課題となりつつある。
2 名古屋市のマンション施策
(1)マンション管理推進協議会
協議会ではセミナー・講座の開催や、専門家による相談事業・派遣事業などを実施し、マンションの
管理や共同住宅に関する意識啓発などに取り組み、マンションの適正な管理を支援している。
(2)マンション管理組合登録制度
登録は無料で、平成24年10月から開始し、平成26年度末時点で246組合が登録している。
3 おわりに
今後、建替えや大規模な修繕が必要となる老朽化したマンションが急増することが見込まれる。
また、適正に管理されない管理不全マンションの増加も想定しておく必要がある。
(著)名古屋市住宅都市局住宅部住宅企画課長 青木 善臣
岡管連から
現在、岡管連では、岡山市市民協働推進モデル事業として『マンションアドバイザー派遣事業』を実施しています。
詳しいことは、ホームページのサイトをご覧ください。
管理組合へ専門家を派遣いたしますので、岡管連までお問い合わせください。