二つの老い

規約で名簿作成を

 認知症を含め、高齢者の状況を把握するのに居住者の名簿作りが役立つ。

 マンション管理業協会作成の「マンション居住高齢者への支援マニュアル」でも名簿と緊急連絡先の取得と合わせ、年齢、独居かどうかなど高齢者の状態把握が重要としている。

 東京都豊島区ではマンション管理推進条例で名簿作成と適正管理を定めている。

 角田光隆・神奈川大学教授(民法)は「プライバシーの問題で情報把握は難しくなっているが、名簿の作成を管理規約で決めておくべきだ。災害時にも支援が必要な人が分かり役立つ」と話す。

 入居者台帳に緊急時の支援の要否を記入する部分を設け、認知症を含めた病気などの避難困難者に申告してもらう団地もあるという。

| 2019年12月05日 | カテゴリー 二つの老い 

認知症の気付きと対応のポイント

認知症が疑われる変化

・見た目(やせた、ふらつき、季節に合わなかったり汚れたりした衣服)

・行動や対応(あいさつをしなくなった、出かけなくなった、回覧板が回せない、自宅を間違える、迷う)

・室内外の環境(異臭、ごみや物があふれている)

連絡が必要な場合

・マンションの住民が認知症に気付いた場合、認知症が疑われる住民の家族や自治体、地域包括支援セン

 ター、民生委員などに連絡できる

・管理組合(理事会)は入居届に明記された家族に「緊急時の連絡」として連絡できる。家族がいないか

 協力しない場合には、自治体や地域包括支援センター、民生委員などに連絡できる

| 2019年12月03日 | カテゴリー 二つの老い 

~クローズアップ現代+(5・30)より~

東京オリンピック選手村の跡地に整備される、タワマンを中心とした晴海フラッグでは約1万2千人が暮らす計画となっている。

5千万円からの部屋が展示されている。

2000年時代に入って増えたタワマンの人気を支えてきたのは、海外からの投資マネーだった。

外国人投資家向けに不動産を紹介している会社では、海外からの買いが減っただけでなく、物件の売却も増えているという。

そんな海外の投資家に代わり、共働き世代の「パワーカップル」がタワマン購入を支えている。

海外フラッグが建設される東京中央区には58棟ものタワマンが乱立している。

そのおよそ3分の1は、再開発事業として区が支援していた。

あわせて1102億円の補助金が投じられた中央区の建設は、容積率の緩和で増えていった。

容積率とは敷地面積に対して、どのくらい床面積を作ることができるかを定めた基準となっている。

中央区晴海地区ではかつて、5階を超える建物がなかったが容積率を緩和したことにより、50階建てのマンションを建設することが可能になった。

中央区ではタワマンの建設を進めた結果、20年で人口が倍増した。

しかし、この中央区が人口増加で駅に人があふれたり、暮らしへの影響が深刻になりかねないので、住宅の容積率緩和の原則廃止を決定した。

長嶋さんは増え続けるタワマンについて、「住宅の量がどうなるというコントロールを自治体も国も行っていない状況で、中央区はそれをしようとしている。住宅量をコントロールしていないのは、世界でも日本だけ」などと話す。

そして、萩原さんはマンションに何を問われているかについて「マンションは運命共同体」とし、深山さんは「ビジョンとチームワークでヴィンテージを目指せ」、長嶋さんは「管理力と資産格差」とそれぞれ語った。

| 2019年6月17日 | カテゴリー 二つの老い 

~クローズアップ現代+(5・30)より~

東京都内にある24階建てマンションでは、515戸の所有者で構成される管理組合の代表理事が7年前に積立金の値上げを実現していた。

1年の間に何度も説明会を実施し、値上げの必要性を訴え続けて実現したが、2年後の大規模修繕工事での見積もりを取ると見込みより6千万円上がっていた。

法律でタワマンは高層階での足場が組めないので、特殊な機材を必要とする。

マンションの形状によっては、特注で部品を作成したりゴンドラを増やさなければならず、費用が高額になるという。

今月、管理組合の理事会が開かれ、大規模修繕工事の変更をすると発表した。

建物の状態が予想よりも良かったので、工事の時期を当初の3年後にして、不足の6千万円を積み立てることにしたという。

今回、管理組合の理事長にアンケートを取ると、管理の悪いマンションが廃墟になって、明暗を可視化するしかないなどの声が上がった。

深山さんは、修繕積立金での住民の合意について「自分たちのマンションはどこに向かうのか、大きな目的を示さないと動きづらい」などと述べた。

その積立金は段階的に上がる「段階増額積立方式」と、当初から積立金が変わらない「均等積立方式」がある。

現在は7割のマンションで段階増額積立方式が採用され、萩原さんは「最初に安い方がマンション購入者にとって嬉しい」などと話した。

この問題を調査した藤島さんは「維持管理は所有者や住民に丸投げ。公的な機関がマンションの老朽化のチェックをし。管理組合に修繕の必要性を助言する政策が必要」と。

| 2019年6月15日 | カテゴリー 二つの老い 

~クローズアップ現代+(5・30)より~

白井さんは、新築時代から管理組合がなかったマンションにやってきた。

このマンションでは、修繕積立金を集めてこなかったので、3年前から水浸しだった。

マンションの建て替えを目指す白井さんは、建て替えに必要な住居者5分の4の同意を得ようとしていた。

登記簿を取り寄せると、部屋の所有者の住所が上海になっていたことに白井さんは気付く。

白井さんは不動産業者を通し、所有者に連絡を取ろうとしたが連絡が取れなかった。

建設ラッシュから10年以上が経ち、一斉に修繕時期を迎えるタワーマンションに至っては、修繕積立金が不足しているので、修繕工事ができなくなる恐れがあるという。

多くのマンションでは、入居当初の積立金が低く設定されているが、その後修繕するために段階増額積立方式でなければならない。値上げするにはその都度、所有者の合意が必要だが、東京都のマンションでは、理事会で反対されたので、値上げが一度もできていなかった。

| 2019年6月13日 | カテゴリー 二つの老い 

~クローズアップ現代+(5・30)~

マンションの空き室が増えると管理費などが滞納されやすく、修繕計画に影響が出て老朽化に手が打てない場となって資産価値が下がる問題がある。

この問題について萩原さんは「マンションを仮の住まいにして、値上がったら売却しようとする人が多かった。

しかし、マンションは値上がりせずにローンをたくさん抱えている人は身動きができなくなった」などと述べた。

そして、長嶋さんは「介護の問題になって所有者と連絡ができなくなったという問題が増えている。

こういったケースには、個別に対応していかなければならない」などと解説した。

アンテナが折れて衛星放送が視聴不能になったが、管理組合の予算がないために修理が行われず、管理費を払わない悪質居住者もいるという悩みが紹介された。

この問題について、マンション管理士は「時効は5年、早めに対応を。管理会社任せにしない。登記簿を取り寄せて所有者に連絡、それが難しければ弁護士に相談」と解決策を提示した。

都内で約780棟22万戸あるタワーマンションは、今後20年でおよそ3倍に増加するという。

| 2019年6月11日 | カテゴリー 二つの老い 

~クローズアップ現代+(5・30)より~

マンションの管理組合をサポートしている「東京都マンション管理士会」では、副理事長が世代交代による相続放棄に注目していた。

マンションの所有者が借金を抱えて亡くなった場合、財産を相続する人は借金も相続しなければならないので、放棄するとマンションの部屋の所有権が宙に浮くケースがあるという。

副理事長が担当しているマンションは水漏れがあった。

マンションの所有者は5か月前に死亡しており、親族からは相続を放棄したので関係ないと告げられた。

管理組合が管理費を負担し、売却も考えた。

しかし、売却する場合は家庭裁判所に申し立て、弁護士などに依頼する必要がある。

そのためには、100万円ほどの費用がかかる。

たとえ売却したとしても、所有者の借金にあてられ、全額が戻らない可能性があるという。

| 2019年6月09日 | カテゴリー 二つの老い 

~クローズアップ現代+(5・30)より~

空き家の調査をする民間会社の調査員に同行すると、人気エリアのマンションに空き室が何室も見つかった。

空き室はその場で外観写真とともに、データベースとともに登録する。

この会社が調査しているのは、不動産会社が把握していない「埋もれた空き室」だった.

賃貸や販売に出ていない空き室や所有者の情報を調べ、不動産会社に提出、データをもとに不動産会社が所有者に売却を促す事で取引につなげようとしていた。

埋もれた空き家は、これまでに調査しただけでも東京23区で5000戸にのぼっていた。

最も多いのは、新宿区、次いで杉並区だという。

所有者の親族は部屋にいなかったが、外に所有者の息子がいて話を聞くことができた。

息子によると、4年前に母親が地方の実家に帰った事をきっかけに部屋の管理を任されたという。

母親は売るつもりがなく、男性もそのままにしているという。

理事長たちは、所有者の息子と管理費の話し合いを続けていく。

このように、マンション所有者が高齢化している。

国の調査では、70代以上の世帯主が初めて2割を超えたことが判明した。

| 2019年6月07日 | カテゴリー 二つの老い 

~クローズアップ現代+(5・30)より~

晴海フラッグなどタワーマンションが増える中、空き室が過去最高の70万戸となっていた。

さらに管理費滞納や、修繕積立金の不足などタワマンは、問題が増えている。

あるマンションでは、解決に向けて模索が続けられている。

空き家活用の会社に登録されている、埋もれた空き室を訪ねた。

東京都新宿区にある、築30年以上のマンションは最寄駅から徒歩10分以内と好立地だった。

おととし、このマンションの管理組合の理事長となった女性は、空き室に気付いて水道や電気が4年前に止められていたことが分かった。

部屋の所有者は、管理費などを4年半滞納していた。

理事長は、マンション管理士の国家資格を持つ専門家に助けを求めると、専門家は、問題の部屋の登記簿を入手していた。

所有者の女性は、20年前に部屋を購入しており、その後、理事長たちは、所有者の親族を探し当てた。

| 2019年6月05日 | カテゴリー 二つの老い 

三つの問題が同時進行

 独居高齢者で問題になるのが、『孤独死』であろう。孤独死が発生すれば、福祉の面で捉えられる場合が多いが、マンションの管理組合の面から見れば、独居区分所有者が死亡すれば、『管理費等の滞納問題』に発展することにもつながります。

 つまり、管理費等を誰に請求すべきか、理事会にとっても頭が痛い問題です。

 基本的には、管理会社では対応できない。当事者である『管理組合と区分所有者』の問題です。

 ところが、管理組合は管理会社任せで、独居高齢者の存在自体、知らないのが本当のところであろう。

 悲しいことに現実的な問題として、管理組合にとって次の三つの問題が同時進行することになります。

 一 独居区分所有者の死亡により空き室化(その後、賃貸化・民泊化に進展か)

 二 独居区分所有者の相続人調査

 三 管理費等の滞納の発生

 これら三つの問題は、団塊の世代の全てが後期高齢者に該当する時期である「2025年」には大きな問題として、管理組合にのしかかってくるものと考えられます。

2025年問題の出口戦略

 管理組合の独居高齢者への対応としては、管理組合自らが常日頃から次の二つの取組みを行うことで、その出口が図られるものと考えられます。

 ①イベント等を通じて、マンション住民同士によるコミュニティ形成への支援・援助等

 ②毎年更新した緊急連絡先等の整備・保管

 この二つの点を管理組合の業務の一つとして、管理規約等に位置付ける必要があります。

| 2018年2月19日 | カテゴリー 二つの老い