管理基礎講座

3 理事会について

(1)理事会の機能と職務

   理事会の機能につき、管理組合の業務執行の決定だけではなく、理事の業務執行の監視・監督機関とし

  ての機能を有することが明確化されました。また、理事長等の選任は、理事会の職務であることも明記さ

  れました。

(2)理事会の構成

   理事会は理事で構成されますが、監事も出席が義務付けられました。

   また、理事会への代理出席に係る考え方も整理されました。すなわち、理事は総会で選任され、組合員

  のために誠実にその職務を遂行するものとされていることから、標準管理規約では理事会には本人が出席

  することが基本であり、規約に明文の規定がないのに配偶者などが理事会に代理出席して実質的な理事と

  して活動することを認めません。理事がやむを得ず欠席する場合には、代理出席によるのではなく、事前

  に議決権行使書や意見を記載した書面を出せるようにしておくことが考えられるとしています。さらに、

  管理組合の事情に応じ、それぞれの規約で、理事に事故があって理事会に出席できない場合に配偶者や一

  親等の親族に限って代理出席を認める旨を定めることは否定されませんが、その場合でも、「あらかじ

  め、総会において、それぞれの理事ごとに、理事の職務を代理するにふさわしい資質・能力を有するか否

  かを審議の上、その職務を代理する者を定めておくことが望ましい」としています。

(3)書面による理事会の開催

   理事会は、実際に理事が集まって相互に議論することが基本です。しかし、専有部分等の修繕工事等の

  承認・不承認に係る理事会の決議については、申請数が多いことが想定され、かつ、迅速な審査を要する

  ものなので、例外的に、理事の過半数の承諾があるときは、書面または電磁的方法によることができると

  しています。

                           (著)佐藤貴美法律事務所 弁護士 佐藤 貴美

| 2017年1月17日 | カテゴリー 管理基礎講座 

2 役員に関する改定

(3)利益相反取引の防止

   外部専門家を役員とすることが可能とされたことに伴い、管理組合の利益を犠牲にして自己や第三者の

  利益を図るような恐れのある取引に対する規制の必要性が高くなったことから、今回の改正では役員の利

  益相反行為の防止に係る規定が設けられました。具体的には次のとおりです。

  ① 理事会の決議

    役員が自己または第三者のために管理組合と取引をしようとするときや、管理組合が役員以外の者と

   の間で管理組合と当該役員との利益が相反する取引をしようとするときは、理事会において当該取引に

   つき重要な事実を開示し、理事会の承認を受けなければならないとされました。また、その決議には、

   特別の利害関係を有する理事は加わることができません。

  ② 理事長が利益相反行為に該当する場合の理事長権限

    理事長は管理組合を代表しますが、理事長と管理組合との間の利害が相反する事項に関しては、理事

   長の代表権は制限され、監事または理事長以外の理事が管理組合を代表することとなります。

(4)監事の権限の明確化

   これまでも監事は、管理組合の業務の執行や財産の状況を監査し、その結果を総会に報告すべき義務を

  負うものとされていました。しかし、その具体的内容や、監査の実効性を担保する調査権限等については

  何も定めがありませんでした。そこで、今回の改正では、次のような規定を設けて監事の職務権限の明確

  化等を図っています。

  ① 監事の職務内容

    監事の業務には「理事が総会に提出しようとする議案を調査」することが含まれ、かつ「その調査の

   結果、法令又は規約に反し、又は著しく不当な事項があると認められるとき」にはその事項も総会の報

   告事項であるとする考え方が示されました。

  ② 監事の調査権限

    監事の報告請求権、調査権として、いつでも理事や管理組合の職員に対して業務の報告を求め、ある

   いは業務や財産の状況を調査することができる旨が明記されました。

  ③ 理事会への出席および報告義務、理事会の招集請求等

    これまで監事は、理事会への出席は任意とされていましたが、監事の監督機能の強化のため、監事は

   「理事会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない」とされました。

    そして、理事が不正の行為をしたりその恐れがあると認めるときや、法令、規約、使用細則等、総会

   ・理事会の決議に違反する事実や著しく不当な事実があると認めるときは、「遅滞なく、その旨を理事

   会に報告しなければならない」とされました。

    さらに、理事会の招集請求権とともに、請求のあった日から5日以内に理事長が理事会の招集通知を

   発しないときの監事自らの理事会招集権も規定されたところです。

                           (著)佐藤貴美法律事務所 弁護士 佐藤 貴美

| 2017年1月15日 | カテゴリー 管理基礎講座 

1 標準管理規約の改正

  平成28年3月、国土交通省は、住民の高齢化等を背景とした管理組合運営の担い手不足、管理費の滞納

 等による管理業務の支障(管理不全)、暴力団の排除等の必要性、災害時における意思決定のルールの明確

 化などの諸課題に対応するため、標準管理規約の改訂版を公表しました。

2 役員に関する改定

(1)外部の専門家の活用

   標準管理規約は、外部専門家の活用のあり方として次の3つのパターンを参考として示しています。

  ① 従来どおり理事会を設け、理事会役員に外部専門家を入れる「理事・監事外部専門家型又は理事長外

   部専門家型

  ② 外部専門家を区分所有法上の管理者として選任し、理事会が監事的立場となる「外部管理者理事会監

   督型

  ③ 外部専門家を区分所有法上の管理者として選任し、理事会を設けない「外部管理者総会監督型

(2)役員の欠格要件

   これまでは、標準管理規約には役員の欠格要件の規定はありませんでしたが、今回の改正で外部の専門

  家を役員に選任することができるようになったことを踏まえ、役員の欠格要件が次のとおり明記されたと

  ころです。

  ① 被成年後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ない者

  ② 禁固以上の刑に処せられ、その執行が終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から5年を

   経過しない者

  ③ 暴力団員又暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者

  ④ マンション管理士の場合にはその登録が取り消された者、又は、マンション管理に関する各分野の専

   門的知識を有する者の場合には当該分野に係る資格につき同様の処分を受けた者

  ⑤ 銀行取引停止処分を受けている法人から派遣された役職員

  ⑥ 管理業者の登録の取消しを受けた法人から派遣された役職員

                           (著)佐藤貴美法律事務所 弁護士 佐藤 貴美

| 2017年1月13日 | カテゴリー 管理基礎講座 

標準管理委託契約書等の改正

(2)コメント関係

   標準管理委託契約書第14条の改正を受け、第14条関係のコメントを次のように改正しました。

 ① 情報開示の意義を追加

   管理情報が購入予定者に提供・開示されることは、購入予定者の利益保護に資するほか、マンション内

  のトラブルの未然防止や組合運営の円滑化、マンションの資産価値の向上等の観点からも有意義である旨

  を追記(第14条関係①)。

 ② 「敷地及び共用部分における重大事故・事件」等への対応を追加

   「敷地及び共用部分における重大事故・事件」のように個別性が高い事項については、開示対象事項で

  あっても、該当事項ごとに管理組合に開示の可否を確認し、承認を得た上で開示するとの対応も考えられ

  る旨を追記(第14条関係②)。

 ③ プライバシー情報が含まれる場合の対応を追加

   個人情報保護法の趣旨を踏まえた対応が必要であることを追加。また、別表第5に記載する事項は、

  「敷地及び共用部分における重大事故・事件」(特定の個人名等が含まれている場合)を除けば、売主

  滞納額等を含め、提供・開示に特段の配慮は不要である旨を追加(第14条関係③)。

 ④ 購入予定者等へ開示する場合の対応を追加

   管理規約等において、宅建業者の他に購入予定者等への提供・開示も規定されている場合には、管理

  委託契約書に購入予定者等へも提供・開示する旨を追加するよう明記(第14条関係⑤)。

 ⑤ 総会議事録等の閲覧業務を受託する場合の対応を追加

   宅建業者に対する提供・開示と併せて総会議事録等の閲覧業務も管理組合から受託している場合には、

  管理委託契約書に当該閲覧業務も行う旨を追加するよう明記(第14条関係⑥)。

 ⑥ 開示に関する事後報告を行う場合において追加

   マンション管理業者が宅建業者等へ提供・開示した件数、手数料等を、管理組合に報告することもあ

  り得る旨を追加(第14条関係⑦)。

 ⑦ 別表第5における、管理費等の変更にかかる「予定有」「検討中」の定義を明確化

   管理費等の変更、専有部分使用規則の制定・変更、大規模修繕等の実施等に係る今後の予定に関する

  情報開示が適切にされるよう、「予定有」「検討中」の用語の定義を明確化(別表第5の5(3)関係、

  7関係)。

(岡管連から)

 マンション標準管理委託契約書の改正については、11月26日(土)に開催される岡管連主催の「マンション生活支援セミナーin岡山」において、当該改正のうち、管理会社が宅建業者へ情報開示・提供等について、マンション標準管理規約の改正に合わせて説明する予定です。

| 2016年10月07日 | カテゴリー 管理基礎講座 

標準管理規約委託契約書等の改正

 マンション管理業者が、管理組合から当該開示業務を委託され、宅建業者(注)またはその所有する専有部分の売却等を行う管理組合の組合員(以下[宅建業者等]という。)から管理情報の提供依頼を受けた場合に開示する情報項目の充実などを図る改正を行いました。

 (注)不動産の仲介を行う宅建業者には、購入予定者に対する重要事項説明が義務付けられており、特に

    マンションの場合にはその特性を踏まえ、管理規約の内容など、説明事項が付加されています。

(1)標準管理規約委託契約書関係

   管理組合の組合員からマンションの専有部分の売却等の依頼を受けた宅建業者等が、管理規約等の開示

  を求めてきたときは、管理組合に代わりマンション管理業者が管理規約の写し等を書面で開示する規定

  (第14条)を、次のように改正しました。

 ① 開示対象として規定する情報項目を拡充

   標準管理規約の改正や購入予定者等におけるニーズ等を踏まえて充実させることとし、開示する事項を

  列記した別表第5を新設(第14条第1項)。

   【別表第5の事項】

    1 マンション名称

    2 管理体制関係

    3 共用部分関係

    4 負担する管理費等関係

    5 管理組合収支関係

    6 専有部分使用規則関係

    7 大規模修繕計画関係

    8 アスベスト使用調査の内容

    9 耐震診断の内容

    10 管理形態

    11 管理事務所関係

    12 備考

 ② 開示対象者に組合員を追加

   組合員自らが、所有する専有部分の売却等を目的とする情報収集のため提供等を求める場合にも対応

  できるよう、当該組合員も開示対象に追加(第14条第1項)。

 ② 開示費用の徴収規定を追加

   マンション管理業者が、情報開示関係業務に要する費用を開示する相手方から受領できる旨の規定を

  追加(第14条第2項)。

| 2016年10月05日 | カテゴリー 管理基礎講座 

標準管理委託契約書等の改訂の背景

 既存マンション市場を健全に発展させ、活性化させるためには、取引における安全・安心の確保が重要です。

 そのためには、入居後のトラブル予防の観点からも、修繕積立金の情報を含めた建物の管理に関する情報や、マンション管理組合が定めている管理規約の内容などのマンション管理情報が、確実に購入予定者に提供されることが大切です。

 そのため、役員のなり手不足や災害等の緊急時における意思決定ルールなどへの対応とともに、当該財務・管理に関する情報の開示により、優良な管理が行われているマンションの市場での評価の高まりを通じて、管理の適正化が促されることを促進するため、平成28年3月にマンション標準管理規約(以下[標準管理規約]という。)及びマンション標準管理規約コメント(以下[標準管理規約コメント]という。)が改正されたところです。

 管理情報が購入予定者に適格に提供されるためには、売主たる区分所有者はもとより、媒介を行う宅地建物取引業者(以下「宅建業者」という。)、マンション管理の主体である管理組合といった関係主体が、それぞれの役割を適切に果たすことが重要です。

 そして、マンション管理会社に管理業務を委託している管理組合が大多数である実態を踏まえると、適切な情報開示のためには、管理会社が管理組合をいかにサポートしていくかが大きなポイントです。

 このため、標準管理委託契約書等の情報提供関係規定の充実を行うこととして、国土交通省より、平成28年7月29日にマンション標準管理委託契約書と同コメントが改正されました。

| 2016年10月03日 | カテゴリー 管理基礎講座 

標準管理規約が改定、ポイントは?

マンション標準管理規約の主な改定部分

1 コミュニティ条項の削除

  管理組合の業務にあった「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成」を削り、「マン

 ション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上に関する業務」の条項を

 設けた。

  コミュニティ条項が削除された背景には、管理組合が徴収するお金の使い道に、厳しい視線が向けられて

 いることがある。

2 外部専門家の活用

  これまで居住者に限っていた管理組合の理事長や役員に、マンション管理士や建築士、弁護士など、

 外部の専門家が就任できるようにする規定を盛り込んだ。

  派遣を求められる理由は「役員のなり手がいない」「住民同士で意見が対立して収拾がつかなくなった」

 など。

3 暴力団員関連

  暴力団員に部屋を貸さない、管理組合になれないとする規定を設けた。

4 住民が主体的に決定を/日本マンション学会・梶浦恒男会長の話

  今回の標準管理規約改定は、管理組合の業務を、建物や敷地といった資産の管理に限定する傾向がうか

 がえる。

  共同生活を良くしていくという、マンション管理のもう一つの側面を見落としてはいけない。

  マンションのよさは住民自ら考え、規約などを決めること。

  標準管理規約は参考であり、その通りにしなくてよく、住民が主体的に決めればよい。

  行政は、全国一律に規約や運営を指導するような施策は避けるべきだ。

                                  (注)下線は、こちら側で記載。

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| 2016年5月21日 | カテゴリー 管理基礎講座 

【法改正へ 売買前の実施促す】

 中古住宅を安心して買えるように、住宅の傷み具合を専門家が調べる『住宅診断』(注)を広めるための法改正案を、国土交通省が今国会に提出した。

 売買を仲介する不動産業者には、買い手に診断を受けるかどうかを売買契約前に確認するよう、義務付ける内容だ。

 中古住宅の売買をめぐるトラブルは後を絶たない。

 公益財団法人の住宅リフォーム・紛争処理支援センターには、2014年度に新築も含めて1万6千件を超える相談が寄せられた。

 国交省によると、国内の住宅販売に占める中古の割合は、1割ほど。空き家の増加にもつながっている。

(注)住宅診断:ホームインスペクション

【業界は負担増を警戒】

 宅地建物取引業法(宅建業法)の改正案では、仲介業者は売買契約を結ぶ前に、買い手に住宅診断を受けるかどうかを確認するよう義務づけている。

 そのうえで、診断をしたかどうかを購入希望者に示す「重要事項説明書」に明記し、結果の概要を説明する。施行は18年度となる見通しだ。

 診断書は基本的に売り手の負担になるが、国交省は「診断していない物件は売りにくくなる」と、住宅診断が品質保障のツールとして普及すると期待する。

 国交省は法改正後に、診断項目などをまとめたガイドラインを業界団体に示す方針だ。

 ただ、中古住宅を買おうとする人にどれだけ安心を与えられるかは、まだ不透明だ。

(岡管連から)

 マンションも住宅の一形態である以上、管理組合としての取組みも必要になってくるであろう。

 中古マンションを売買する場合、専有部分の『住宅診断』と併せて、管理組合が維持管理する共用部分についても必要であろう。

 例えば、管理組合もきちんと、修繕履歴情報を残していく必要があろうし、また、マンションの建物診断も5年に一度程度、実施していく必要があるだろう。

 管理組合としては、空き室を防止し、引いては『マンションのスラム化』を防ぐ必要が出てくるだろう。

| 2016年3月29日 | カテゴリー 管理基礎講座 

(抜粋より)

 法学部生は普段、民法は勉強していますが、残念ながら、区分所有法にはあまりなじみがありません、。

 民法の世界では、所有権は絶対的な性質を有しており、所有者の意思に反してその所有権が奪われることはないのが原則だと学びます。

 したがって、同じ「所有」という言葉を使っているとはいえ、「区分所有者の権利が多数決によって奪われることがある」という区分所有法のルールは、法学部生にとって新鮮に感じられるようです。

 だからこそ、ゼミ生たちも、《民法にはこんなルールはないのに、区分所有法にはなぜあるのか》《民法の世界と区分所有法の世界はどこが違っているのか》などを考えたのでしょう。

 民法のゼミなのにあえて区分所有法の判決を取り上げる「ねらい」も、まさにこの点にあります。

 民法の世界だけに閉じこもっていたのでは、民法のルールの特徴に気づきにくい。

 区分所有法の独特の世界に触れて、ちょっと違う角度から民法の世界を眺めると、民法のルールの特徴が良く分かるようになる、というわけです。

 今回は、ゼミ生たち区分所有法の世界から何を学ぶことになるのか、見守ることにしましょう。

                        (著)早稲田大学大学院法務研究科 教授 秋山 靖浩

(岡管連から)

 マンションの場合、建物全体(共用部分)に関する意思決定は多数決という民主主義制度(共有持分割合による権利)の部分と、本来の絶対的所有権(区分所有権)が及ぶ専有部分(区切られた空間)があるというのが、マンションの置かれた状況である。

 そのような状況の中で、マンションは複数の区分所有者が集まった建物であり、その建物を生活の場として使用するため、そこには当然、ルールと建物全体の維持管理が必要になってくる。

 ところが、多くの区分所有者は、絶対的所有権(専有部分)には関心を示すが、自分の専有部分の一部でもある玄関を一歩出ると、建物全体(共用部分)にはあまり関心を示さないのが、マンション管理の実態ではなかろうか。

 今後のマンションを展望すれば、5年から10年後には『マンションの二つの老い』が大きな課題としてクローズアップされてくると思われる。

 なぜなら、『団塊の世代が後期高齢者』となり、それがマンションにも大きく影を落とすからである。

| 2016年1月15日 | カテゴリー 管理基礎講座 

【「私たち」自覚を】

 背景にある問題は、日本における「私権の強さ」です。

 公益のために少しでも権利が侵害される事態になれば「お金を出して購入したのに」と激怒する一方で、大規模修繕や防災訓練への参加などコミュニティーを維持する「義務」には関心を示さない。

 そこには、社会に受け継がれてきた謙虚や助け合いの精神はありません。

 残念ながら、マンションを舞台に民主主義の負の側面が一部で顕在化しつつあります。

 乗り越えるためには、住民が『私』さえよければいい」という意識を改め、「『私たち』がよくなるにはどうすればいいのか」と自覚してもらう道筋を作ることが欠かせません。

 つまり、マンションは日本社会の縮図でもあるのです。

                                 不動産コンサルタント 牧野 知弘

(岡管連から)

 -マンションは社会の縮図―

 この3回シリーズの結論は、『マンションは社会の縮図そのもの』ということです。

 マンションそのものを構成している建物、設備、敷地などは区分所有者の共有物であり、その維持管理等は、区分所有者全員による意思決定であり、それは民主主義(デモクラシー)そのものです。

 ところが、その意思決定において多くは委任状によるものであり、ある管理組合では、役員プラスアルファだけしか総会に出席しなかったと。

 また、マンションに経年とともに忍び寄ってくる『二つの老い』という問題で、マンションが社会にとって『負の産物』になることを、だれも止めようとしない現実がある。

 つまり、区分所有者の高齢化等により、管理組合自身がマンションの維持管理や生活面のルールなどについて何も決められないことにある。

 その結果、何が起こるかというと、建物の劣化の進行、設備の老朽化・陳腐化、人間関係の希薄化などに対応できないという・・・・・

 これらは、今社会で取り上げられている『空き家問題』にも似ていて、このようなマンションを誰も引き受けようとしない、あるいはこの現実を察して意識の高い人は安く手放してでもマンションから脱出していくように。

 マンションを『終の棲家』としての意識が増している中で、築30年以上経過したマンションに残った人で管理組合の運営ができるだろうか、区分所有者の高齢化で本人自身が施設に入り所在が不明で『賃貸化・空室化』(人間関係の希薄化の助長化)し、あるいは死亡により相続人が分からない(個人の相続財産)など、総会の手続きができない、管理費等の請求ができない、役員のなり手がいないなど。

 つまり、『デモクラシー』を実践できないマンションは、『マンションのスラム化』を促進することに繋がっていく。

【一戸建ての住宅とマンションとの違い】

マンション一室は個々の住宅財産であるが

建物全体は個々の住宅財産の集合体である

| 2016年1月13日 | カテゴリー 管理基礎講座 

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