管理基礎講座

8 暴力団排除の措置

(1)基本的な考え方

   マンション内に暴力団事務所が入っていたり、管理組合の運営等に暴力団が関与することは、他の区分

  所有者の平穏な生活が害されたり、マンションの適正な管理に悪影響を及ぼしかねません。

   そこで、今回の改正では暴力団の排除に関し、次のような取扱いが示されたところです。

(2)専有部分の用途の制限

   今回の改正では、暴力団事務所としての使用や暴力団員を反復して出入りさせる行為等があった場合に

  は直ちに規約違反行為と評価できるようにするため、専有部分の用途において、「暴力団事務所としての

  使用や、暴力団員を反復して出入りさせる等の行為について禁止する旨の規定を追加することも考えられ

  る」としています。

(3)取引の制限

  ①賃貸借の制限

   今回の改正では、区分所有者が第三者に専有部分を貸与する場合には、契約の相手方に暴力団員ではな

   いことなどを確約する誓約書を管理組合宛てに提出させるとともに、賃貸借契約に以下の定めをするこ

   とを、暴力団員への貸与を禁止する場合の規約の規定例として示しています。

   ア 契約の相手方が暴力団員ではないこと及び契約後において暴力団員にならないことを確約するこ

     と。

   イ 契約の相手方が暴力団員であることが判明した場合には、賃貸人たる区分所有者は催告なく契約を

     解除できること。

   ウ 区分所有者がイの解約権を行使しないときは、管理組合は、区分所有者に代理して解約権を行使す

     ることができること。

  ②賃貸借契約の解除等

  ③売買の制限

・・・・・次回につづく

                           (著)佐藤貴美法律事務所 弁護士 佐藤 貴美

| 2017年2月11日 | カテゴリー 管理基礎講座 

7 管理費等の滞納者に対し取り得る措置

(1)滞納管理費等回収の手続き

   管理費の滞納は、管理組合の円滑な運営を阻害し、マンションの適正な管理の維持と資産価値の保持に

  多大な影響を及ぼす恐れがあり、適切な滞納管理費等の回収は、管理組合として積極的に取り組む必要が

  あります。

   そこで、今回の改正では、管理組合が管理費等の滞納者に対してとり得る各種の措置について段階的に

  まとめたフローチャートおよびその解説が、別添3として提示されたところです。

(2)回収に要する費用

   また、今回の改正では、滞納管理費等の徴収に係る費用等についても、次のような考え方が示されまし

  た。

  ①遅延利息について

   管理費等の債務の履行が遅れれば、遅延利息が発生します。これまでは、滞納の場合の遅延利息がどの

  程度まで許容されるかについての明確な記載はありませんでした。今回の改正では、管理費等の意義に加

  え、その滞納はマンションの資産価値や居住環境に影響し得ること、手間や時間コストなどの回収コスト

  が膨大となり得ること等から、「利息制限法や消費者契約法等における遅延損害金利率よりも高く設定す

  ることも考えられる」としています。

  ②違約金としての弁護士費用・督促徴収費用について

   滞納管理費等の回収のためには一定のコストがかかります。これまでも違約金としての弁護士費用並び

  に督促および徴収の諸費用は、滞納管理費等に加算して組合員に請求できる旨が規定されていました。今

  回の改正で、これらについては「請求しないことについて合理的事情がある場合を除き、請求すべきも

  の」との考え方が示されたところです。

                           (著)佐藤貴美法律事務所 弁護士 佐藤 貴美

| 2017年2月09日 | カテゴリー 管理基礎講座 

6 コミュニティ形成活動について

(1)基本的な考え方

   これまではコミュニティ形成活動を管理組合の業務と位置付け、当該業務に要する費用も管理費の支出

  項目として認めていました。しかし、この「コミュニティ形成活動」が具体的に何を示すのか必ずしも明

  らかではなく、任意加入の組織である自治会・町内会活動との関係などからトラブルが生じることもあり

  ました。

   そこで、今回の標準管理規約の改正と併せて改正された「マンションの管理の適正化に関する指針」の

  中で、「コミュニティ形成は、日常的なトラブル防止や防災減災、防犯などの観点から重要なものであり

  」、管理組合はコミュニティ形成に積極的に取り組むことが望ましいとしたうえで、改正標準管理規約で

  その活動につき次のように整理されました。

(2)管理組合の業務として許容されるコミュニティ活動

   今回の改正では、これまでコミュニティ活動としてとらえられていた業務のうち、「例えば、マンショ

  ンやその周辺における美化や清掃、景観形成、防災・防犯活動、生活ルールの調整等で、その経費に見合

  ったマンションの資産価値の向上がもたらされる活動」は、区分所有法3条の管理組合の目的である「建

  物並びにその敷地及び附属施設の管理」の範囲内で行われる限り、管理組合が行うことは可能であるとの

  考え方が示されました。

(3)管理費の使途

   これまでは、「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成に要する費用」は管理費か

  ら支出さることができるとされていました。

   しかし、今回の改正で管理組合が行うコミュニティ活動の範囲が限定されたことに伴い、管理費の使途

  を定めた規定から当該項目が削除され、代わりに上記(2)に掲げた業務に要する費用についてのみ、

  「その他第32条に定める業務に要する費用」として管理費から拠出できるものと整理されました。

(4)自治会等と管理組合との連携

   ただし、加入者がおおむね重なるなかで、1つのマンションで自治会費等と管理費等とを全く別々に徴

  収することは非効率であり、居住者にとって多大な手間となることがあります。そこで、両者を適切に峻

  別し、代行徴収にかかる負担の整理が行われるのであれば、自治会費等の徴収を管理組合が代行すること

  は差し支えないとの考え方が示されたところです。

                           (著)佐藤貴美法律事務所 弁護士 佐藤 貴美

| 2017年2月07日 | カテゴリー 管理基礎講座 

5 災害発生時の応急的な修繕に係る意思決定ルール

  本来管理組合の意思決定は、総会決議でなされます。

  しかし、災害等が発生したときには、組合員や役員の所在が不明となったり、会議に参集することが困難

 となったりして、通常の意思決定システムが機能しないケースが想定されます。

  そこで今回の改正では、災害等が発生し応急的な修繕工事の実施が必要となった場合の意思決定システム

 として、次のような対応が規定されました。

 ① 原則は理事会の承認

   今回の改正で、災害等により総会の開催が困難である場合には、給水・排水、電気、ガス、通信といっ

  たライフライン等の応急的な更新等の応急的な修繕工事等を、理事会の決議で実施することができるとし

  ました。そして、当該工事を実施するために必要な資金の借入れや、修繕積立金の取崩しに関しても理事

  会決議で行うことができるとしているところです。

 ② 理事長による対応(①ができないとき)

   しかし、役員が集まれないなどで理事会の開催すら困難な場合には、保存行為を超える応急的な修繕行

  為の実施までを理事長単独で判断し実施できるとし、その費用の限度額を規約で定めておくという考え方

  が示されています。

 ③ 区分所有者による対応(①・②ができないとき)

   さらに、災害等の場合には、理事長も対応できない場合も考えておかなければなりません。

   区分所有法では、「保存行為」については各区分所有者がそれぞれ実施することができる旨規定されて

  いますが、各区分所有者が独自の判断で保存行為ができるとすると、保存行為の範囲が不明確であること

  と相まって、過剰な対応により他の区分所有者の意向に反してしまい、後日の紛争となりかねません。

  応急的な修繕工事であればなおさらその危険が高まります。

   そこで、今回の改正では、「あらかじめ定められた方法により選任された」区分所有者等の判断によ

  り、保存行為や応急的な修繕行為を実施できる旨を規約で定めておくという考え方も示されました。

                           (著)佐藤貴美法律事務所 弁護士 佐藤 貴美

| 2017年1月21日 | カテゴリー 管理基礎講座 

4 総会について

(1)議決権割合

   今回の改正では、高層階と低層階での眺望等の違いにより住戸の価値に大きな差が出る場合も想定し

  て、新築物件につき、総会の議決権(および分譲契約等によって定まる敷地等の持分割合)を、専有部

  分の階数(眺望、日照等)、方角(日照等)等を考慮した「価値の違いに基づく価値割合を基礎として、

  議決権の割合を定めることも考えられる」とされました。なお、これは「新築時」の価値の相違に基づ

  くものであって、事後的な変化(例えば、前方に建物が建築されたことによる眺望の変化等)による議

  決権割合の見直しは、「原則として行わない」とされていることにも注意が必要です。

(2)委任状・代理による議決権行使

   総会が管理組合の最高の意思決定機関であることからすれば、組合員本人が自ら出席して、議場での

  説明や議論を踏まえて議案の賛否を直接表示することが本来の姿です。やむを得ずに出席できない場合

  には議決権行使書を優先的に考慮し、それもかなわないときに代理人による議決権行使を検討するとい

  う考え方はこれまでと変わりありません。

   そのうえで、今回の改正ではこれまで定めがなかった代理人の範囲について、代理人は、区分所有者

  としての組合員の意思が総会に適切に反映されるよう、区分所有者の立場から見て利害関係が一致する

  と考えられる者に限定されることが望ましいとし、代理人の資格を次の者に限定する旨の規定が新たに

  設けられました。

  ① 代理人により議決権を行使しようとする組合員の配偶者(婚姻届けを提出していないが事実上婚姻

   関係と同様の事情にある者を含む。)、または一親等の親族(親・子)

  ② 代理人により議決権を行使しようとする組合員の住戸に同居する親族

  ③ 他の組合員

  ④ 代理人により議決権を行使しようとする組合員の法定代理人(成年後見人、財産管理人、区分所有

   者が未成年の場合の親等)

   また、これらに加えて暴力団排除の観点から、「代理人の欠格事由として暴力団員等を規約に定めて

  おくことが考えられる」としています。

                          (著)佐藤貴美法律事務所 弁護士 佐藤 貴美

| 2017年1月19日 | カテゴリー 管理基礎講座 

3 理事会について

(1)理事会の機能と職務

   理事会の機能につき、管理組合の業務執行の決定だけではなく、理事の業務執行の監視・監督機関とし

  ての機能を有することが明確化されました。また、理事長等の選任は、理事会の職務であることも明記さ

  れました。

(2)理事会の構成

   理事会は理事で構成されますが、監事も出席が義務付けられました。

   また、理事会への代理出席に係る考え方も整理されました。すなわち、理事は総会で選任され、組合員

  のために誠実にその職務を遂行するものとされていることから、標準管理規約では理事会には本人が出席

  することが基本であり、規約に明文の規定がないのに配偶者などが理事会に代理出席して実質的な理事と

  して活動することを認めません。理事がやむを得ず欠席する場合には、代理出席によるのではなく、事前

  に議決権行使書や意見を記載した書面を出せるようにしておくことが考えられるとしています。さらに、

  管理組合の事情に応じ、それぞれの規約で、理事に事故があって理事会に出席できない場合に配偶者や一

  親等の親族に限って代理出席を認める旨を定めることは否定されませんが、その場合でも、「あらかじ

  め、総会において、それぞれの理事ごとに、理事の職務を代理するにふさわしい資質・能力を有するか否

  かを審議の上、その職務を代理する者を定めておくことが望ましい」としています。

(3)書面による理事会の開催

   理事会は、実際に理事が集まって相互に議論することが基本です。しかし、専有部分等の修繕工事等の

  承認・不承認に係る理事会の決議については、申請数が多いことが想定され、かつ、迅速な審査を要する

  ものなので、例外的に、理事の過半数の承諾があるときは、書面または電磁的方法によることができると

  しています。

                           (著)佐藤貴美法律事務所 弁護士 佐藤 貴美

| 2017年1月17日 | カテゴリー 管理基礎講座 

2 役員に関する改定

(3)利益相反取引の防止

   外部専門家を役員とすることが可能とされたことに伴い、管理組合の利益を犠牲にして自己や第三者の

  利益を図るような恐れのある取引に対する規制の必要性が高くなったことから、今回の改正では役員の利

  益相反行為の防止に係る規定が設けられました。具体的には次のとおりです。

  ① 理事会の決議

    役員が自己または第三者のために管理組合と取引をしようとするときや、管理組合が役員以外の者と

   の間で管理組合と当該役員との利益が相反する取引をしようとするときは、理事会において当該取引に

   つき重要な事実を開示し、理事会の承認を受けなければならないとされました。また、その決議には、

   特別の利害関係を有する理事は加わることができません。

  ② 理事長が利益相反行為に該当する場合の理事長権限

    理事長は管理組合を代表しますが、理事長と管理組合との間の利害が相反する事項に関しては、理事

   長の代表権は制限され、監事または理事長以外の理事が管理組合を代表することとなります。

(4)監事の権限の明確化

   これまでも監事は、管理組合の業務の執行や財産の状況を監査し、その結果を総会に報告すべき義務を

  負うものとされていました。しかし、その具体的内容や、監査の実効性を担保する調査権限等については

  何も定めがありませんでした。そこで、今回の改正では、次のような規定を設けて監事の職務権限の明確

  化等を図っています。

  ① 監事の職務内容

    監事の業務には「理事が総会に提出しようとする議案を調査」することが含まれ、かつ「その調査の

   結果、法令又は規約に反し、又は著しく不当な事項があると認められるとき」にはその事項も総会の報

   告事項であるとする考え方が示されました。

  ② 監事の調査権限

    監事の報告請求権、調査権として、いつでも理事や管理組合の職員に対して業務の報告を求め、ある

   いは業務や財産の状況を調査することができる旨が明記されました。

  ③ 理事会への出席および報告義務、理事会の招集請求等

    これまで監事は、理事会への出席は任意とされていましたが、監事の監督機能の強化のため、監事は

   「理事会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない」とされました。

    そして、理事が不正の行為をしたりその恐れがあると認めるときや、法令、規約、使用細則等、総会

   ・理事会の決議に違反する事実や著しく不当な事実があると認めるときは、「遅滞なく、その旨を理事

   会に報告しなければならない」とされました。

    さらに、理事会の招集請求権とともに、請求のあった日から5日以内に理事長が理事会の招集通知を

   発しないときの監事自らの理事会招集権も規定されたところです。

                           (著)佐藤貴美法律事務所 弁護士 佐藤 貴美

| 2017年1月15日 | カテゴリー 管理基礎講座 

1 標準管理規約の改正

  平成28年3月、国土交通省は、住民の高齢化等を背景とした管理組合運営の担い手不足、管理費の滞納

 等による管理業務の支障(管理不全)、暴力団の排除等の必要性、災害時における意思決定のルールの明確

 化などの諸課題に対応するため、標準管理規約の改訂版を公表しました。

2 役員に関する改定

(1)外部の専門家の活用

   標準管理規約は、外部専門家の活用のあり方として次の3つのパターンを参考として示しています。

  ① 従来どおり理事会を設け、理事会役員に外部専門家を入れる「理事・監事外部専門家型又は理事長外

   部専門家型

  ② 外部専門家を区分所有法上の管理者として選任し、理事会が監事的立場となる「外部管理者理事会監

   督型

  ③ 外部専門家を区分所有法上の管理者として選任し、理事会を設けない「外部管理者総会監督型

(2)役員の欠格要件

   これまでは、標準管理規約には役員の欠格要件の規定はありませんでしたが、今回の改正で外部の専門

  家を役員に選任することができるようになったことを踏まえ、役員の欠格要件が次のとおり明記されたと

  ころです。

  ① 被成年後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ない者

  ② 禁固以上の刑に処せられ、その執行が終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から5年を

   経過しない者

  ③ 暴力団員又暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者

  ④ マンション管理士の場合にはその登録が取り消された者、又は、マンション管理に関する各分野の専

   門的知識を有する者の場合には当該分野に係る資格につき同様の処分を受けた者

  ⑤ 銀行取引停止処分を受けている法人から派遣された役職員

  ⑥ 管理業者の登録の取消しを受けた法人から派遣された役職員

                           (著)佐藤貴美法律事務所 弁護士 佐藤 貴美

| 2017年1月13日 | カテゴリー 管理基礎講座 

標準管理委託契約書等の改正

(2)コメント関係

   標準管理委託契約書第14条の改正を受け、第14条関係のコメントを次のように改正しました。

 ① 情報開示の意義を追加

   管理情報が購入予定者に提供・開示されることは、購入予定者の利益保護に資するほか、マンション内

  のトラブルの未然防止や組合運営の円滑化、マンションの資産価値の向上等の観点からも有意義である旨

  を追記(第14条関係①)。

 ② 「敷地及び共用部分における重大事故・事件」等への対応を追加

   「敷地及び共用部分における重大事故・事件」のように個別性が高い事項については、開示対象事項で

  あっても、該当事項ごとに管理組合に開示の可否を確認し、承認を得た上で開示するとの対応も考えられ

  る旨を追記(第14条関係②)。

 ③ プライバシー情報が含まれる場合の対応を追加

   個人情報保護法の趣旨を踏まえた対応が必要であることを追加。また、別表第5に記載する事項は、

  「敷地及び共用部分における重大事故・事件」(特定の個人名等が含まれている場合)を除けば、売主

  滞納額等を含め、提供・開示に特段の配慮は不要である旨を追加(第14条関係③)。

 ④ 購入予定者等へ開示する場合の対応を追加

   管理規約等において、宅建業者の他に購入予定者等への提供・開示も規定されている場合には、管理

  委託契約書に購入予定者等へも提供・開示する旨を追加するよう明記(第14条関係⑤)。

 ⑤ 総会議事録等の閲覧業務を受託する場合の対応を追加

   宅建業者に対する提供・開示と併せて総会議事録等の閲覧業務も管理組合から受託している場合には、

  管理委託契約書に当該閲覧業務も行う旨を追加するよう明記(第14条関係⑥)。

 ⑥ 開示に関する事後報告を行う場合において追加

   マンション管理業者が宅建業者等へ提供・開示した件数、手数料等を、管理組合に報告することもあ

  り得る旨を追加(第14条関係⑦)。

 ⑦ 別表第5における、管理費等の変更にかかる「予定有」「検討中」の定義を明確化

   管理費等の変更、専有部分使用規則の制定・変更、大規模修繕等の実施等に係る今後の予定に関する

  情報開示が適切にされるよう、「予定有」「検討中」の用語の定義を明確化(別表第5の5(3)関係、

  7関係)。

(岡管連から)

 マンション標準管理委託契約書の改正については、11月26日(土)に開催される岡管連主催の「マンション生活支援セミナーin岡山」において、当該改正のうち、管理会社が宅建業者へ情報開示・提供等について、マンション標準管理規約の改正に合わせて説明する予定です。

| 2016年10月07日 | カテゴリー 管理基礎講座 

標準管理規約委託契約書等の改正

 マンション管理業者が、管理組合から当該開示業務を委託され、宅建業者(注)またはその所有する専有部分の売却等を行う管理組合の組合員(以下[宅建業者等]という。)から管理情報の提供依頼を受けた場合に開示する情報項目の充実などを図る改正を行いました。

 (注)不動産の仲介を行う宅建業者には、購入予定者に対する重要事項説明が義務付けられており、特に

    マンションの場合にはその特性を踏まえ、管理規約の内容など、説明事項が付加されています。

(1)標準管理規約委託契約書関係

   管理組合の組合員からマンションの専有部分の売却等の依頼を受けた宅建業者等が、管理規約等の開示

  を求めてきたときは、管理組合に代わりマンション管理業者が管理規約の写し等を書面で開示する規定

  (第14条)を、次のように改正しました。

 ① 開示対象として規定する情報項目を拡充

   標準管理規約の改正や購入予定者等におけるニーズ等を踏まえて充実させることとし、開示する事項を

  列記した別表第5を新設(第14条第1項)。

   【別表第5の事項】

    1 マンション名称

    2 管理体制関係

    3 共用部分関係

    4 負担する管理費等関係

    5 管理組合収支関係

    6 専有部分使用規則関係

    7 大規模修繕計画関係

    8 アスベスト使用調査の内容

    9 耐震診断の内容

    10 管理形態

    11 管理事務所関係

    12 備考

 ② 開示対象者に組合員を追加

   組合員自らが、所有する専有部分の売却等を目的とする情報収集のため提供等を求める場合にも対応

  できるよう、当該組合員も開示対象に追加(第14条第1項)。

 ② 開示費用の徴収規定を追加

   マンション管理業者が、情報開示関係業務に要する費用を開示する相手方から受領できる旨の規定を

  追加(第14条第2項)。

| 2016年10月05日 | カテゴリー 管理基礎講座