「意図的滞納型」への対策
1 区分所有者変更手続きをしっかりと履行すること
管理規約には、区分所有者の変更について、大部分は、書面を提出する義務を、売却等で所有権を失った
人、または、購入・競落・相続等で新たに所有権を取得した人の双方に課しています。
ところが、かなりの管理組合で、この所有権の得喪時の書面が完備していません。
特に、競売・公売時の新たな取得者を把握していない管理組合が多いのに驚きます。
管理会社がついていても、気づかなかったという無責任な例もあります。
競売・公売時には、必ず事前に裁判所等から対象の物件調査が入り、滞納管理費等を聴かれるはずです。
その時、しっかりと、裁判所・行政の事件番号、連絡先を書き留め、名刺ももらい、理事会と管理会社の
共通認識にしておくことが大切です。
滞納額については、所定の「債権届出書」をきちんと提出しましょう。
どうせ抵当権が優先で管理組合に配当されないからと、滞納管理費等はこれだけですと書いたメモみたい
な物だけ出すのはいけません。
所定の債権届出書をきっちり出しておけば、競売手続きが取り下げられない限り、時効中段の効力もあり
ますから、債権届出書は大切なのです。当然に控えもとっておきます。
そして、時々、事件がどの程度進行しているか担当部署に連絡して、競落期日を押さえておいて、当日競
落できたら、競落人は会社か個人か、その商号や名前、住所、電話番号、担当者名を直ちに把握すること
です。
そして、こちらから競落人にすぐに連絡し、最新の管理規約、細則等一式、必要提出書類一式、前区分所
有者の滞納管理費等総額の支払請求書、当月分からの管理費等内訳と振込先、引落し口座の設定関係書類を
交付または送付し、直ちに『新区分所有者届』を提出してもらいます。
(著)横浜マリン法律事務所 弁護士 石川 惠美子