豆知識

最高裁判決:マンション管理組合の理事長の職の解任

 平成29年12月18日、理事長を区分所有法上の管理者とし、その選任は総会で選任された理事の互選によるものとする一方で、理事長の解任に関し特段の規定を設けていない管理規約を有するマンション管理組合において、理事長の解任を理事会決議で行うことができるかについて、初めての最高裁判断が示されました。

 理事長が区分所有者の利益を顧みず専横的に振る舞い、他の理事や区分所有者などからの辞任要請などにも耳を貸さないようなケースでは、マンション全体の利益を守るため、理事長の解任が要請されることがあります。

 今回の最高裁判決で、この問題につき決着が図られたことになります。

 理事長の解任に関して特段の規定を設けていないのは、国土交通省が示しているマンション標準管理規約でも同様です。

 したがって、今回の最高裁の判断は、標準管理規約を元に管理規約を制定している多くの管理組合にも、理事長の解任の手続きに関し大きな影響を与えるものとなります。

佐藤貴美法律事務所 弁護士 佐藤 貴美

| 2018年3月20日 | カテゴリー 豆知識 

2月10日(土)13時30分より、倉敷市立美術館において、災害弱者と人権というタイトルで

「生活再建における知識の備え」について、岡本先生から講演がありました。

岡本先生は東京の弁護士であり、マンション管理士及びFP等の資格をお持ちであります。

マンションの被災、災害後の生活相談、支援などで全国各地で講演を行っています。

熊本地震でのマンション被災への相談対応にも当たられました。

 

| 2018年2月13日 | カテゴリー 豆知識 

続マンション漂流(下)

 快適なマンション生活を考えるうえで、管理会社と管理組合の良好な関係は欠かせない。

 管理会社では近年、雪かきや夏祭りの支援、高齢者の見守りといった管理委託契約書に明記されていない業務が増えているという。

 こうした課題に対応するため、大手管理会社など363社が加盟する「マンション管理業協会」は10月、管理業務の項目を細かく分類した共通見積書式を作った。

 サービス内容を明確にすることで健全な競争を促し、管理会社を選ぶ際の参考にしてもらおうという狙いだ。

 先月、大阪市中央区で開かれた同協会の研修会には若手からベテランまで約100人が参加。

 講師は「管理会社への要求のレベルは高くなり、見る目も厳しくなっている」と呼びかけた。

 協会の担当者は「住民のニーズが多様化する中、コミュニケーションがこれまで以上に重要。

 共通の書式を足がかりに理解を深めたい」と話す。

 年月とともに老朽化が避けられないマンションの質をいかに維持するか。

 管理組合と管理会社双方の模索が続く。

| 2018年1月21日 | カテゴリー 豆知識 

続マンション漂流(下)

 マンション管理の話題を取り上げるインターネットのブログに、管理組合の役員になるという住民から相談メールが届いた。

 ブログの運営者は関西のマンション管理会社に勤める30代の男性。

 役員の心構えを尋ねる住民にこう応じた。「みんなの財産や暮らしを預かっている自覚を持って」

 男性は今、14棟を担当している。中には管理に消極的だと感じるマンションもある。

 例えば、草が伸び放題で中庭が荒れた物件。購入希望者が下見に来たら、どう思うだろう。

 管理組合にいくら対応を促しても、理事らは「次の役員のときに」と問題を先送りするばかり。

 管理組合が改善に乗り出したのは5年後だった。

 「管理組合と管理会社がお互いに惰性で動くような関係になるとマンションの質は下がり続ける。

 管理組合は私たちをうまく利用してほしい」と話す。

(注)下線は、こちら側で記載。

| 2018年1月19日 | カテゴリー 豆知識 

続マンション漂流(中)

 滋賀県のマンションは一昨年、卓球台を買うことになった。依頼した管理会社が示した見積書は約8万6000円。住民がスポーツ店で似た仕様のものを2万円台で見つけてくると、管理会社は約2万6000円の見積書を出し直した。最初の値段は何だったのか。担当者は「普段利用している業者に頼んだら、その金額でした」と答えたという。「癒着しているのでは」。不信感は今もぬぐえない。

 割高な見積額について、関西の管理会社に勤めた経験がある男性は「管理費だけではもうからない」と打ち明ける。インターホーンやLED照明。防犯カメラなど設備関係の交換工事は利益を上げる好機だったという。「私がいた会社では、そうして管理組合に金を使わせた社員が出世した」

 NPO法人近畿マンション管理者協会の会長は「業者が利益を考えるのは当然。自分の財産なのだから、住民自身が汗をかき、知恵を絞ることが大事だ。住民の側に立った提案ができる業者もいるので、善しあしを見極める目を磨いてほしい」と指摘する。

| 2018年1月13日 | カテゴリー 豆知識 

続マンション漂流(中)

 「カタログ価格は20万円ですが、半値でやります」。3年半前、インターホンの取り換えを考えていた大阪府富田林市のマンションの管理組合に、管理会社の担当者が売り込んできた。「半額」に感嘆する役員もいたが、理事長は同調しなかった。「その値段、妥当か」

 当時の理事長は量販店で価格帯を調べ、電気工事店にも見積もりを頼んだ。交渉の末、管理会社の見積額は1戸約9万円に下がった。差額は1万円ほどだが、110戸分とエントランス部の割引なども合わせると205万円の出費が減った。

 言い値を疑うようになったのは約5年前。当時の管理会社は駐車場増設工事で約150万円の見積額を示した。交渉すると、担当者は約40万円減額して見せたが、別業者から見積書をとると約73万円。「見積書には裏がある」と思うようになった。管理組合は毎年、管理会社を変更した。

 今の会社の事務処理は評価できるが、疑わしい見積書を持って来るのは相変わらずだ。設備業者の定期点検で共用廊下の非常灯の一つに不具合が見つかり、電池を交換するとその日に復旧した。地元の電気店で買った電池は約1万3000円。だが、事情を知らない管理会社は翌月、設備業者の報告書を基に非常灯を丸ごと取り換える6万円の工事を提案してきた。「現場も確認しないのか」。見積書は突き返した。

| 2018年1月11日 | カテゴリー 豆知識 

町村総会の検討

 高知県大川村が、議会に代わる「村総会」設置の検討に動きだした。議会を廃止し、有権者自らが予算や条例などを議論して決める仕組みである。背景には議員のなり手不足がある

 大川村議会は年末までに総会設置に向けた条例の必要性について検討する。開催するとなると年に数回が想定される。予算案などの議案が想定される。予算案などの議案を住民にどう周知し、理解してもらうか。住民が一堂に集まるなら高齢者の足の確保も必要だ。どれも簡単ではない。

 議員のなり手不足は大川村だけの問題ではない。2015年の統一地方選では、町村議の無投票当選率は約22%になり、4町村で定数割れが起きた。人口減少が進めば、こうした傾向はさらに拡大が予想されるだけに、立候補しやすい環境整備は多くの自治体に共通する課題となる。

 過疎や高齢化が進む中、幅広い民意を集約できる議会はどうあるべきか。仮に存続できない場合に町村総会をどう機能させていくか。議会と自治を考え直す契機としたい。

岡管連から

 マンション管理組合の理事会役員のなり手問題は、町村会の議員のなり手不足と同様に、今後マンション組合員の高齢化が進めば、町村会以上の深刻な問題となると思われます

 つまりマンションの場合、住民の無関心層が多いうえに、総会は定数不足で開催されず、理事会の役員に誰も就任しようとはしない。

 その結果、マンションの維持管理ができず、最後は『マンションのスラム化』です。区分所有者がいても誰も住まなくなり、そのようなマンションがいたるところで起きてくると思われます。

| 2017年6月27日 | カテゴリー 豆知識 

木造に比べ、不利な条件も

 マンションの延べ床面積には、共用部分が各戸に上乗せられていて、自分の使う床面積より3割は、大きくなっている。

 それに木造では物価水準補正、設計監理費による補正、寒冷積雪地による減点補正などで減額されるが、鉄筋ではそれがなく木造と最大4割も格差が付く。

 最後に経過年数減点補正をおこなうが、前述のように鉄筋の耐用年数の60年と木造25年の差が効いてくる。

 こうした不合理なマンション固定資産税について、NPO日住協も加盟している全国マンション管理組合連合会では、2年前から、国交省を通じて総務省などに是正を要望しているが、明確な回答はない。

岡管連から

 岡管連では、以下の『三大アピール』を、今年度から発信していくことにしました。様々な場面で『三大アピール』を行ってまいります。

一 マンション再生法の制定

二 固定資産税減免等の措置

三 環境に優しい工事の推奨

| 2017年6月17日 | カテゴリー 豆知識 

 固定資産税は、地方税の一つだが、マンションにとっては、不合理な面の強い税とされ、経済学者などから問題点が指摘されてきた。

木造に比べ約1.5倍高い

 木造一戸建てに比べ、マンションの固定資産税は、新築当初から、1.5倍は高いとされている。

 マンションは新築後、建物について5年間、半額の措置が取られるが、それ以降は倍に戻る。

 しかも、住宅用地の固定資産税は200㎡まで6分の1に減額されるが、マンションは土地の割合が、戸建てに比べ10分の1くらいのため、その恩恵がほとんどない。

 また、固定資産税では、建物の耐用年数が木造25年、マンションは60年と定められていて、大きな格差がある。

 この耐用年数は専門家の調査だと、現実にはどちらも、50年程度とみられている。

 さらに、耐用年数がきても、木造・マンションとも、固定資産税は建物が取り壊されない限り、最後まで20%は残る仕組みだ。

| 2017年6月15日 | カテゴリー 豆知識 

【外壁落下のトラブル】

 道路を歩いていたら上からタイルやコンクリートの破片が落下してきてケガをしたり、下に停めてあった車に傷がついたなど、所有者である管理組合の責任が問われる重大なトラブルに発展する可能性のある問題です。

 外壁の回りで落下する可能性があるものは、タイルだけではありません。

 付着力の低下した手摺笠木などのモルタルが部分的に落下したり、鉄筋爆裂箇所のコンクリート片が浮き上がって剥落することもあります。

 金属手摺の付け根のアンカーが錆びて膨張し、回りのコンクリートやモルタルを押し出してその破片が剥落する事例もあります。

 いずれも共用部分の劣化が落下の原因になりますので、管理組合は定期的に適切な補修を行い、これらの剥落・落下を予防することが求められます。

 雨漏りの予防と同様、大規模修繕等の計画修繕工事の時に、タイルやモルタルの浮き、鉄筋爆裂などを十分に調査し、不具合箇所を見つけて確実に補修することが大切です。

 日頃から、落下の可能性が予見されるタイルの浮き上がりや、モルタルやコンクリートの浮き上がり、ひび割れ等を見過ごさないようにすることも大切です。

                        (著)日本建築家協会メンテナンス部会員 江守 芙実

【特殊建築物の定期報告制度】

 5階建て以上、延べ面積1.000㎡を超えるマンションは、建築基準法第12条に定める特殊建築物に該当し、以下の項目について3年に1度、定期報告を特定行政庁に対して行わなければならない。

1 敷地及び地盤:敷地内の通路、擁壁の状況など

2 建築物の外部:外壁の劣化の状況など

3 屋上及び屋根:屋上回りの劣化の状況など

4 建築物の内部:防火区画や、床、天井の状況など

5 避難施設等:避難施設、非常用設備の状況など

 平成20年4月から、竣工後又は外壁補修工事後10年を経過したマンションは、それ以前は手の届く範囲に求められていた外壁の打診(タイルなど外壁を叩いた音から浮きの有無などを確認する検査方法)を、全面で実施し、その調査結果の報告も必要となりました。

(岡管連から)

 新築後又は大規模修繕工事後の特殊建築物の定期報告では、外壁タイルなど躯体への付着物は、全面打診が必要になった。

| 2016年4月05日 | カテゴリー 豆知識