管理組合運営

最高裁初判断

 マンション管理組合の理事長を、理事会だけの判断で解任できるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷は18日、解任できるとの初判断を示した。解任できないとした二審福岡高裁判決を破棄し、審理を差し戻した。

 全国のマンション管理組合の約9割は、今回の組合と同様、国土交通省作成の「標準管理規約」に準拠している。標準管理規約は、理事会による理事長の解任について明記しておらず、判決は広く影響を与えそうだ。

 管理規約は、理事長の選任は「理事の互選」と規定。理事長や理事などを含む「役員」の選任や解任は「総会」の議決事項としている。

 第1小法廷は、規約上、総会で選ばれた理事には、互選で選任した理事長の職を過半数の一致で解き、新たな理事長を定めることも委ねられていると指摘した。

| 2018年1月07日 | カテゴリー 管理組合運営 

標準管理規約上の閲覧請求

                 条 文     請求者     請求方法   義務者

・総会議事録          49条3項  組合員利害関係者   書面    理事長

・書面による決議        50条4項    同上       書面     同上

・理事会議事録         53条4項    同上       書面     同上

・会計帳簿           64条1項    同上      理由付書面   同上

・什器備品台帳           同上     同上       同上     同上

・組合員名簿            同上     同上       同上     同上

・その他の帳票類          同上     同上       同上     同上

・長期修繕計画書        64条2項    同上       同上     同上

・設計図書             同上     同上       同上     同上

・修繕等の履歴情報         同上     同上       同上     同上

・規約原本           72条2項  区分所有者利害関係人 書面     同上

・規約変更決議総会議事録    72条4項    同上       書面     同上

・現に有効な規約の内容記載書面   同上     同上       書面     同上

・使用細則等            同上     同上       書面     同上

 

湯川・佐原法律事務所 弁護士 佐原 專二

| 2017年12月21日 | カテゴリー 管理組合運営 

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| 2017年12月01日 | カテゴリー 管理組合運営 

下水が逆流して・・・

 「いてくれて当然」の存在だった管理人が消えた―――。自分たちの建物の管理にまるで関心を抱いてこなかった住民たちは、とっさの事態に、どう対処すればいいかまるで見当がつかない。

 「ゴミの片づけや、簡単な清掃くらいなら有志で分担すればどうにかできた。でも、建物のメンテナンスとなると、私たちの知識ではどうにもならない。2年ほど前には、給水管が壊れて水が溢れ、全階の廊下が水浸しになった。でも、そういうときに、どこに修理をお願いしていいかもわからず、途方にくれました」(女性住民)

 その後もBマンションでは、あちこちで綻びが生じ、状況は悪化の一途をたどった。

 「一番大変だったのは下水管の故障。サビやゴミで詰まり気味のところに無理に流し込むから、排管の中でゴミが固まり詰まってします。たくさん水を流すと逆流してくるので、洗濯もまともにできない。あの頃は、1か月に3回も4回も水道業者を呼んで応急処置をしていた。埒が明かないので、全面的な修理をしてもらうために専門業者を呼んだのですが、『老朽化しすぎていて修理の途中で破損してしまう可能性がある』と、ほとんどのところに断られてしまった」(女性住民)

 管理人を失い、定期的なメンテナンスを怠ってきたがゆえに次々噴出する「異常事態」。

 現在、住民たちの頭を一番悩ませているのは、飲み水の問題だという。

 本来、年に最低1回は受水槽の点検を行わなければならないと法律で定められているが、Bマンションでは管理人の死後、一度も行われていない。

 「最近心なしか、水がサビたような味がするんです。お腹を壊すと嫌なので夏でもかならず一度沸かして使っています。これもまた検査をしようとすれば手間とお金がかかるので、住民は見てみぬふり。この先、みんな動けない歳になったときどうなってしまうのか、不安だけど、どうしようもできない」(女性住民)

 前出の川上氏が言う。「これからは、マンション住まいの多い団塊の世代が認知症を患う年齢に差し掛かるので、例えば共用廊下での徘徊やゴミの放置など、新たな問題が次々出てくるでしょう。管理人に求められる仕事は増える一方です。それが嫌になった管理人が逃げ出しても、住民はそのマンションに住み続けるほかない。任せきりにせず、主体的に知恵を絞るしかありません」

 あなたのマンションの管理人も、いつ消えてもおかしく。

| 2017年7月23日 | カテゴリー 管理組合運営 

1週間で廊下がゴミの山に

 賃金が安いのに、精神的にも肉体的にも負担が大きい管理人の仕事。なり手がいないからと放置しているうちに、崩壊寸前にまで至ってしまったマンションがある。

 神奈川県横浜市。中華街からほど近いところにある築40年超のBマンション。コンビニエンスストアや大規模スーパーも揃い、真新しい高級マンションが林立する一帯で、古ぼけた茶色い建物が逆に目立つ。外壁はひび割れてところどころ塗装が剥がれ、バルコニーの手すりの周りもコンクリートが割れ、鉄筋がむき出しになっていた。

 正面のエントランスにまわると、使われなくなった古いテレビや炊飯器などの家電製品が無造作に放置され、「ゴミ屋敷」の様相を呈している。中に足を踏み入れると、廊下の天井の蛍光灯はだいぶ前に切れたのだろう、真っ黒に煤けていた。

 「昔は清掃の行き届いたきれいな建物だったんですけどね。どうしてこうなっちゃたんだか」

 ため息交じりに言うのは、このマンションに住む70代の女性住民だ。

 女性によれば、荒廃が一気に進んだのはおよそ5年前、最上階を所有するオーナー兼管理人の男性が亡くなってからのことだ。

 Bマンションには、各階に缶、ビン、生ゴミの3つのゴミ捨て場が設置され、それを管理人が収集日にゴミ収集場に運ぶルールがあった。

 「それまで管理人さんにすべてお任せしていたので、亡くなって1週間で、廊下があっという間にゴミの山になってしまいました。もう誰も運んでくれないので、自分たちで収集日に直接運ぶことにしたのですが、老体にはキツいものがる」(女性住民)

| 2017年7月21日 | カテゴリー 管理組合運営 

誰でも務まる仕事ではない

 屋上階に行くと、住民の誰かが勝手に置いたのか、古びた食器棚やカーペットが放置されている。周囲には、鳥についばまれところどころ破けたゴミ袋が散乱し、異臭を放っている。

 「粗大ごみの廃棄は自治体への申請が必要なのに、バレないと思って屋上に置いていく人がいるんです。誰のものか特定して注意すればいいんでしょうが、住民が住民を直接注意するのも角が立つのでやりにくい。主体的に住民間の調整をしてくれていた管理人さんのありがたさが今になって身に沁みる」(男性住民)

 管理人がいなくなったことで、もはやコミュニティのルールさえ崩壊してしまったのだ。

 近隣の不動産業者もAマンションの惨状を心配して言う。

 「あそこは売り出し物件も出ていますが、値段を下げても、半年以上買い手がつきません。荒れているから人が寄り付かず、住民が減り、更に荒廃する悪循環に陥っている。お年を召された住民ばかりなので、先を考えると大変でしょう」

 Aマンションのケースは決して特異な例ではない。いま、管理人が消え、後任が見つからずに荒廃するマンションが全国で急増している。

 全国マンション管理組合連合会の会長を務める川上湛永(やすひさ)氏が言う。

 「最大の原因は、これまで管理業務の中心を担ってきたリタイア世代の高齢化。もともと管理業務は肉体的にしんどい仕事のうえ、増加する外国人居住者への対応や、高齢者の介護に近い仕事もあり、精神的な消耗も大きく敬遠される要因になっています」

| 2017年7月19日 | カテゴリー 管理組合運営 

ヒビが入った窓ガラスも放置

 埼玉県川越市。JR川越駅から徒歩20分ほどのところに、築約40年のAマンションがある。

 「正直、身体がしんどいので、ここらでやめさせてもらいます」

 20年以上にわたりこのマンションの管理人を務めていた70代の女性が突然いなくなったのは、この4月のことだった。

 Aマンションの管理組合理事長を務める60代の男性住民が言う。

 「その管理人さんはもともと管理会社から派遣されていたのですが、長年修理や管理を一手に引き受け、住民からの信頼も篤かった。会社を定年退職されたのを機に、管理組合と直接契約し、引き続き務めてもらっていました。それが、昨年あたりから『私も年だし、この仕事はキツイ』と何度か相談を受けていた。しかし、こちらとしてもずっとやってきてもらって、代わりはすぐに見つからない。『せめて、次の人が来るまでお願いします』と慰留していたのですが、3月いっぱいで辞める、という意志は固かった」

 長年、このマンションのすべてを一手に引き受けていた女性管理人、いなくなって初めて、住民たちはその存在の大きさを知ることになる。

 「まず困ったのは、ゴミの処理。自治体の分別は想像以上に厳しく、管理人さんがいなくなったとたん、収集拒否にあってしまった。それまでは問題のありそうなゴミ袋は彼女が一度開けて、再度仕分けして直してくれていたんです」

 回収されないゴミは、うず高く積み上がり、隣家の住民からクレームを受けるほどだった。

 さらに、ゴミをめぐり、住民間のトラブルも勃発した。

 「ウチのマンションはエレベーターがないから、上のほうの階の足が悪い住民のゴミを、管理人さんが代わりに収集場まで運んでくれていたんです。彼女がいなくなってからは、その住民がベランダにゴミを溜め込むようになり、生ゴミのニオイが漂って、隣の部屋の住民との間で言い争いになってしまった」

 風の強い日にヒビが入ったという窓ガラスも、管理人がいなくなってから急に増えたという外壁のスプレーの落書きも、修繕されず、放置されたままになっている。

 「このままではさすがにまずいと思い、仲介業者に相談して、次の管理人の求人を募集してはみたものの、我々が出せる条件じゃまったく応募がありません」

| 2017年7月17日 | カテゴリー 管理組合運営 

管理人はいるのが当たり前

 そう思い込んでいる人ほど、彼らが普段、どれほど面倒事を引き受けてくれているかを知らない。

 いざいなくなったとき、待ち受けているのは絶望的な現実だった。

 廊下は水浸し、共用部にはゴミが散乱して・・・

岡管連から

 週刊現代7月15日号「ドキュメント いま日本中で急増している異常事態 管理人が消えました」に掲載されましたものを、4回シリーズで抜粋したものをアナウンスします。

 どの業種、職種も人手不足の時代になってきています。

 いま、管理員の多くは定年退職者であり、そのうち団塊世代が多数占めています。

 今後、その団塊世代が後期高齢者になる「2025年問題」が高齢者の人手不足としてどの業種、職種にも表面化してくるものと考えられています。

 その典型的な例が、マンションの管理員でしょう。

 優秀な管理員の奪い合い、人件費の上昇など、管理組合としても今から検討すべき時期に来ています。

| 2017年7月15日 | カテゴリー 管理組合運営 

2 外部の専門家の活用

(3)外部専門家の役員就任に伴う制度の整備

 ④監事による監督機能の強化

   監事は、いつでも理事や管理組合の職員に対して業務の報告を求め、または、業務、財産の状況の調査

  をすることができるようにしなければなりません(標準管理規約41条2項)。さらに、これまで監事は

  理事会への出席は任意とされていましたが、監事による監督機能の強化のために、監事は「理事会に出席

  し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。」(標準管理規約41条4項)と規定す

  ることで、理事会への出席義務を課すとともに、必要があるときは意見を述べなければならない、とすべ

  きでしょう。

 ⑤役員の報酬

   役員報酬については、これまでも標準管理規約に、必要経費の支払いと併せて報酬を受け取ることがで

  きるという規定がありますが(37条2項)、無報酬の場合が多いことが過去の調査で明らかとなってい

  ます。これは、区分所有者の善意によるところが大きかったためと言えますが、報酬を受け取ることによ

  り、責任と求められる成果を負担に感じて役員就任に消極的になるおそれがあるため無報酬としてきたと

  いう側面もあるようです。

   外部専門家が役員に就任する場合、当該役員に対して必要経費とは別に、理事会での協議・意見交換の

  参画等に伴う負担と、実際の業務の困難性や専門的技能・能力等による寄与などを総合的に考慮して、報

  酬を支払うことが必要になってきます。その際、理事会の議事録の閲覧(標準管理規約53条4項)の活

  用等により、役員の業務の状況を適切に認知・確認することが望ましいでしょう。

                           (著)湯川佐原法律事務所 弁護士 佐原 專二

| 2017年6月09日 | カテゴリー 管理組合運営 

2 外部の専門家の活用

(3)外部専門家の役員就任に伴う制度の整備

 利益相反取引の防止

   外部専門家の役員就任を可能とした場合、外部の専門家が管理組合の利益を犠牲にして自己または

  第三者の利益を図るおそれが生じます。そこで、役員が、利益相反取引を行おうとする場合には、

  理事会で当該取引につき重要な事実を開示し、承認を受けなければならないことを定めるべきでしょう

  (標準管理規約37条の2)。

   この利益相反取引の中には、マンションの大規模修繕工事の施工を個人業者たる理事が管理組合から

  請け負うとか、マンションに係る火災保険の締結について理事が保険募集人(個人の保険代理店)として

  代理を行うなど、管理組合と外部専門家たる理事が直接取引を行う場合はもちろん、さらには、マンショ

  ンの大規模修繕工事の施工を理事が代表取締役を務める工務店が管理組合から請け負う場合や、マンショ

  ンに係る火災保険の締結について、理事が代表取締役を務める保険代理店が代理を行う場合など、直接

  取引を行う関係ではないが、当該取引の実質的な損益が外部専門家たる理事に帰属するような間接取引も

  含まれます。

   同様に、理事会の決議に特別の利害関係を有する(外部専門家たる)理事は、その議決に加わることが

  できない旨を規定すべきでしょう(標準管理規約53条3項)。

   また、管理組合と理事長との利益が相反する事項についても、監事または当該理事長以外の理事が管理

  組合を代表する旨を規定すべきでしょう(標準管理規約38条6項)。

                           (著)湯川佐原法律事務所 弁護士 佐原 專二

| 2017年6月07日 | カテゴリー 管理組合運営