1週間で廊下がゴミの山に
賃金が安いのに、精神的にも肉体的にも負担が大きい管理人の仕事。なり手がいないからと放置しているうちに、崩壊寸前にまで至ってしまったマンションがある。
神奈川県横浜市。中華街からほど近いところにある築40年超のBマンション。コンビニエンスストアや大規模スーパーも揃い、真新しい高級マンションが林立する一帯で、古ぼけた茶色い建物が逆に目立つ。外壁はひび割れてところどころ塗装が剥がれ、バルコニーの手すりの周りもコンクリートが割れ、鉄筋がむき出しになっていた。
正面のエントランスにまわると、使われなくなった古いテレビや炊飯器などの家電製品が無造作に放置され、「ゴミ屋敷」の様相を呈している。中に足を踏み入れると、廊下の天井の蛍光灯はだいぶ前に切れたのだろう、真っ黒に煤けていた。
「昔は清掃の行き届いたきれいな建物だったんですけどね。どうしてこうなっちゃたんだか」
ため息交じりに言うのは、このマンションに住む70代の女性住民だ。
女性によれば、荒廃が一気に進んだのはおよそ5年前、最上階を所有するオーナー兼管理人の男性が亡くなってからのことだ。
Bマンションには、各階に缶、ビン、生ゴミの3つのゴミ捨て場が設置され、それを管理人が収集日にゴミ収集場に運ぶルールがあった。
「それまで管理人さんにすべてお任せしていたので、亡くなって1週間で、廊下があっという間にゴミの山になってしまいました。もう誰も運んでくれないので、自分たちで収集日に直接運ぶことにしたのですが、老体にはキツいものがる」(女性住民)