2 外部の専門家の活用
(3)外部専門家の役員就任に伴う制度の整備
③利益相反取引の防止
外部専門家の役員就任を可能とした場合、外部の専門家が管理組合の利益を犠牲にして自己または
第三者の利益を図るおそれが生じます。そこで、役員が、利益相反取引を行おうとする場合には、
理事会で当該取引につき重要な事実を開示し、承認を受けなければならないことを定めるべきでしょう
(標準管理規約37条の2)。
この利益相反取引の中には、マンションの大規模修繕工事の施工を個人業者たる理事が管理組合から
請け負うとか、マンションに係る火災保険の締結について理事が保険募集人(個人の保険代理店)として
代理を行うなど、管理組合と外部専門家たる理事が直接取引を行う場合はもちろん、さらには、マンショ
ンの大規模修繕工事の施工を理事が代表取締役を務める工務店が管理組合から請け負う場合や、マンショ
ンに係る火災保険の締結について、理事が代表取締役を務める保険代理店が代理を行う場合など、直接
取引を行う関係ではないが、当該取引の実質的な損益が外部専門家たる理事に帰属するような間接取引も
含まれます。
同様に、理事会の決議に特別の利害関係を有する(外部専門家たる)理事は、その議決に加わることが
できない旨を規定すべきでしょう(標準管理規約53条3項)。
また、管理組合と理事長との利益が相反する事項についても、監事または当該理事長以外の理事が管理
組合を代表する旨を規定すべきでしょう(標準管理規約38条6項)。
(著)湯川佐原法律事務所 弁護士 佐原 專二