災害等への備え

概 要

◊令和元年東日本台風(第19号)による大雨に伴う内水氾濫により、首都圏の高層マンションの地下部分に

 設置されていた高圧受変電設備が冠水し、停電したしたことによりエレベーター、給水設備等のライフラ

 インが一定期間使用不能となる被害が発生。

◊こうした建築物の浸水被害の発生を踏まえ、国土交通省と経済産業省の連携のもと、学識経験者、関連業界

 団体等からなる「建築物における電気設備の浸水対策のあり方に関する検討会」を設置し、浸水対策のあ

 り方を検討。

◊パブリックコメントの結果を踏まえ、「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」を本年6月にと

 りまとめ、両省より関連業界団体等に対して積極的に周知を実施。

ガイドラインの概要

1 適用範囲

  ・高圧受変電設備等の設置が必要な建築物

  ・新築時、既存建築物の改修時等

2 目標水準の設定

  ・建築主や所有者・管理者は、専門技術者のサポートを受け、目標水準を設定。

  ・以下の事項を調査し、機能継続の必要性を勘案し、想定される浸水深や浸水継続時間等を踏まえ、

   設定浸水規模を設定。(例:○○cmの浸水深)

    ☑国、地方公共団体が指定・公表する浸水想定区域

    ☑市町村のハザードマップ(平均して千年に一度の割合で発生する洪水を想定)

    ☑地形図等の地形情報(敷地の詳細な浸水リスク等の把握)

    ☑過去最大降雨、浸水実績等(比較的高い頻度で発生する洪水等)

  ・設定した浸水規模に対し、機能継続に必要な浸水対策の目標水準を設定

   (建築物内における浸水を防止する部分(例:居住エリア)の設定等)。

3 浸水対策の具体的取組み

  設定した目標水準と個々の対象建築物の状況を踏まえ、以下の対策を総合的に実施

  ①浸水リスクの低い場所への電気設備の設置

    ・電気設備を上階に設置

  ②対象建築物内への浸水を防止する対策

    建築物の外周等に「水防ライン」を設定し、ライン上の全ての浸水経路に一体的に以下の対策を実施

    (出入口等における浸水対策)

      ・マウンドアップ

      ・止水板、防水扉、土嚢の設置

    (開口部における浸水対策)

      ・からぼりの周囲への止水板等の設置

      ・換気口等の開口部の高い位置への設置等

    (逆流・溢水対策)

      ・下水道からの逆流防止措置(例:バルブ設置)

      ・貯留槽からの浸水防止措置(例:マンホールの密閉措置)

  ③電気設備設置室等への浸水を防止する対策

    水防ライン内で浸水が発生した場合を想定し、以下の対策を実施

   (区画レベルでの対策)

     ・防水扉の設置等による防止区画の形成

     ・配管の貫通部等への止水処理材の充填

   (電気設備に関する対策)

     ・電気設備の設置場所の嵩上げ

   (浸水性の低減に係る対策)

     ・水防ライン内の雨水等を流入させる貯水槽の設置

4 電気設備の早期復旧のための対策

   想定以上の洪水等の発生による電気設備の浸水に関して以下の対策を実施。

  (平時の取組)

    ・所有者・管理者、電気設備関係者の連絡体制整備

    ・設備関係図面の整備 等

  (発災時・発災後の取組)

    ・排水作業、清掃・点検・復旧方法の検討。

    ・復旧作業の実施 等

| 2020年9月17日 | カテゴリー 災害等への備え 

写真を提供していただいた方の住んでいるマンションは世田谷区玉川にある。

裏側のエントランスが多摩川に面しており、昨年の台風19号では、エントランスに止水板を設置した。

その後、堤防から水が溢れ出し、辺り一面が冠水した。

こちらのマンションでは、数年前に建て替えた時に川に面した裏手のエントランスに止水板設置を決めたという。

止水板の高さは約1メートル弱。

普段は倉庫などにしまい、いざというときに設置する。

これまでも多摩川が増水しそうな時に設置したことがあるといい、今回はまさにその効果が実感できたことになる。

写真から止水板が見事に川から漏れ出た水の侵入を防いだのが分かる。

ちなみに近隣のマンションの道路より低い部分は冠水してしまっていた。

無論、水位が1メートルを超えてしまったら、水が建屋に侵入してしまうわけだが、少なくとも今回浸水は防ぐことが出来たわけだ。

「Japan In-depth」より抜粋・修正

| 2020年1月07日 | カテゴリー 災害等への備え 

止水板とは

「止水板」と聞いて皆さんはどのようなものを想像するだろうか?

一番身近なものは、地下鉄の入り口に設置するものではなかろうか。

地下に水が浸入することを防ぐために出入り口に人の手で設置するものだ。

では市街地のオフィスや店舗などはどう浸水対策をしているのかというと、一番ポピュラーなのは「土嚢」だろう。

応急的に出入り口に設置するのに便利である。

しかし、住宅地のマンションなどの集合住宅では、土嚢を積み上げるにも人手を集めねばならないし、そもそもどこから土嚢袋を入手したらいいかすら分からない。中に詰める土砂も市街地の場合、そう簡単に手には入らない。

しかし、エントランスに「止水板」があったら、それを設置するだけで1階ロビーへの水の侵入は防げる。

実際にあるマンションでは、エントランスに「止水板」を設置したことで事なきを得た。

「Japan In―depth」より抜粋、修正

 

| 2020年1月05日 | カテゴリー 災害等への備え 

要介護、ペット連れ避難、対応どうすれば/朝日新聞

海面より低い「ゼロメートル地帯」が7割を占める東京都江戸川区は、荒川が氾濫する恐れがあるとして、12日午前に約43万人を対象に避難勧告を出した。

区内105か所の避難所や自主避難受け入れ施設に、ピークの午後9時時点で計約3万5千人が避難した。

今回、氾濫には至らなかったが課題も見えた。

区立松江小には、デイサービス事業者が、利用していた高齢者を連れてきた。

介護や支援が必要な人への備えや対応のルールはなかったが、対応を迫られた。

雨天時のペット連れの避難者への対応を決めておらず、約80人がペットとともに1階玄関近くで過ごした。

前田真一副校長(47)は、「初めてわかることが多かった」と話した。

| 2019年12月13日 | カテゴリー 災害等への備え 

タワマン武蔵小杉を襲った泥水/朝日新聞10・19

川崎市中原区。

地下3階の電気系統の設備が浸水した武蔵小杉駅近くのタワーマンション(47階建て、643戸)は中層以下の停電や、全戸断水が続いた。エレベーターは止まったままだという。

住民の女性も近くの親戚宅に一時的に避難している。

「一番大変だったのはトイレ」と振り返った。

隣の川崎市高津区では、多摩川に流れ込めなくなった支流の水があふれるなどして浸水した。

市上下水道局によると、中原区では多摩川の水が下水管を通じて逆流し、地上に噴き出した可能性が高いという。

水路や下水の水が行き場を失って起こる内水氾濫だ。

東京大の古米弘明教授(都市工学)は、「市街地が河川の水位より低い場合、有効な対策をしておかないと逆流や内水氾濫が起こりうる」と指摘したうえで、「流域全体に及ぶような豪雨のリスクが今後高まる。

浸水被害が想定される市街地では、住宅の基礎部分のかさ上げやマンションの地下空間の耐水化など、街づくりのなかで被害を軽減する取り組みを進めるべきだ」と話す。

| 2019年12月11日 | カテゴリー 災害等への備え 

トイレ使えないタワマン 真っ暗な階段/朝日新聞10・15

駅近くの高さ約161メートル、47階建てタワーマンション(643戸)では、停電や断水が続く。

地下3階の電気系統の設備に浸水したために停電。

ポンプで水を上層階までくみ上げて各世帯に供給する仕組みのため、停電でポンプが動かず、全戸が断水し、トイレも使えない。

管理会社が水や携帯するタイプのトイレを、住民に提供している。

住民らによると、エレベーターが止まっているため、真っ暗な非常階段を懐中電灯を使って移動しているという。

15日は朝から、電力会社や設備会社が訪れ、復旧を急いだが、高層部分に住む女性は、「管理組合から『長引きそうだ』との説明があった。

しばらく別の場所に行く」と話し、スーツケースをもって出かけた。

| 2019年12月09日 | カテゴリー 災害等への備え 

低層階が浸水・・・あの日の「分泊」とは/朝日新聞10・26

台風19号が首都圏に近づいた夜。東京23区のあるマンションで、小さな試みがあった。

浸水した低層階の住民を、上の階が受け入れて自宅に泊めてあげる

名付けて「分泊」。成否のカギを握ったのは、日頃の住民の付き合いの深さだ。

周囲が暗く、暴風雨がうなる。「孤立してしまったようです」。

理事が119番に助けを求めると、「いま避難所に行くのは危ない。

3階以上で水か引くまで待機して」と指示が返ってきた。

2階まで含めれば、避難すべき住民は20世帯近くにのぼる。

「3階以上へ」と言われても。どこへ行けばいいのか。

「だったら、うちに泊まりませんか」。一緒に対応にあたっていた住民から自然と声があがった。

住民の多くが10年以上前からの入居者で、顔見知りがほとんど。

管理組合の活動や、子どもが小さい時の地域活動などを通じて交流もあり、受け入れ先は次々と決まった。

「知り合いがいない」という人は、空き部屋がある理事の家で受け入れることにした。

都市の災害対策に詳しい中林一樹・明治大学特任教授は、「上層階に避難することは最後の手段ではあるが、身も守るのに有効だ。

円滑な避難には、災害が起きる前からの住民同士の交流が重要。

管理組合などは、低層階の受け入れ先や避難させてもらった後の謝礼などの具体策を率先して考えておくことが必要だ」と話した。

| 2019年12月07日 | カテゴリー 災害等への備え 

マンションに必要な「防災隣組」と「互近助」

防災対策は「互近助づきあい」

 半年後、通報・初期消火・避難誘導に功績があったとして、居住者5人に神田消防署長から感謝状が贈呈されました。

 翌月、「緊急防災研修会」の講師として私が招かれました。

 その時に「『互近助の力』を実践された皆様に心より敬意を表します」というと、会場から大きな拍手が沸きました。

 フロアごとに「防災隣組」をつくり、お互いに近くで助け合う「互近助」の大切さを言い続けてきた私にとって、こうした成功事例は極めて嬉しい出来事でした。

 そのとき私が提案した「回覧板を手渡しで」も、さっそく取り入れてくれました。

 従来は掲示板に貼ったり、ポストに入れたりしていた告知文書を、フロアごとに回覧板にして手渡しすることになったのです。

 隣近所の絆を深めるため、回覧板で日常的に声を掛け合い顔なじみになるようしたいとおっしゃっていました。

 都会は隣人との付き合いが希薄と思われがちですが、地域によっては地方よりも熱心に安全・安心なコミュニティづくりに取り組んでいる町内会もあるのです。

 超高齢化社会、マンションでも普段の見守りや安否確認、そして災害後のスムーズな復興のためにも「互近助」と「防災隣組」の推進が必要です。

 管理組合が主導し、住民の意識啓発、気持ちよい挨拶のできる「互近助づきあい」を図るべきではと考えます。

(著)防災システム研究所 所長 山村 武彦

| 2019年10月13日 | カテゴリー 災害等への備え 

マンションに必要な「防災隣組」と「互近助」

ご近所の力で延焼を食い止める

 その日、朝8時半頃火災報知器のベルが鳴りました。

 住民たちは非常放送で20階からの出火を知ります。

 ドアを開けると、20階から上の階の窓の外や吹き抜けに煙が充満していました。

 炎は窓から吹き出し上階のバルコニーへと延焼しそうでしたが、上階の住民が機転を利かせ段ボール箱など燃えそうなものは全部室内に入れます。

 火元に駆け付けた住民たちは、訓練通り姿勢を低くし消火器、消火栓を使って初期消火にあたりました。

 周囲の人たちが119番通報し、ドアをたたいて住民全員の避難誘導を行いました。

 避難場所は「ご近助まつり」会場だったので避難しやすかったと言います。

 短時間に避難が完了し安否確認もスムーズにできたそうです。

 消防隊が駆け付け連結送水管による消火活動が開始されるまで、住民たちの消火活動が続けられた結果、上階や隣接部屋への延焼を食い止め、出火した1部屋だけの焼失に止めることができたのです。

 これこそお互いに近くで助け合う「互近助」の力です。

(著)防災システム研究所 所長 山村 武彦

| 2019年10月11日 | カテゴリー 災害等への備え 

マンションに必要な「防災隣組」と「互近助」

「ご近助」祭りで防災意識を醸成

 現場でマンションの自治会長から声をかけられました。

 「先生!みんなが協力して大事に至らず済みました。これも先生の教えを実行したからです」と礼を言われたのです。

 面はゆい気持ちで話を聞くと、千代田区主催の防災講演会でマンションの役員さんたちが私の講演を聞いたそうです。

 その時、「防災は自助と『ご近所(互近助)』が大切」という話に共鳴し、さっそく春と秋のイベントに「ご近助」を取り入れたそうです。

 チラシには「ご近助祭り」と書かれ、マンション前の西神田公園で炊き出しやバザーを開いているとのことです。

 ご近助祭りのテーマはずばり「防災」です。

 そして、集まった人たちには、次のような質問票が配布されます。

♦防災井戸、知ってますか?

♦テント、建てられますか?

♦発電機、起動できますか?

♦消火器、消火栓、使えますか?

 質問票に知らない、できないにΟをつけた人には、「はい、こちらへどうぞ」と役員たちが消火栓や消火器の使い方などをレクチャーをしてくれるそうです。

 「このご近助祭りが、あの火災の時に役立ったのです」と自治会長がおっしゃいます。

(著)防災システム研究所 所長 山村 武彦

| 2019年10月09日 | カテゴリー 災害等への備え