管理組合運営

漂流し始めるマンション

住友不動産建物サービス(住不建物)は今、同社が進める「マンション選別」の動きに、住民に大きな波紋を広げている。

築十数年のマンションは本来、18年3月に更新契約を交わすはずだったが、正式な契約を延期。暫定的に9月末まで管理を継続する契約を結び、一方で管理費の値下げを求めていた。数回の話し合いの末、月額32万円の引き下げでほぼ合意に達しかけていた。

その後、理事会当日、住不建物担当者は理事に切り出した。「長いお付き合いでしたが、当社は手を引きたいと考えています」。あまりに一方的で唐突。しかも当該担当者の説明が要領を得ないため、理事会メンバーは困惑するばかりだった。

聞けば、当該担当者にとっても解約は寝耳に水で、8月に入って上司から突然、支持されたのだという。そのときに上司から聞かされたのは、このエリヤから撤退し、都心部に人員を集中させるという会社の新たな方針だった。

結局、住不建物の撤退意向を翻意させられず、マンションの管理組合は押し切られる格好で解約をのんだ。事の経緯を説明するために住民説明会を開催する一方、新たな管理会社を公募。何とか期限内に別の引受先を見つけることができたが、理事たちはその作業や手続きに忙殺された。

| 2019年4月05日 | カテゴリー 管理組合運営 

漂流し始めるマンション

  管理は受けて当たり前という時代は、終わりつつある。

  採算が悪化したマンションは、切り捨てられる。

管理会社にのしかかる『3重苦』

  ①成長性低下

   人口減少でマンションの新規供給は、右肩下がり。

   管理戸数を増やして利益を上げる戦略は、曲がり角に。

  ②人手不足

   民間の定年延長で、セカンドキャリアとしての管理人不足が深刻。

   正社員も住民のクレーム対応で疲弊し、離職率は高い。

  ③採算悪化

   人件費高騰の一方、管理費の値上げは住民の同意が得にくい。

   大規模修繕の受注で赤字を補填するマンションも。

| 2019年4月03日 | カテゴリー 管理組合運営 

賃借人が周りに迷惑をかける場合

 賃借人がルールを守らずに周りに迷惑をかける場合、賃貸人である区分所有者は、賃貸借契約に基づきルールを順守するよう求め、場合によっては賃貸借契約を解除することができます。

 しかし、賃貸人が対応してくれないとき、管理組合はどうすればよいでしょうか。

 区分所有者は、賃借人の立場を勘案し、管理組合との関係においても、直接に、

①規約または集会決議に従う義務(区分所有法(以下、「法」という。)46条2項)

②区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない義務(法6条1項、3項)を負うと定めました。

 したがって、管理組合は、賃借人がルールを守らず周りに迷惑をかける行為をした場合には、規約・集会決議に違反していること、共同利益違反行為があることを理由として、直接賃借人に対して、迷惑行為を「やめる」(差止請求・法57条)、あまりに酷い場合には「出ていけ」(引渡請求・法60条)と請求することができます。

 もちろん、迷惑行為により損害を受けた場合には、損害賠償請求(民法709条)もできます。

湯川・佐原法律事務所 弁護士 佐原 專二

| 2018年12月07日 | カテゴリー 管理組合運営 

 平成25年度マンション総合調査によると、賃貸戸数割合は平均13.7%であり、5年前と比べて0.3%増加しています。

 また、賃貸戸数割合が20%を超えるマンションは全体の18.2%を占め、マンションの完成年次が古いものほど賃貸戸数割合が高くなる傾向にあります。

 マンション居住者の高齢化や子どもの独立等をきっかけとして、コンパクトで交通の便が良いマンションに転居するとか、介護付きの老人ホームに入所するなどして、これまでの所有マンションを賃貸する人が増えることが予想されます。

 それにより今後賃貸住戸に関わるトラブルがますます広範囲かつ多岐にわたることになります。

湯川・佐原法律事務所 弁護士 佐原 專二

岡管連から

岡管連では、時の経過とともにマンションに5つの現象が現れてくるものと考えています。

【マンションの五大化現象】

 ・建物の劣化

 ・設備の老朽化

 ・住民の高齢化

 ・住戸の賃貸化・空室化

 ・コミュニティの希薄化

| 2018年12月05日 | カテゴリー 管理組合運営 

「マンションみらいネット」が目指すもの

円滑な管理組合運営をサポート

 「マンションみらいネット」は、関係情報を透明化・共有化することにより管理組合内の合意形成を支援するとともに、コミュニティづくりをサポートするさまざまなツールを提供しています。

(1)「組合図書室」で情報を共有

   「マンションみらいネット」は、マンション管理に必要なさまざま情報を登録・蓄積していくシステム

   であり、登録データはインターネットを通して組合員がいつでもどこでも確認できる仕組みになってい

   ます。

   登録組合専用の「組合図書室」では、電子化された議案書、議事録、報告書、広報といった文書類、

   竣工図書等の図面類を常に確認できます。

(組合図書室)

  電子化した図書を組合員がいつでもインターネットを通して閲覧できるコーナーです。

  理事会議事録を電子化しておけば、組合員が常に最新の組合運営情報を入手することができます。

  また、災害対応マニュアルやハザードマップ、備蓄品リスト、各戸の緊急連絡先等、防災・防犯に役立つ

  さまざまな資料を電子化して緊急時に役立てることができます。

(2)「電子掲示板」「理事会用掲示板」の活用

(電子掲示板)

  コミュニティ活動や行事の案内、防犯の呼びかけやさまざまなお知らせ等、理事会から組合員へ情報提供

  ができるインターネット掲示板です。

  公的機関から発表される防災・防犯情報等のリンクも貼ることができます。

(理事会用掲示板)

  役員間で相互にコメントの書込・修正・削除ができる双方向掲示板です。

  24時間どこからでも参加できるので、忙しくてなかなか理事会運営に参加できない理事等の意見も反映

  できます。

  また、情報の行き違いによるトラブルも未然に防ぐことができます。

| 2018年7月15日 | カテゴリー 管理組合運営 

「マンションみらいネット」が目指すもの

東日本大震災の教訓から

 「マンションみらいネット」の運用開始時には、マンションの図書の電子化という発想はあまり浸透していませんですたが、年を重ねるごとにその重要性に注目が集まってきました。

 特に東日本大震災の際には、「津波で総会議事録など管理組合の文書が流されてしまい、過去の経緯が分からず大変だった」「震災による混乱で図面が行方不明となり、後で見つかったが、復旧工事の発注が大幅に遅れ、長期間にわたり不自由な生活を強いられた」といったケースもあり、マンションの図書類の電子化保管に関して、全国の管理組合から問合せが急増しました。

 当センターでは、既に「マンションみらいネット」に図書の電子化に特化したコース(図書電子蓄積型)を用意しておりましたが、早急に図書の電子化を進めたいという管理組合ニーズを受け、さらに図書電子蓄積型の簡易登録バージョンであるスピード登録制度を設けました。

《「マンションみらいネット」図書電子蓄積型の特徴》

1 あらゆる図書を電子化、保管容量は無制限

   文書も図面も管理組合運営に関わるすべての書類を電子データ(PDF形式)に変換して蓄積。

   データ保存容量に制限がない。

2 自由度の高い図書データの活用を提供

   インターネットの利用環境があれば、保管データをいつでもどこでも閲覧・印刷可。

   保管データはクラウドサーバーで共有しており、複数人が同時に使用可能。

3 将来に備えた安全性の高い運用

  保管データは堅牢なデータセンターで万全に保管。

  災害等に備えてバックアップデータを保管。

| 2018年7月13日 | カテゴリー 管理組合運営 

「マンションみらいネット」が目指すもの

「マンションみらいネット」の仕組み

 「マンションみらいネット」とは

①マンションの適切な維持管理の促進

②中古マンション流通の活性化を目的として構築されたマンションの履歴情報システムで

公益財団法人マンション管理センター(「当センター」)が提供するものです。

 建物概要情報、管理組合の運営情報、修繕履歴情報等を管理組合が当センターに電子データとして登録し、インターネットを通じてこれらの情報を組合員が共有化することを可能とし、さらに、情報の一部をインターネットで公開することで、流通市場におけるマンションの適正評価の獲得を支援することを目的としています。

 また、管理情報、修繕履歴情報と共に、管理組合が保有する議事録や報告書等の文書類、設計図書や施工図書等の図面類を電子化した上で保管する機能を備えており、緊急時や大規模修繕時の効率的な工事の実施に役立てていただける仕組みとなっています。

 現在、管理情報の蓄積に特化したAコース(全項目登録型)と図書の電子化及び蓄積に重点をおいたBコース(図書電子蓄積型)を提供し、管理組合の利用目的に応じて選択できるようになっています。

| 2018年7月11日 | カテゴリー 管理組合運営 

「マンションみらいネット」が目指すもの

はじめに

 平成29年12月、国は「安心R住宅」制度(特定既存住宅情報提供事業者団体登録制度)をスタートさせました。

 本制度は、既存住宅の流通促進に向けて、「不安」「汚い」「わからない」といった従来のいわゆる「中古住宅」のマイナスイメージを払拭し、「住みたい」「買いたい」既存住宅を選択できる環境の整備を図る目的として誕生しました。

 具体的には、耐震性があり、インスペクション(建物状況調査等)が行われた住宅であって、リフォーム等について情報提供が行われる既存住宅に対し、国の関与の下で事業者団体が標章(「安心R住宅」)を付与するという仕組みになっています。

 共同住宅については、「管理規約及び長期修繕計画を有すると共に、住宅購入者の求めに応じて情報の内容を開示すること」、「修繕積立金の積立状況に関する書類、共用部分における大規模修繕の実施状況の記録を住宅購入者の求めに応じて情報の内容を開示すること」が「安心R住宅」の要件となっています。

 「マンションみらいネット」は、こうした流れに先駆け、マンションが適正に管理・評価されるためのシステムとして構築され、今年で運用13年目を迎えます。

岡管連から

岡管連では、「マンションみらいネット」についての相談に応じています。

岡管連までお問合せください。

| 2018年7月09日 | カテゴリー 管理組合運営 

マンションすまい・る債

「マンションすまい・る債」は、修繕積立金の計画的な積立てや適切な管理をサポートするための債券です。

募集口数は、150,000口(募集口数を超える応募数の場合は抽選)です。

応募受付期間:平成30年4月25日(水)~9月19日(水)

マンションすまい・る債の特徴

・10年満期時の年平均利率は、0.143%

・住宅金融支援機構が国の認可を受けて発行する債券です。

・債権は、機構が無料で保管します。

・初回の債券発行日から1年以上経過すれば換金が可能です。

・年1回(2月予定)、定期的に利息をお支払いします。

・お預かりした積立金については、独立行政法人住宅金融支援機構法により、機構の財産から優先的に弁済を

 受ける権利があります。

・マンション共用部分リフォーム融資の金利の0.2%引下げや情報誌のお届け、マンション管理・再生に

 関するセミナーへのご招待等の特典があります。

*インターネットでの資料請求や「マンションすまい・る債」の詳細は、以下のサイトをご覧ください。

 https://www.jhf.go.jp/loan/kanri/smile/index.html

*お問合せ先・資料請求先(住宅債権専用ダイヤル)

 0120-0860-23(営業時間9時~17時/土日・祝日・年末年始は休業)

| 2018年7月03日 | カテゴリー 管理組合運営 

平成29年(受)第84号

総会決議無効確認等請求本訴、組合理事地位確認請求反訴事件

主な判決理由

ア 区分所有法によれば、区分所有者は、・・・略・・・、規約に別段の定めがない限り、集会の決議に

 よって、管理者を選任し、又は解任することができるとされている(法25条1項)。そうすると、

 区分所有法は、集会の決議以外の方法による管理者の解任を認めるか否か及びその方法について区分

 所有者の意思に基づく自治的規範である規約に委ねているものと解される。

イ そして、本件規約は、・・・略・・・、役員である理事に理事長等を含むものとした上(40条1項)、

 ・・・略・・・、理事は、組合員のうちから総会で選任し(40条2項)、その互選により理事長を選任

 する(同条3項)としている。これは、理事長を理事が就く役職の1つと位置付けた上、総会で選任された

 理事に対し、原則として、その互選により理事長の職に就く者を定めることを委ねるものと解される。

 そうすると、このような定めは、理事の互選により選任された理事長について理事の過半数の一致により

 理事長の職を解き、別の理事を理事長に定めることも総会で選任された理事に委ねる趣旨と解するのが、

 本件規約を定めた区分所有者の合理的意思に合致するというべきである。本件規約において役員の解任が

 総会の決議事項とされていることは、上記のように解する妨げにはならない。

ウ したがって、上記イのような定めがある規約を有する上告人においては、理事の互選により選任された

 理事長につき、本件規約40条3項に基づいて、理事の過半数の一致により理事長の職を解くことができる

 と解するのが相当である。

*上告人:マンション管理組合

| 2018年1月09日 | カテゴリー 管理組合運営