管理組合運営

孤独な理事長連携

 「植栽業者の選定で迷っています」。「RJC48」のインターネットの会員制掲示板に相談の投稿が寄せられた。すぐに助言が返ってきた。「A社は積極性がない。B社は対応が細かい」「管理会社が紹介する業者以外とも比較を」。投稿者からお礼の返事が書き込まれた。

 RJC48は首都圏のマンション管理組合の理事長を中心にした約260人の集団。「RiJiCho」(理事長)のアルファベットの頭文字を取って団体の名称にした。平均年齢は40歳で現役世代が大半を占める。タワーマンションの住民も多く、北海道や大阪から参加する人もいる。

 結成のきっかけは6年前。東京都足立区の500戸超のマンションで管理組合の理事長を務めていた応田治彦さん(53)は、総会の議案書作りに追われていた。新築マンションの理事長になって3年目。業務を一人で抱えていた。簡易投稿サイト「ツイッター」で「仲間がいなくてつらい」とつぶやくと、面識のない他のマンションの理事長から「私も・・・」と次々に反応があった。

 RJCを結成して間もない頃、応田さんは自らのマンションの修繕積立金を大幅に値上げした。「築年数の浅いうちから将来に備える方が住民のためになる」と考えたからだ。同じような懸念を抱く若い理事長らが今、RJCに集まり、応田さんらの経験談を生かしている。

 管理不全の問題は古いマンションに限った話ではない。応田さんは「荒廃してからでは遅い。管理組合を担う人が代わっても、管理が行き届くような仕組みをあらかじめ作っておく発想が必要だ」と話す。

マンション同士の交流で学べることは

♦悩みや危機感を共有できる

♦業者の善しあしを判断する材料や管理上の工夫を情報交換できる

♦顔の見えるやり取りも加わると、結束が強まる

岡管連から

 岡管連では定期的に、交流・情報交換できるセミナー・相談会を開催しています。

| 2017年5月15日 | カテゴリー 管理組合運営 

「雇われ理事長」活用

 「各戸の玄関扉が古いので交換してみてはどうです。国の補助金が出ますよ」。福岡市中央区の広陵に建つ小規模マンション。2月にあった管理組合の理事会で、安部靖弘理事長(70)が提案した。だが阿部さんは住人ではない。住民の要望で派遣された「雇われ理事長」だ。

 住民間のルールを決め、積立金を集めて共同生活を維持する管理組合。しかし、高齢化で役員のなり手不足が著しい。マンションの老朽化で修繕の必要性が増す中、手法巡って住民が対立し、組合が機能不全に陥る事例が目立ち始めた。専門家は「住民と建物の『二つの老い』が管理不全マンションの急増を招く」と警告する。

 阿部さんが所属するNPO法人「福岡マンション管理組合連合会(福管連)」はこうした(外部専門家の活用)国の取り組みを先取りし、独自に専門家を派遣してきた。34のマンション管理組合に役員を出している。

 福管連が派遣する理事長は金銭や通帳・印鑑を管理しない。総会の白紙委任状は住民の副理事長が行使する。福管連の月例報告会で管理内容のチェックも受ける。福管連の畑島義昭理事長は「提案するが、リーダーシップは取らない」と強調する。

 福管連の役員派遣を終えたのは4割弱。自ら管理することから遠ざかったままのマンションも多いようだ。そんな中、福岡市南区にある地区40年超の大規模マンション(約100戸)は、2年で派遣を終えた。「雇われ理事長」のそばで管理のノウハウを学んだ元副理事長の女性は、こうアドバイスする。「派遣期間は区切った方がいい。マンションという財産は自分たちで守るという意識を忘れないことが大切。何かあれば、また相談すればいい」。

外部の専門家を管理組合の運営に生かすには

♦住民自ら管理するのが本来の形だという意識を忘れない

♦派遣期間中に運営方法を学び、なり手の養成も進める

♦派遣期間中にはめどを設け、以後はその都度相談する

| 2017年5月13日 | カテゴリー 管理組合運営 

つけこむコンサル 修繕費+リベート=積立金

 信頼は失望に変わった。約2年前、初の大規模修繕を控えた埼玉県の高層マンション。「コンサルタントが管理組合に示した工事の概算額は、住民がためた修繕積立金とほぼ同じ4億円だった。「積立金を使い切ろうとしているのでは」。修繕委員長の40歳代の男性は不信感を覚えた。

 談合ではないのか。管理組合で話し合い、「別の業者からも見積もりを取る」とコンサルに告げた。応募条件ではじかれた旧知の地元業者と比べるためだ。すると、コンサルから内容証明郵便が届いた。「当社の関与なく施工業者を選定するなら、今後の業務は辞退させていただく」。

 別のコンサルが教えてくれた。「逃げたのはリベートをとれなくなるから。倍近い規模のマンションでも3億円余りでできた」。修繕委員たちは顔を見合わせた。「いくらリベートを取るつもりだったんだ」。コンサルを代え、来年に実施予定の大規模修繕は約2億円で済みそうだという

 悪質なコンサルを避ける方策はあるのか。NPO法人「近畿マンション管理者協会」(大阪市)の増永久仁部会長は「コンサル料金だけでなく、全体の概算工事費も聞くこと」と助言する。リベートを取らないと宣言する東京のコンサル会社「シーアイビー」の須藤桂一社長は「コンサルには設計や監理だけを任せ、業者は管理組合が選べばリベートの意味が薄れる」と話す。

 管理会社の売り込みを断った大阪府の中規模マンションでは今春、修繕工事が始まった。業者はリベート要求を断った。理事長の女性は自戒を込めて言う。「管理会社任せにした私たちも悪かった。悪質業者を見抜く目を持たなければ」。

 建物の老朽化と住民の高齢化などが原因で、各地で噴出するマンション問題。

 *岡管連では、建物の老朽化と住民の高齢化が同時に現れる現象を、『マンションの二つの老い』と呼ぶ。

悪質なコンサルタントを避けるには

♦概算の工事費も含めて他社と比べる

♦設計や監理だけを依頼し、業者選びは住民指導で

♦管理会社や設計事務所が協力していないセミナーにも参加する

| 2017年5月11日 | カテゴリー 管理組合運営 

5 名簿管理細則の整備の必要性

  標準管理規約では第64条(帳票類の作成、保管)で、「理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名

 簿及びその他の帳票類を作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求があったと

 きは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定す

 ることができる」という規定を置いています。

  組合員名簿の具体的な管理方法や閲覧に関することを規約で定めることは要しませんが、管理細則を定め

 て組合員の安心感を得ることが重要ですし、適切な管理方法を採りましょう。

6 管理会社への名簿提供と責任

  管理会社に組合員名簿を渡したり閲覧させる場合には注意を要します。個人情報保護法では利用目的をで

 きる限り特定して個人情報の提供を行う必要がありますし、第三者への提供は制約されます。したがって、

 組合員に、管理会社に名簿を提供することを知らせておくことが求められます。また、個人データの安全管

 理が図られるよう、管理会社の個人情報保護体制を確認するなど必要かつ適切な監督を行わなければなりま

 せん。

7 被災後の区分所有者等の連絡先の管理

  個人情報保護法は、人の生命、身体または財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得

 ることが困難であるときは、個人情報の第三者提供を許しています。被災時には第三者提供の許される場合

 があると考えます。

  被災によって区分所有者が死亡したときや仮設住宅等に避難しているときに、そのことを組合役員が知っ

 ているにもかかわらず、集会招集通知を規約に従って行えば有効なのかという疑問があります。少なくとも

 被災マンション法が適用された場合、過失があったときは到達の効力を生じないとしており、通知先の調査

 を求めています(同法第3条第3項、第8条第4項参照)。

                           (著)高岡総合法律事務所 弁護士 高岡 信男

| 2017年2月05日 | カテゴリー 管理組合運営 

3 平時の組合員名簿

  分譲マンションの場合、専有部分を購入された区分所有者が当然管理組合の組合員となります。

  分譲マンションの区分所有者の連絡先は、購入時(入居時)に届けられているはずです。マンション標準

 管理規約(「標準管理規約」)には、次のとおり定められています。

  ・第30条(管理組合員の資格)

  ・第31条(届出義務)

  ・第43条(総会の招集手続)

  これらの管理規約は、区分所有法第35条第3項、第4項に基づいています。

4 個人情報保護法と名簿の作成、保管

  管理組合は組合員である区分所有者から住戸の番号、氏名、電話番号等の連絡方法などを、理事長宛てに

 届けてもらっています。

  2015年の個人情報保護法改正により、改正前の第2条第3項第五号のいわゆる5,000件要件が削

 除されましたので、マンション管理組合も同法の規制に服します。したがって、管理組合も個人情報取扱業

 者として各種の義務を負います。

  名簿の個人データの漏洩、滅失または毀損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な

 措置を講じなければなりません。

  また、例外事由に該当しない限り、あらかじめ本人の同意がないときは個人データを第三者に提出しては

 なりません。

                           (著)高岡総合法律事務所 弁護士 高岡 信男

| 2017年2月03日 | カテゴリー 管理組合運営 

1 被災への備え

  いつどこで大規模地震が起きてもおかしくありません。何よりも重要なことは想定外のことが起こり得る

 こと、そのための平時の準備です。対策の一つが、区分所有者の被災後の連絡先等についての名簿作成で

 す。

2 安否確認や復旧工事のための集会開催

  被災によって重大な事態が起こることを想定した場合、区分所有者等の安否の確認や避難者がいる中での

 建物の安全対策のために、平時の連絡方法・連絡先とは別に被災後の連絡方法・連絡先も届けていただく必

 要があります。それは、損傷したマンションの復旧工事のための集会開催のためにも役立ちます。

  区分所有法では建物が一部滅失した場合にその程度に応じて復旧工事について総会の決議を要求していま

 すし、建替えのためにも総会開催が必要です。さらに、被災マンション法が適用された場合には、敷地売却

 や建物敷地売却、建物取壊しなどの決議も可能となります。可決要件を満たすために賛成者を確保しなけれ

 ばなりません。そのために、連絡先・連絡方法の名簿の準備は欠かせません。

                           (著)高岡総合法律事務所 弁護士 高岡 信男

| 2017年2月01日 | カテゴリー 管理組合運営 

理事の責任

参考判例:東京地判平成27年3月30日

1 事案の概要

  マンション管理組合の会計担当理事Dが長年にわたって管理費等を着服横領していたため、管理組合は(Dに対する請求認容判決を得た後)、当時の理事長A、会計監査役員B、副理事長Cに対して善管注意義務違反を理由に損害賠償請求しました。

2 判決内容

 ① 理事長Aは、収支決算報告をすべき最終的な責任者であり、Dが作成した収支決算報告書を確認・点検

  して適正に行われていることを確認すべき義務があったにもかかわらず、定期総会の直前にDから簡単な

  説明を受けるのみで、本件預金口座の通帳の残高を確認することさえしなかったのであるから善管注意義

  務違反が認められる。

 ② 会計監査役員Bは、Dが作成した前年度の収支決算報告書を確認・点検し、会計業務が適正に行われて

  いることを確認すべき義務があったにもかかわらず、偽造された残高証明書を安易に信用し、確認が容易

  である預金通帳によって残高を確信しなかったのであるから善管注意義務違反が認められる。

 ③ 副理事長Cは、Dの横領行為につき予見して何らかの措置を講ずべきであったとはいえないとし、善管

  注意義務違反を否定した。

3 管理組合の対応

  善管注意義務とは、「委任を受けた人の職業、地位、能力等において一般的に要求される平均人としての

 注意」を言うと説明されていますが、これだけではどのような場合に責任を問われるのか大変曖昧です。

  管理組合の理事(役員)は。区分所有者が輪番制により就任している場合も多いと思います。そして、ほ

 とんどの者が他に職業を持っており、管理に関する専門知識もなく、強力な権限が与えられているわけでも

 ありません。役員報酬が支払われている場合もありますが、その額は費やしている時間や労力に対する評価

 からは程遠いのが通常です。これらの事実から、ここでいう善管注意義務は、専門家としてではなく通常人

 としての普通の注意義務を指すといえます。

  上記判例は、簡単な確認行為さえ取っていれば容易に不正を把握できたのに漫然と放置していたという事

 案であり、通常人としての普通の注意を欠いていたといわざるを得ません。とはいえ、ボランティア的役員

 活動であることから過失相殺の法理を類推して大きく減額し、あまりに不当な賠償義務が生じないように配

 慮されています。

  管理組合としては、管理会社または一部の役員に管理業務を丸投げしないように、区分所有者の共同管理

 意識を向上させて積極的に参加協力させる工夫が必要です。

                                  (注)下線は、こちら側で記載。

(岡管連から)

 この事案は、会計担当理事を含む一部の役員が長年就任していて、かつ当該会計担当理事に任せっきりにしていたことが大きな要因です。

 組合員を含め無関心でいると、管理組合にとって、後で取り返しのつかないことが大きく降りかかってきた事案です。

| 2016年8月03日 | カテゴリー 管理組合運営 

利益相反取引の防止

1 問題点

  特別の利害関係を有する理事は、理事会の決議に加わることができるでしょうか。

2 参考判例(東京地判平成22年3月4日:ウェストロー・ジャパン)

 ① 事案の概要

   理事Yが利害関係者であるにもかかわらず理事会決議に参加したことから、区分所有法51条違反

  によって決議無効になるかが争われました。

 ② 判決内容

   区分所有法51条は、理事会における理事の議決権行使を制限する規定ではなく、他に利害関係を

  有する理事が議決に加わった理事会決議の効力を否定する法律上の根拠は存在しないとして、本理事会

  決議を有効としました。

3 管理組合の対応

  役員は、マンションの資産価値の保全に努めなければならず、管理組合の利益を犠牲にして自己または

 第三者の利益を図ることがあってはなりません。

  とりわけ、外部の専門家の役員就任を可能とする選択肢を設けたこと(改正標準規約35条)に伴い、

 このような恐れのある取引に対する規制の必要性が高くなっています。

  そこで、改正標準規約37条の2は、役員が利益相反取引(直接取引または間接取引)を行おうとする

 場合には、理事会で当該取引につき重要な事実を開示し、承認を受けなければならないと定めました

 (同37条の2関係コメント)。

  同様の趣旨から、理事会の決議に特別の利害関係を有する理事は、その議決に加わることができない旨を

 規定すると共に(改正標準規約53条3項)、管理組合と理事長の利益が相反する事項については、監事

 または理事長以外の理事が管理組合を代表する旨を規定しました(改正標準規約38条6項)。

  これまでは、上記参考判例のように、利害関係を有する理事が理事会決議に参加することについては必ず

 しも否定されませんでしたが、改正標準規約と同様の規定を置く管理組合においては、否定されることにな

 りますのでご注意ください。

                          (著)湯川・佐原法律事務所 弁護士 佐原 專二

| 2016年8月01日 | カテゴリー 管理組合運営 

【残された課題と今後の取り組み】

 理事に選任されても理事会に出席しないとか出席が少ない理事に参画意識をどう高めてもらうか、また、

理事会運営の活性化や監事による監査をどのように機能させるか等の課題が残っています。

 一方、こうした状況から少数の理事に仕事が偏り、やればやるほど仕事は集中する傾向にあります。

 今後は、こうした問題への対応のほか、法改正、居住者ニーズの変化に対応した対策も広く考えていき

たいと思っています。

【終わりに】

 マンション買うなら管理を変えと言われるように、管理組合にとってはその管理運営の適正化が極めて

重要なテーマになると思います。

 今後も、組合員みんなの資産であると同時に自分の資産でもあるマンションの管理運営に、微力ながら

尽力していきたいと考えています。

(岡管連から)

 『マンションは管理で買え!』とよく耳にしますが、当初から『管理ができているマンション』は

存在しません。

 『マンションの管理』は、自分たちで作るものであり、他人が作るものでもありません。

 『コミュニティーの形成』ができていないマンションは管理に無関心になり、将来への備えが希薄化し、

マンションの『二つの老い』という問題に対応できなくなる恐れがあります。

| 2015年9月07日 | カテゴリー 管理組合運営 

【改善策の事例】

① 管理運営ルールの設定

  2005年4月までは、理事長の公印捺印記録がなく決裁ルール等も明確でない、また、契約書等の重要

 書類もキチンと保管されていない非常にズサンな管理状態でした。

  これに対し、2005年6月に捺印件名簿を設定し、重要書類をファイルにして保管するとともに、理事

 長公印取扱細則、公式書類処理手続一覧表、会計書類細則等の設定を行い、組合員の誰もが分かる管理状態

 に改善しました。

② 役員の業務解説書等の作成

  一部の立候補者を除きほとんどの役員がくじ引きによる選任です。

  そこで、誰でも理事や監事の仕事が理解できるように、2013年から理事業務の解説書や監査手順書を

 作成し、役員改選時に引継ぎを兼ねて勉強会を実施するようにしました。

③ 定時総会開催の迅速化

  毎年3月末の決算から総会開催まで約3か月かかっていました。施行規則の改正に伴って2011年に

 業務委託契約を変更し、管理会社から月次ベースの決算報告書を理事会に提出するようにして決算処理の

 迅速化を図り、5月中旬に開催するようにしました。

④ 将来発生する可能性のあるトラブルの未然防止

  新聞で報道されたようにシェアハウス化によるトラブルを防止するために、2013年に管理規約、

 使用細則を改正しシェアハウスへの改装を禁止するように対応しました。

(岡管連から)

 岡管連では、新旧理事会において、新役員のため、また理事会業務の引継ぎを円滑に進めるため、

理事会業務引継書』及び『理事会業務マニュアル』を作成しています。

| 2015年9月05日 | カテゴリー 管理組合運営 

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