管理組合運営

1 被災への備え

  いつどこで大規模地震が起きてもおかしくありません。何よりも重要なことは想定外のことが起こり得る

 こと、そのための平時の準備です。対策の一つが、区分所有者の被災後の連絡先等についての名簿作成で

 す。

2 安否確認や復旧工事のための集会開催

  被災によって重大な事態が起こることを想定した場合、区分所有者等の安否の確認や避難者がいる中での

 建物の安全対策のために、平時の連絡方法・連絡先とは別に被災後の連絡方法・連絡先も届けていただく必

 要があります。それは、損傷したマンションの復旧工事のための集会開催のためにも役立ちます。

  区分所有法では建物が一部滅失した場合にその程度に応じて復旧工事について総会の決議を要求していま

 すし、建替えのためにも総会開催が必要です。さらに、被災マンション法が適用された場合には、敷地売却

 や建物敷地売却、建物取壊しなどの決議も可能となります。可決要件を満たすために賛成者を確保しなけれ

 ばなりません。そのために、連絡先・連絡方法の名簿の準備は欠かせません。

                           (著)高岡総合法律事務所 弁護士 高岡 信男

| 2017年2月01日 | カテゴリー 管理組合運営 

理事の責任

参考判例:東京地判平成27年3月30日

1 事案の概要

  マンション管理組合の会計担当理事Dが長年にわたって管理費等を着服横領していたため、管理組合は(Dに対する請求認容判決を得た後)、当時の理事長A、会計監査役員B、副理事長Cに対して善管注意義務違反を理由に損害賠償請求しました。

2 判決内容

 ① 理事長Aは、収支決算報告をすべき最終的な責任者であり、Dが作成した収支決算報告書を確認・点検

  して適正に行われていることを確認すべき義務があったにもかかわらず、定期総会の直前にDから簡単な

  説明を受けるのみで、本件預金口座の通帳の残高を確認することさえしなかったのであるから善管注意義

  務違反が認められる。

 ② 会計監査役員Bは、Dが作成した前年度の収支決算報告書を確認・点検し、会計業務が適正に行われて

  いることを確認すべき義務があったにもかかわらず、偽造された残高証明書を安易に信用し、確認が容易

  である預金通帳によって残高を確信しなかったのであるから善管注意義務違反が認められる。

 ③ 副理事長Cは、Dの横領行為につき予見して何らかの措置を講ずべきであったとはいえないとし、善管

  注意義務違反を否定した。

3 管理組合の対応

  善管注意義務とは、「委任を受けた人の職業、地位、能力等において一般的に要求される平均人としての

 注意」を言うと説明されていますが、これだけではどのような場合に責任を問われるのか大変曖昧です。

  管理組合の理事(役員)は。区分所有者が輪番制により就任している場合も多いと思います。そして、ほ

 とんどの者が他に職業を持っており、管理に関する専門知識もなく、強力な権限が与えられているわけでも

 ありません。役員報酬が支払われている場合もありますが、その額は費やしている時間や労力に対する評価

 からは程遠いのが通常です。これらの事実から、ここでいう善管注意義務は、専門家としてではなく通常人

 としての普通の注意義務を指すといえます。

  上記判例は、簡単な確認行為さえ取っていれば容易に不正を把握できたのに漫然と放置していたという事

 案であり、通常人としての普通の注意を欠いていたといわざるを得ません。とはいえ、ボランティア的役員

 活動であることから過失相殺の法理を類推して大きく減額し、あまりに不当な賠償義務が生じないように配

 慮されています。

  管理組合としては、管理会社または一部の役員に管理業務を丸投げしないように、区分所有者の共同管理

 意識を向上させて積極的に参加協力させる工夫が必要です。

                                  (注)下線は、こちら側で記載。

(岡管連から)

 この事案は、会計担当理事を含む一部の役員が長年就任していて、かつ当該会計担当理事に任せっきりにしていたことが大きな要因です。

 組合員を含め無関心でいると、管理組合にとって、後で取り返しのつかないことが大きく降りかかってきた事案です。

| 2016年8月03日 | カテゴリー 管理組合運営 

利益相反取引の防止

1 問題点

  特別の利害関係を有する理事は、理事会の決議に加わることができるでしょうか。

2 参考判例(東京地判平成22年3月4日:ウェストロー・ジャパン)

 ① 事案の概要

   理事Yが利害関係者であるにもかかわらず理事会決議に参加したことから、区分所有法51条違反

  によって決議無効になるかが争われました。

 ② 判決内容

   区分所有法51条は、理事会における理事の議決権行使を制限する規定ではなく、他に利害関係を

  有する理事が議決に加わった理事会決議の効力を否定する法律上の根拠は存在しないとして、本理事会

  決議を有効としました。

3 管理組合の対応

  役員は、マンションの資産価値の保全に努めなければならず、管理組合の利益を犠牲にして自己または

 第三者の利益を図ることがあってはなりません。

  とりわけ、外部の専門家の役員就任を可能とする選択肢を設けたこと(改正標準規約35条)に伴い、

 このような恐れのある取引に対する規制の必要性が高くなっています。

  そこで、改正標準規約37条の2は、役員が利益相反取引(直接取引または間接取引)を行おうとする

 場合には、理事会で当該取引につき重要な事実を開示し、承認を受けなければならないと定めました

 (同37条の2関係コメント)。

  同様の趣旨から、理事会の決議に特別の利害関係を有する理事は、その議決に加わることができない旨を

 規定すると共に(改正標準規約53条3項)、管理組合と理事長の利益が相反する事項については、監事

 または理事長以外の理事が管理組合を代表する旨を規定しました(改正標準規約38条6項)。

  これまでは、上記参考判例のように、利害関係を有する理事が理事会決議に参加することについては必ず

 しも否定されませんでしたが、改正標準規約と同様の規定を置く管理組合においては、否定されることにな

 りますのでご注意ください。

                          (著)湯川・佐原法律事務所 弁護士 佐原 專二

| 2016年8月01日 | カテゴリー 管理組合運営 

【残された課題と今後の取り組み】

 理事に選任されても理事会に出席しないとか出席が少ない理事に参画意識をどう高めてもらうか、また、

理事会運営の活性化や監事による監査をどのように機能させるか等の課題が残っています。

 一方、こうした状況から少数の理事に仕事が偏り、やればやるほど仕事は集中する傾向にあります。

 今後は、こうした問題への対応のほか、法改正、居住者ニーズの変化に対応した対策も広く考えていき

たいと思っています。

【終わりに】

 マンション買うなら管理を変えと言われるように、管理組合にとってはその管理運営の適正化が極めて

重要なテーマになると思います。

 今後も、組合員みんなの資産であると同時に自分の資産でもあるマンションの管理運営に、微力ながら

尽力していきたいと考えています。

(岡管連から)

 『マンションは管理で買え!』とよく耳にしますが、当初から『管理ができているマンション』は

存在しません。

 『マンションの管理』は、自分たちで作るものであり、他人が作るものでもありません。

 『コミュニティーの形成』ができていないマンションは管理に無関心になり、将来への備えが希薄化し、

マンションの『二つの老い』という問題に対応できなくなる恐れがあります。

| 2015年9月07日 | カテゴリー 管理組合運営 

【改善策の事例】

① 管理運営ルールの設定

  2005年4月までは、理事長の公印捺印記録がなく決裁ルール等も明確でない、また、契約書等の重要

 書類もキチンと保管されていない非常にズサンな管理状態でした。

  これに対し、2005年6月に捺印件名簿を設定し、重要書類をファイルにして保管するとともに、理事

 長公印取扱細則、公式書類処理手続一覧表、会計書類細則等の設定を行い、組合員の誰もが分かる管理状態

 に改善しました。

② 役員の業務解説書等の作成

  一部の立候補者を除きほとんどの役員がくじ引きによる選任です。

  そこで、誰でも理事や監事の仕事が理解できるように、2013年から理事業務の解説書や監査手順書を

 作成し、役員改選時に引継ぎを兼ねて勉強会を実施するようにしました。

③ 定時総会開催の迅速化

  毎年3月末の決算から総会開催まで約3か月かかっていました。施行規則の改正に伴って2011年に

 業務委託契約を変更し、管理会社から月次ベースの決算報告書を理事会に提出するようにして決算処理の

 迅速化を図り、5月中旬に開催するようにしました。

④ 将来発生する可能性のあるトラブルの未然防止

  新聞で報道されたようにシェアハウス化によるトラブルを防止するために、2013年に管理規約、

 使用細則を改正しシェアハウスへの改装を禁止するように対応しました。

(岡管連から)

 岡管連では、新旧理事会において、新役員のため、また理事会業務の引継ぎを円滑に進めるため、

理事会業務引継書』及び『理事会業務マニュアル』を作成しています。

| 2015年9月05日 | カテゴリー 管理組合運営 

【はじめに】

 Eマンション吹田駅前は、JR東海道線吹田駅前にあり、築15年、SRC造14階建て、55戸のマンションで、管理業者への全面委託で管理運営を行っています。

 今回は、管理組合の管理運営の改善への取り組みの様子を簡単にご紹介します。

【問題点の改善への取り組み】

 2005年当時は、理事会の開催の準備を含め管理運営業務は管理会社任せで、例えば、理事会の議題は管理会社が提示し、理事はそれに対し可否を判断するだけでした。

 管理組合として現在および将来に向かっての課題を抽出して、解決策を検討し解決を図るという理事会本来の活動がなされず、ただ2年間の任期を過ごすような状況でした。

 この体質を何とか改善したいと考えていた矢先、吹田市マンション管理組合ネットワークに参加することになりました。

 同会で他の管理組合の方から様々な先例を聞くうちに、やはり理事会運営をしっかり行われないといけないということを強く意識するようになりました。

 そこで、理事会において他の管理組合の具体的事例を紹介しながら改善を何度も呼びかけ、他の理事の同意を得て改善を進めるようにしました。

(岡管連から)

 NPO法人 岡山県マンション管理組合連合会(岡管連)では、春と秋の『マンション生活支援セミナーin岡山』において、講演後、「参加者とのフリートーキング」や、ひざを交えた「親睦会・交流会」を実施しています。ぜひこの機会をご利用いただければと思います。

 また、我々の岡管連に団体(管理組合)加入していただくと、優先的に管理組合への支援(『マンションアドバイザー派遣支援』など)やマンション管理に関する様々な情報提供(メルマガ『理事長通信など)を受けることができますので、ぜひ岡管連に団体加入していただければと思います。

| 2015年9月03日 | カテゴリー 管理組合運営 

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