漂流し始めるマンション
住友不動産建物サービス(住不建物)は今、同社が進める「マンション選別」の動きに、住民に大きな波紋を広げている。
築十数年のマンションは本来、18年3月に更新契約を交わすはずだったが、正式な契約を延期。暫定的に9月末まで管理を継続する契約を結び、一方で管理費の値下げを求めていた。数回の話し合いの末、月額32万円の引き下げでほぼ合意に達しかけていた。
その後、理事会当日、住不建物担当者は理事に切り出した。「長いお付き合いでしたが、当社は手を引きたいと考えています」。あまりに一方的で唐突。しかも当該担当者の説明が要領を得ないため、理事会メンバーは困惑するばかりだった。
聞けば、当該担当者にとっても解約は寝耳に水で、8月に入って上司から突然、支持されたのだという。そのときに上司から聞かされたのは、このエリヤから撤退し、都心部に人員を集中させるという会社の新たな方針だった。
結局、住不建物の撤退意向を翻意させられず、マンションの管理組合は押し切られる格好で解約をのんだ。事の経緯を説明するために住民説明会を開催する一方、新たな管理会社を公募。何とか期限内に別の引受先を見つけることができたが、理事たちはその作業や手続きに忙殺された。