管理組合の悩み

【“地域力”を頼り つながる努力を】

 ある管理会社の担当者は、「私たちは介護スタッフではないので、認知症かどうかの判断はできません。本業はマンション内の管理であって、あくまでも行政などとの『橋渡し役』に徹するように心がけています。個人のプライバシーには立ち入らぬようにも配慮しています」と。

 管理人は、必ず本社にいる社員と連携しながら動く。ただ、こうした認知症を理解した管理人が配置されているマンションはまだごく少数だ。管理会社や地域とどう関わりを持ちながら、認知症の高齢者の生活を支えていくのか、居住者自身が考える時期に来ている。

 住民同士の関係が希薄なために管理組合との間でのトラブルも頻発している。マンションの問題に詳しい弁護士が言う。「子育てが終わるとともに、一戸建てから駅近マンションに引っ越す人もいますが、10年経てば『老老介護』が始まるでしょう。住民同士で問題を解決できるように、『認知症』について理解を深める機会を、管理組合の中に設ける必要があります」

 とくに、判断能力が不十分な認知症の人を法律や生活面で支援する『成年後見制度』について知っておくことが大事という。

 頼れるのはやはり“地域力”なのか。『独りは気楽でいい』と思えるのは若いうちだけ。日頃から自治会に積極的にかかわるなど、『地域とつながる努力』が必要な時期がきている。

(岡管連から)

 『マンションの住民同士とのつながり』と言えば、それは、『コミュニティの形成』でしょう。無関心でいればいるほど、高齢者への支援として生活面や健康面、また医療面や福祉面などができにくくなっています。

 ある意味マンションは、社会とは閉ざされていて、外から中のことが分かりにくいのが一般的です。マンションでは時間が経過することによって、次の現象が現れてきます。それを岡管連では、『マンションの5大化現象』と呼んでいて、『二つの老い』の要因ともなっています。

【マンションの5大化現象】

       ・居住者の高齢化

       ・建物の劣化

       ・設備の老朽化

       ・マンションの賃貸化

       ・居住者の希薄化

 以上で、週刊朝日11・14の『管理組合を悩ますマンション認知症トラブル』の4回シリーズを終わります。

| 2014年12月07日 | カテゴリー 管理組合の悩み 

【玄関で立ち往生 管理人が誘導】

 マンション暮らしは「近所付き合いの煩わしさがないから良い」と言う人もいるが、自治会長Cさんは「ある一定の年齢に達したら、ご近所に頼ることも必要です」と言う。

 「私も独居なので、自宅で倒れたときでも早期に発見してもらえるように、近所の仲間に自宅の鍵を預けているんです。管理組合や管理人は基本的に住まいの鍵は預からないので、信頼できる仲間に預けるなど日頃から緊急事態に備えておくほうが安心です」

 国も手をこまねいているわけではない。

 厚生労働省は07年度に「高齢者住宅支援員研修等事業」を創設、高齢者が多く住む公営住宅や民間マンションなどで、高齢者への見守りや福祉関係機関との橋渡しをする「高齢者住宅支援員」の育成に乗り出している。

 分譲マンションの管理会社も、積極的に動き出している。

 「きっかけはマンション管理業協会の講習を受け、認知症は誰にでも起こり得る病気だと理解したことでした。管理人が認知症の人に対し、無意識のうちに間違った対応をしていないかと感じたんです」と。

 日常の行動から「認知症かもしれない」と気づくための行動をまとめたのが以下の表だ。「近隣に住む高齢者がおかしい」と気づくシグナルにもなる。

【認知症の人が住むマンションのトラブル例】

 ♦ゴミの分別ができない

 ♦自分の部屋がわからない

 ♦突然大声を出して叫ぶ

 ♦管理人に電話をして買い物を頼む

 ♦漏水・火災の要因の発生

 ♦遠方にいる身内の連絡先がわからない

| 2014年12月05日 | カテゴリー 管理組合の悩み 

【世帯主の半数は60歳以上に】

 分譲マンションの老朽化とともに、居住者の高齢化も進行している。(岡管連では、『二つの老い』と呼んでいます。)

 国土交通省が5年ごとに実施している「マンション総合調査」によると、世帯主の高齢化率は年々上がっていて、2013年度は60歳代以上の割合が全体の半数を超えた。前回に比べて1割ほど上昇、14年前に比べて約2倍になっている。

 こうした結果を踏まえ、建て替えや大規模修繕などのハード面だけでなく、高齢で独居の“おひとりさま”たちをどう支えていくのかが喫緊の課題になっている。隣人との接点や近所付き合いが少なく、孤独死につながる不安がつきまとうからだ

 管理組合は、老朽化による建て替えや大規模修繕など、土地と建物を維持管理するのが目的だ。だから、住民同士の見守りや親睦を図る自治会とは違う

 また、入り口であるエントランスのドアがオートロック式ならば、民生委員なども簡単には敷地内へ入れない。前出のBさんのように、異変が放置され、医療や支援に結びつかないまま、病状を悪化させる高齢者は増えているのだ。

 だが、住民同士で高齢者の生活支援に力を入れているマンションもある。

 このマンションは05年、管理組合とは別に『自治会』を発足させた。その傘下にある「長寿会」が、介護・認知症予防体操などのサークル活動やイベントを定期的に催している。趣味を楽しむだけでなく、高齢者のひきこもりや孤独死を防ぐための見守りや安否確認を兼ねている。

 居住者は管理組合と自治会の両方に加入し、両組織をつなぐ“パイプ役”として兼任理事が設けられている。

 「日頃の交流が、お互いの安否確認につながっているのです」と話す。

 また自治会発足と同時に災害や事故・急病に備えて『居住者台帳』を独自に整備。それぞれの緊急連絡先のほか、血液型やかかりつけ医、既往症、常用薬、自力避難に支障があるのかまで詳しく記されている。

 最初は『行政にも伝えない個人情報を、なぜ自治会に伝えなければならないのか?』と抵抗する人もいましたが、『命より大事な個人情報はない!」と説得したんですと。

| 2014年12月03日 | カテゴリー 管理組合の悩み 

 岡管連が大きなテーマとして取り組んでいます『二つの老い』に関連して、週刊朝日(11・14)がマンション居住者の高齢化問題を取り上げています。そこで、その主な概要を4回にわたりお伝えいたします。

【分譲マンションに増える居住患者】

 分譲マンションで今、建物の修繕だけでなく、居住者の高齢化や認知症が問題化している。国は管理会社を対象に講習会を催し、大規模マンションは管理組合とは別に自治会を結成。見守り活動も含む最前線の現場を歩いた。

 そのマンションは首都圏の幹線道路から一歩入った住宅街にある。落ち着いた外見とは裏腹に、内部では住民同士のトラブルが起こっている。

 あるとき「管理人が勝手に家の中に入ってモノを盗む」と言いだし、住民たちの郵便受けに直筆の抗議文を張り出し、管理組合理事Aさん(47歳)にも訴えた。だがそのモノとは、洗面台に置いてある猫の置物。管理人は当然ながら「身に覚えはない」。2年ほど前に入居したおひとりさまBさん(70代半ば)は認知症特有の症状「物盗られ妄想」が出ていたのだ。

 さらに、「万が一、身寄りのないBさんが孤独死したら、マンションの資産価値が減ってしまう」といった懸念も聞こえてくるようになった。

 緊急の理事会が招集されて、地元の地域包括支援センターへも情報が伝わった。Bさんの部屋に入ると引っ越してきたままの状態で、段ボール箱は山積みで荷物は散らかり放題だった。

| 2014年12月01日 | カテゴリー 管理組合の悩み 

【撤去が進まず1400万戸】

―野村総研 23年試算―

 定住者がいない住宅が全国で2023年に約1400万戸に達し、5軒に1軒が空き家となるとの試算を、野村総合研究者が3日までにまとめた。今後、人口減少が本格化して世帯数が減っていく一方、空き家の撤去がスムーズに進んでいないため。空き家が増えると、景観や生活環境の悪化、倒壊などの事故増加を招く恐れもある。

 国や自治体は対策に取り組んでいるが、野村総研は『空き家の撤去促進や、中古住宅市場の活性化といった対策強化が必要」と指摘している。

 総務省によると、13年の空き家数は820万戸で、総住宅数に対する『空き家率』は過去最高の13.5%に達した。

 野村総研は、有効な対策を打たなければ、新築戸数が撤去を上回る状態が続き、23年の総住宅数は13年より約600万戸増えるとみている。

 野村総研は国立社会保障・人口問題研究所の推計も踏まえ、空き家率は18年に16.9%、23年には21.0%まで上昇すると試算した。

(岡管連から)

 空き家(空き室)問題は、分譲マンションにもあてはまるだろう。また、戸建て及び分譲マンションを含め、築30年以上経過すると、この問題は、顕著に現れてくる。その理由は、建物が築30年ということは、そこに暮らしている人たちも当然それ相応の年齢に達しているということである。特に、核家族が進んでいる社会においては、この問題は、世の中に大きな影を落とすとともに、震災等による災害が起きた場合の対策を想定すると、行政においても空き家(空き室)問題は、ほっとくわけにはいかないだろう。

 そこで野村総研の試算から、分譲マンションの空き室問題としてとらえてみる。この場合、築30年以上のマンションを想定してみる。

【分譲マンションの空き室】

 ・2013年の空き室:18万9千戸

 ・2018年の空き室:33万7千戸

 ・2023年の空き室:58万2千戸

 築30年以上で10年後の分譲マンションの空き室は、58万戸に上ると推測される。

【新たな管理組合の問題】

 以下のことが想定されるだろう。

1 マンションの空き室問題は戸建てと違い、簡単に撤去

  できない。

2 マンションの建て替えも簡単ではない。

3 マンションは民民の問題であり、行政が関与しにくい。

4 管理組合の役員の成り手がなくなる。

5 マンションの空き室の所有者が誰であるか分からない。

6 管理組合として誰に管理費等を請求すればよいか分からない。

7 マンションの空き室が増えると、マンション全体がスラム化

  してくる。

8 マンションの空き室が増えると、マンションの資産価値が

  下がる。

 など。

| 2014年11月21日 | カテゴリー 管理組合の悩み 

【自治体運営困難62%/全国世論調査】

 

 今住んでいる市区町村の人口が減り、将来の自治体運営が難しくなると感じている人は計62%に上ることが、山陽新聞社加盟の日本世論調査会が9月27,28両日に実施した人口減少問題に関する全国面接世論調査で分かった。

 日本の人口減少に関し『大いに不安を感じる』『ある程度不安を感じる』と答えた人は計84%に達し、少子高齢化が急速に進む中、本格的な人口減少社会の到来への懸念が強まっている状況が浮かんだ。

 『大いに不安を感じる』『ある程度不安を感じる』のうち、不安を感じる理由(二つまで回答、上位三つ)として、『年金や医療などの社会保障制度が破綻する』が60.1%、『働き手が少なくなり、経済力が衰える』が47.8%、『子どもや若者が減り、社会の活力が失われる』が46.4%の順であった。

 自治体の運営が難しくなると答えた人は、規模別では町村(70%)が東京特別区と政令指定都市(54%)を大きく上回っており、地方での危機感の強さがうかがえる。

 効果的だと思う人口減少対策(二つまで回答)は『子育て世帯への支援策の拡充』(49.2%)、『医療や福祉サービスの充実』(39.5%)の順だった。

 

(岡管連から)

【管理組合の運営が困難】

 上記のことをマンションについてあてはめてみますと、管理組合の半数程度、その運営が難しくなると予想されます。

―管理組合の運営が難しくなるマンションとは?―

・夫婦又は一人住まいが増える/孤独死、孤立死の可能性

・駐車場が不要になってくる/使用料収入が入らない

・空き室が増えてくる/死亡、施設入居等により所有者不明

・賃貸が増える/管理の意識がなくなる

・役員の成り手がいない/管理組合の運営ができなくなる

・意思決定ができない/総会開催ができない

・管理費等の滞納者が増える/維持管理等ができなくなる

・管理会社の負担が増える/本来業務以外への対応?

・年金生活者の増加/管理費等の値上げ?

・所有と管理の乖離/管理組合の破綻?

・社会と孤立/周辺自治会とのつながり?

・スラム化/維持管理不能

・周辺環境への影響/社会環境の悪化

・自治体関与の限界/建物等及び居住者への対応?

                       など

| 2014年11月15日 | カテゴリー 管理組合の悩み 

【近未来の姿】

 

 今春、72歳の男性が団地にある住宅で亡くなっているのが見つかった。「異臭がする」と近所の人が気づいたのがきっかけだった。

 団地で民生委員を務める女性(67)は「孤独死を防ぐ手立てはなかったか」と悔やむ。一人で70歳以上のお年寄り約280人を受け持つ。3分の1はひとり暮らしで、見守りの新たな担い手は見あたらない。

 団地の自治会は90年代から、高齢化時代を見据え、車いすの介助や電球の取りかえなど、お互いを支え合う運動を始めた。

 しかし、ある自治会では約30人いた支え手が半減し、70代が占める。若い世代の入会はない。自治会の支え手は「体が動くうちは続けたい」と話す。

 一方の豊洲。5歳以下の乳幼児は約8500人いるが、認可・認証保育施設の定員は3420人しかない。待機児童対策で保育施設の拡充に追われ、高齢者施設の整備は進んでいない。「30年後の絵はまだ描けていない」という。

 人口を吸い込みながら老いていく大都市の「近未来」を高島平団地が映し出している。

(注)下線部はこちら側で記載。

| 2014年8月12日 | カテゴリー 管理組合の悩み 

3 土地の市場価値の二極分化

 

  よく考えてみると、市場価値の高い地区の場合、相続人がいな

 いケースを除いて空き家が発生する可能性は低いと考えられる。

 つまり、空き家が発生するのは、市場価値が低い地区などに限ら

 れると考えることができる。

  マンションに限って言えば、いくら市場価値の高い地区であっ

 ても、区分所有者等がマンションの管理に無関心で、かつ、管理

 組合がその管理を管理業者に任せっきりで、総会・理事会が形骸

 化していて、問題が起きていても対応できないようなマンション

 も空き家(室)が発生する要因でもあろう。

  相続人がいない場合を除いて、空き家の発生は、住人なり相続

 人がより利便性の高い地域へ移住した結果であると考えられ、都

 市部であっても土地の市場価値が低い地域では、空き家が増加す

 ることが考えられ、マンションの場合、経年による『建物の劣

 』、備の老朽化・陳腐化』、加えて『賃貸化』などへの対

 応ができていないマンションは、さらに『空き室』に拍車を掛け

 るであろう。

(注)下線部は、こちら側が記載。

 

4 市場メカニズムを利用した対策

 

  空き家を生み出さない対策としては、前回で述べたように

 ・行政(公権力)による強制(空き家条例等)

 ・マッチングの改善(空き家バンク)

  などが考えられる。

  なお、税による経済的なインセンティブを用いた方策も考えら

 れるが、前に進んでいない。よく知られている固定資産税がそう

 で、土地に建物がある場合とない場合とでは税金が違ってくる。

 つまり、老朽化した家屋を解体して更地にしようとすると、解体

 費用ばかりでなく、より高い固定資産税の負担に直面することに

 なる。これにより、更地化が進まず、危険な家屋が残されるとい

 うことになってします。それでは、固定資産税の税率を特例で低

 くということが考えられるが、従来の更地と解体後の更地との税

 の公平・バランス、税の減免による自治体の税の減収等で、ネッ

 クになっている。

 

5 最後に

 

  今後も放置される空き家(マンション)が問題となり続ける

 が、空き家対策が進み、更地化が進行していけば、それはそれ

 で各地域の総更地化が進行するという経済面にとってもマイナ

 スではあるが、人口減少の側面から見ても、この更地化は避け

 ては通れず、将来を見据えた高い見地から、『日本の国土・

 インフラの維持管理』をどう保全していくか、そろそろ考える

 時期に来ているようである。

 

(注)下線部は、こちら側で記載。

| 2014年8月11日 | カテゴリー 管理組合の悩み 

【活況の東京 迫る老い】

 東京湾岸にタワーマンションが並ぶ東京・豊洲地区。

 高層住宅の建設ラッシュで、豊洲の人口は10万7千人と10年前の1.8倍に増えた。東京五輪の会場予定地にも近く、他の地域から人を集めて膨らんでいる。

 豊洲から北西へ約20キロ。中高層の集合住宅が64棟ひしめく東京都板橋区の高島平団地がある。29年前、この団地の人口構成は、現在の豊洲にそっくりだ。

 1970年代、「東洋一の巨大団地」と呼ばれた高島平は中流層が流入し、満杯の小学校は校庭にプレハブ校舎を建ててしのいだ。幼稚園に入る抽選には長蛇の列ができた。だが、この30年で地域の人口は3分の2に減り、4割弱が65歳以上だ。

次回へ続く。

| 2014年8月10日 | カテゴリー 管理組合の悩み 

1 増え続ける空き家

 

  一口に『空き家』と言っても形態は様々で、国土交通者中国

 地方整備局の資料『空き家問題を考える際の留意点』では、

 ・倒壊の恐れのある空き家

 ・密集市街地の空き家

 ・雑草が茂った空き家

 ・まだ使用できる空き家

 ・共同住宅(マンション等)の空き家

  などと類型化されている。

  こうして老朽化し、特に手入れもされない空き家(室)が増

 えると、犯罪のきっかけとなったり、放火や倒壊の危険性が増

 し、また場合によっては、隣家(室)や通行人にも大きな被害

 をもたらすこともありうる。

(注)下線部は、こちら側が記載

 

2 広がる『空き家対策条例』の制定

 

  こうした問題の解決には、空き家の所有者を探し出してきて

 必要な措置をとるようお願いすればよいのだが、実際には、所

 有者の確認自体が困難であったり、所有者の所在地や相続人が

 不明というケースも多くある。また特定できたとしても、所有

 者の資力などの関係で補修できなかったり、逆に資力があって

 も補修に応じてもらえないというケースもある。

  だからといって、空き家を放置しておいてよいというわけで

 はなく、近隣住民の皆さんに差し迫った危険性も発生している

 こともあり、全国的には空き家の所有者に管理や撤去を命令す

 る『空き家条例』を設置する自治体も増えてきている。

  例えば東京都足立区の場合は、解体費費用を助成する策が採

 られている。さらには、空き家のままにしておくのがそもそも

 の問題の源なので、住みたい人と空き家のマッチングを図る

 『空き家バンク』なるものの運用も始められている。

 

                                  次回に続く。

| 2014年8月09日 | カテゴリー 管理組合の悩み 

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