【世帯主の半数は60歳以上に】
分譲マンションの老朽化とともに、居住者の高齢化も進行している。(岡管連では、『二つの老い』と呼んでいます。)
国土交通省が5年ごとに実施している「マンション総合調査」によると、世帯主の高齢化率は年々上がっていて、2013年度は60歳代以上の割合が全体の半数を超えた。前回に比べて1割ほど上昇、14年前に比べて約2倍になっている。
こうした結果を踏まえ、建て替えや大規模修繕などのハード面だけでなく、高齢で独居の“おひとりさま”たちをどう支えていくのかが喫緊の課題になっている。隣人との接点や近所付き合いが少なく、孤独死につながる不安がつきまとうからだ。
管理組合は、老朽化による建て替えや大規模修繕など、土地と建物を維持管理するのが目的だ。だから、住民同士の見守りや親睦を図る自治会とは違う。
また、入り口であるエントランスのドアがオートロック式ならば、民生委員なども簡単には敷地内へ入れない。前出のBさんのように、異変が放置され、医療や支援に結びつかないまま、病状を悪化させる高齢者は増えているのだ。
だが、住民同士で高齢者の生活支援に力を入れているマンションもある。
このマンションは05年、管理組合とは別に『自治会』を発足させた。その傘下にある「長寿会」が、介護・認知症予防体操などのサークル活動やイベントを定期的に催している。趣味を楽しむだけでなく、高齢者のひきこもりや孤独死を防ぐための見守りや安否確認を兼ねている。
居住者は管理組合と自治会の両方に加入し、両組織をつなぐ“パイプ役”として兼任理事が設けられている。
「日頃の交流が、お互いの安否確認につながっているのです」と話す。
また自治会発足と同時に災害や事故・急病に備えて『居住者台帳』を独自に整備。それぞれの緊急連絡先のほか、血液型やかかりつけ医、既往症、常用薬、自力避難に支障があるのかまで詳しく記されている。
最初は『行政にも伝えない個人情報を、なぜ自治会に伝えなければならないのか?』と抵抗する人もいましたが、『命より大事な個人情報はない!」と説得したんですと。