管理組合運営

監事の職務

(2)業務監査

 c 総会決議違反・理事会決議違反の有無

   総会や理事会で決議された事項に違反して、理事長が職務執行をしていないかどうかも確認しなければ

  なりません。

   例えば、大規模修繕工事を実施する業者を総会決議において決定したにも関わらず、理事長が独断で

  他の業者に工事を発注していないか、理事会において管理費等請求訴訟のために委任する弁護士及び

  弁護士費用を決定したが、理事長が独断でその内容と異なる委任をしていないか等が挙げられます。

   また、総会や理事会で決定した内容を理事長が執行しているかどうかも、確認する必要があります。

 d 理事による不正の行為・著しい不当な事実の有無

   不正の行為とは、直接には法令、規約、使用細則等、決議及び規約違反には当たらないが、社会的に

  不当な行為を指し、著しく不当な事実とは、それを決定し行うことが妥当でない場合を指すと解され

  ます。

   具体的にどのような場合がこれに当たるかは、事案ごとに社会通念に照らして監事が判断することに

  なりますが、理事の利益相反取引につき、理事会の承認決議を経たものの、工事代金が著しく高額で、

  理事会が利益相反取引を行う理事の利益を図ろうとしていると疑われるような場合は、これに含まれる

  ものと解されます。

(著)横浜マリン法律事務所 弁護士 石川 惠美子 弁護士 佐藤 元

| 2019年5月17日 | カテゴリー 管理組合運営 

監事の職務

(2)業務監査

 a 法令違反の有無

   監事は、管理組合の業務が区分所有法等の法令に違反していないかを確認しなければなりません。

   区分所有法違反の有無の具体例としては、共用部分の管理に関する総会決議事項につき総会の

   多数決決議を経ているのか否か(法18条1項本文。例:大規模修繕工事の実施)、共用部分の形状

   または効用の著しい変更につき3/4の特別多数決決議を経ているか否か(法17条1項。例:機械式

   駐車場の撤去)、規約の変更につき3/4の特別多数決決議を経ているか、総会決議の議題は

   あらかじめ招集通知により通知されているか(法37条1項)、理事長は規約や総会議事録を保管して

   いるか(法33条1項本文、法42条5項)等が挙げられます。また、区分所有法以外の法令違反の

   有無の具体例としては、刑法違反等などが挙げられます(例:理事による管理組合の預貯金の横領行為

   は業務上横領罪に当たる(刑法253条違反)。)。

 b 規約、使用細則等違反の有無

   規約、使用細則等に違反しているかどうかも確認しなければなりません。例えば、役員の員数は規約で

   定めたとおりになっているか(標準管理規約35条1項)、役員及び役職の選任の手続きは規約に

   則っているか(同条2項、3項)、役員による利益相反取引の場合の手続きが履践されているか

   (同37条の2)、総会の招集手続きは規約に則っているか(同43条)、総会に先立って予算案、

   決算案、議案などを理事会で決議し確定しているか(同54条1項)、管理費等の滞納に対する法的

   措置を行うにあたって理事会決議を経たか(同60条4項)等が挙げられます。

(著)横浜マリン法律事務所 弁護士 石川 惠美子 弁護士 佐藤 元

| 2019年5月15日 | カテゴリー 管理組合運営 

監事の職務

監事の職務は管理組合の業務状況を監査することであり、会計監査と業務監査により行います(標準管理規約41条1項)。

(1)会計監査

   監事は、会計監査の結果を総会に報告しなければなりません(標準管理規約41条1項)。

   そのため、通常総会に先立って、収支決算報告書類により会計監査を行い(標準管理規約59条)、

   監査報告書を作成します。

   会計監査においては、適正かつ効率的に予算及び業務が執行されているか、管理組合の財産の現状は

   どのようになっているのかの2点の確認をポイントに、帳票類を含む会計書類全般をチェックすること

   になります。

   例えば、収支報告書を確認する際には、繰越金の処理が規約に従ってなされているか、予算で計上

   された項目ごとに対応して、その執行額が記入されているか等を確認します。

   また、監事自らが通帳等の原本を定期的に確認し、預金口座からの不正な引出しがないことや、

   会計帳簿の原本との整合性を確認することも重要です。

(著)横浜マリン法律事務所 弁護士 石川 惠美子 弁護士 佐藤 元

| 2019年5月13日 | カテゴリー 管理組合運営 

標準管理規約における監事の権限

① 調査権限

  監事は、いつでも、理事等に対して業務の報告を求め、又は業務及び財産の状況の調査をすることが

  できる(標準管理規約41条2項)。

② 報告義務

  監事は、理事が不正の行為をし、もしくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、または法令、

  規約、使用細則等、総会の決議もしくは理事会の決議に違反する事実もしくは著しく不当な事実

  (不正行為、法令違反等)があると認めるときは、遅滞なく、その旨を理事会に報告しなければならない

  (標準管理規約41条5項)。

③ 理事会に関する監事の権限

  監事は、理事会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない

  (標準管理規約41条4項)。

  また、監事は、理事に不正行為、法令違反等があり、必要があると認めるときは、理事長に対し、

  理事会の招集を請求することができ(標準管理規約41条6)、一定期間内に招集されない場合は、

  自ら招集することができる(同条7項)。

④ 臨時総会招集件

  監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を

  招集することができる(標準管理規約41条3項)。

⓹ 理事長の利益相反取引に関する監事の代表権

  管理組合と理事長との利益が相反する事項については、理事長に代わり、監事又は理事長以外の

  理事が代表権を行使しなければならない(標準管理規約38条6項)。理事長自身や理事長が代表者を

  務める会社が管理組合と契約をする場合は、管理組合と理事長との利益が相反するので、監事又は

  理事長以外の理事が管理組合の代表者として当該契約を締結します。

(著)横浜マリン法律事務所 弁護士 石川 惠美子 弁護士 佐藤 元

| 2019年5月11日 | カテゴリー 管理組合運営 

資産価値を守る管理 安さと質は両立せず

管理会社からは、「住民の無関心も問題だ」という声も多い。実際、撤退した案件の中には、住民自身が原因となったものもある。中堅の応募が集まったマンションでは、特殊な空調設備を修理すべく、住不建物は管理組合に対して管理費の値上げを再三依頼していた。

ところが、当の管理組合は理事会が開けないほど自分たちの住むマンションに無関心。ついぞ空調設備は修理されなかった。

神奈川県内のあるマンションは、管理費の安い独立系へと管理会社を変更した。ところが管理の質が下がって住民の不満がたまった結果、管理費の高い業者へ再度変更する羽目になった。管理組合からリプリース(変更)に関する相談を受ける彩の国マンション管理センターの代表理事は、「管理費の安さが満足のいく結果を生むとは限らない」と指摘する。

人手不足は業界共通の問題だけに、現状は気を吐く中堅管理会社も勢いがいつまでも続く保証はない。管理会社による物件の選別が加速すれば、住民側も住まいの管理について無関心ではいられまい。

マンション管理業協会の理事長は、「住民にとって管理会社は、言われたことは何でもやる『サーバント(使用人)』だった。今後は、管理の質が物件価格に反映される制度設計が必要だ」と訴える。

限界に達した使用人は、主人に対していよいよ反論を翻した。「安くてよい管理」が限界に達する中、資産価値を維持すべく、管理会社も住民も多少の痛みは覚悟する必要がある。

| 2019年4月11日 | カテゴリー 管理組合運営 

時給を上げても管理人が集まらない

住不建物が今、住民からの批判を覚悟でマンション選別に踏み切った背景には、マンション管理業界が直面する深刻な人手不足問題がある。

問題は管理人や清掃員の数が追い付かないこと。数年前まで都内中心部で1000円以下だった管理人の時給は、今や1200~1300円まで上昇。それでも以前ほどは集まらない。

マンション管理業界が転機を迎えたのは、大手企業が相次いで定年を延長、再雇用を打ち出してからだ。管理人も清掃員も定年後の第2の仕事という側面があった。だが、こうした定年延長の結果、そもそも雇用市場に人材が流入しない。

管理会社も手をこまねいていたわけではない。定年延長や時短など、考えられる手は打ってきた。

ただ、こうした定年延長はあくまで対処療法に過ぎない。渦中にある住不建物の幹部は、「人材難は今後も好転しない。問題の根が深くならないうちに抜本的な対策を打たないと、いずれは日常の管理業務に大きな支障が出る」と断言する。そのための背策が戦線の整理というわけだ。

| 2019年4月09日 | カテゴリー 管理組合運営 

管理マンションの約1割から撤退へ

住不建物の管理するマンションのうち約1割を対象に管理組合へ解約の意向を伝え、粛々と撤退手続きを進めている。

撤退対象の多くは、地方や収支が赤字の管理物件だ。

都心のど真ん中にあるマンションで同社から解約を通告された物件もある。

住不建物は昨年、広がりすぎた戦線を縮小すると同時に、効率的に仕事を回していくために徹底した採算重視へと大きく舵を切ったのだ。

今回の方針転換で様相が変わった。

採算が合わなければもう受託しないというのだ。

まして管理委託業務で累積赤字が積み上がり、多少の値上げでは赤字を解消できない物件に関しては、容赦なく撤退する方針だ。

| 2019年4月07日 | カテゴリー 管理組合運営 

漂流し始めるマンション

住友不動産建物サービス(住不建物)は今、同社が進める「マンション選別」の動きに、住民に大きな波紋を広げている。

築十数年のマンションは本来、18年3月に更新契約を交わすはずだったが、正式な契約を延期。暫定的に9月末まで管理を継続する契約を結び、一方で管理費の値下げを求めていた。数回の話し合いの末、月額32万円の引き下げでほぼ合意に達しかけていた。

その後、理事会当日、住不建物担当者は理事に切り出した。「長いお付き合いでしたが、当社は手を引きたいと考えています」。あまりに一方的で唐突。しかも当該担当者の説明が要領を得ないため、理事会メンバーは困惑するばかりだった。

聞けば、当該担当者にとっても解約は寝耳に水で、8月に入って上司から突然、支持されたのだという。そのときに上司から聞かされたのは、このエリヤから撤退し、都心部に人員を集中させるという会社の新たな方針だった。

結局、住不建物の撤退意向を翻意させられず、マンションの管理組合は押し切られる格好で解約をのんだ。事の経緯を説明するために住民説明会を開催する一方、新たな管理会社を公募。何とか期限内に別の引受先を見つけることができたが、理事たちはその作業や手続きに忙殺された。

| 2019年4月05日 | カテゴリー 管理組合運営 

漂流し始めるマンション

  管理は受けて当たり前という時代は、終わりつつある。

  採算が悪化したマンションは、切り捨てられる。

管理会社にのしかかる『3重苦』

  ①成長性低下

   人口減少でマンションの新規供給は、右肩下がり。

   管理戸数を増やして利益を上げる戦略は、曲がり角に。

  ②人手不足

   民間の定年延長で、セカンドキャリアとしての管理人不足が深刻。

   正社員も住民のクレーム対応で疲弊し、離職率は高い。

  ③採算悪化

   人件費高騰の一方、管理費の値上げは住民の同意が得にくい。

   大規模修繕の受注で赤字を補填するマンションも。

| 2019年4月03日 | カテゴリー 管理組合運営 

賃借人が周りに迷惑をかける場合

 賃借人がルールを守らずに周りに迷惑をかける場合、賃貸人である区分所有者は、賃貸借契約に基づきルールを順守するよう求め、場合によっては賃貸借契約を解除することができます。

 しかし、賃貸人が対応してくれないとき、管理組合はどうすればよいでしょうか。

 区分所有者は、賃借人の立場を勘案し、管理組合との関係においても、直接に、

①規約または集会決議に従う義務(区分所有法(以下、「法」という。)46条2項)

②区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない義務(法6条1項、3項)を負うと定めました。

 したがって、管理組合は、賃借人がルールを守らず周りに迷惑をかける行為をした場合には、規約・集会決議に違反していること、共同利益違反行為があることを理由として、直接賃借人に対して、迷惑行為を「やめる」(差止請求・法57条)、あまりに酷い場合には「出ていけ」(引渡請求・法60条)と請求することができます。

 もちろん、迷惑行為により損害を受けた場合には、損害賠償請求(民法709条)もできます。

湯川・佐原法律事務所 弁護士 佐原 專二

| 2018年12月07日 | カテゴリー 管理組合運営 

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