【集合住宅 耐震改修は1割】
―住民合意づくり難題―
政令指定市と県庁所在地、東京23区の74市区で、自治体の助成で耐震診断をしたマンションなど集合住宅約2千棟のうち8割が耐震不足と判断されたが、耐震工事をしたのは1割だったことが分かった。工事負担の大きさや住民合意の難しさが、補強を遅らせているという。
耐震不足の建物について自治体は所有者に耐震工事を促しているが、診断後の対応を自治体が把握していた1569棟のうち、耐震工事に着工したのは176棟(11%)だった。
耐震不足51棟のうち工事実施が2棟だった東京都豊島区は『賃貸マンションはオーナーの一存で決まるが、分譲は所有者が多く、住民の合意形成が難しい』とみる。
日本マンション学会長の小林秀樹・千葉大学教授(住環境計画)は『耐震診断を受け、防災に積極的なマンションでも1割しか耐震改修をしていないのは深刻。自治体は改修助成の拡充や、管理組合の合意づくりへの働きかけに力を入れるべきだ』と指摘する。
*『災害大国 あすへの備え』は、5回シリーズで掲載します。