管理不全マンション

災害対応

 管理不全に関しては、災害時の管理不全を避けるための理事会の対応も重要な問題です。

 本来管理組合の意思決定は総会決議でなされますが、災害等が発生した緊急時には総会を開催することが困難であり、理事会が迅速に対処することが必要です。平成28年3月の標準管理規約改正により、災害時の意思決定について、新たな規定が設けられましたので、これを参考にしてください。

1 理事会の議決事項の見直し

  管理規約で、「理事会は、災害等により総会の開催が困難である場合には、応急的な修繕工事を実施でき

 る。」と規定することにより、二次被害の防止や生活の維持等のために緊急対応、例えば、ライフラインの

 応急的な更新、エレベーター付属設備の更新、炭素繊維シート巻き付けによる柱の応急的な耐震補強などが

 可能となります。

  その際は、当該工事を実施するために必要な資金の借入れや修繕積立金の取崩しについても理事会決議で

 行うことができると規定すべきです。

2 理事長の権限の見直し

  理事会の開催すら困難な場合に、理事長が「必要な保存行為を行うこととができる」と規定することに

 より、給水管・排水管の補修、共用部分等の被災箇所の点検、破損箇所の小修繕が可能となります。

(著)湯川・佐原法律事務所 弁護士 佐原 專二

| 2019年3月07日 | カテゴリー 管理不全マンション 

報酬(役員活動費)を支払う

 次に、役員に対して報酬等を支給(ないし増額)する方法が考えられます。

 これまでも標準管理規約に、必要経費の支払いと併せて報酬を受け取ることができるという規定がありましたので(第37条2項)、これを活用することになります。

 平成25年度マンション総合調査結果によると、役員報酬制度を導入している管理組合は全体の20.6%であり、役員一律で支払っている場合の報酬平均は月額2,600円です。無報酬が73.1%を占めていますが、これは、区分所有者の善意によるところが大きかったほか、報酬を受け取ることにより責任が増すのではないかと、心配する側面もあるようです。

組合協力金を徴収する

 輪番制で役員に就任することになっているのに、順番が回ってきても役員に就任しない場合、その人から「組合協力金」「理事会運営負担金」とかいう名目でお金を取る方法もあります。

 しかし、就任拒否者に過度な負担を強いることは許されませんし、一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければなりませんので(区分所有法第31条1項後段)、「組合協力金」などの導入に当たっては、事前に組合員の十分な理解を得ることが必要です。また、制裁金や罰金といった表現を避ける配慮は必要です。

 もっとも、お金さえ払えば役員から逃れられるというのではモラルが低下します。また、やる気も責任感も全くない人を無理やり役員にしても、役員としての責務を果たさず、組合運営に多大な支障が出るでしょう。

(著)湯川・佐原法律事務所 弁護士 佐原 專二

岡管連から

 組合協力金は、管理組合が自主管理で運営していてかつ、理事会の役員に就任する義務のない非居住者組合員に対して求めるものとされています。

| 2019年3月05日 | カテゴリー 管理不全マンション 

マンションの現状と課題

1 「二つの老い」

  築後40年を超えるマンションは、平成29年末時点では72.9万戸ですが、10年後には約2.5倍

 の184.9万戸、20年後には約5倍の351.9万戸と急増する見込みです。

  一方、マンションの世帯主の高齢化は年々進み、平成25年度マンション総合調査では、世帯主年齢60

 歳以上の割合は50.0%で、平成20年調査時の39.4%から大きく増加しています。

  ちょうど2世帯に1世帯が60歳以上という高齢化に突入しています。

  このように、「建物の老朽化」と「居住者の高齢化」という「二つの老い」に直面しています。

2 役員のなり手不足

  人は年齢を重ねると、どうしても精神的にも肉体的にも行動力は衰えます。

  もちろん、元気な人も大勢いるでしょうが、加齢に伴い組合運営よりも自分の健康の方が心配になり、

 マンション管理に対する意識は薄れがちです。

  しかも、高齢化に伴い介護施設に入所したり相続が発生したりして、住戸を賃貸に回せば、住んで

 もいないマンションの運営にますます興味がなくなります。

  その結果、管理に無関心な区分所有者等が増加し、管理組合の役員のなり手が不足するようになります。

(著)湯川・佐原法律事務所 弁護士 佐原 專二

| 2019年3月03日 | カテゴリー 管理不全マンション 

管理不全マンションの防止が狙い

 管理状況の届出については、15条から18条に規定されている。マンションの管理組合は、その管理状況に関し、マンションの適正な管理の促進に必要なものとして都規制で定める事項を都知事に届ける、としている。

 管理状況に関する事項について届出を要するマンションの管理組合から正当な理由なく届出がない場合には、管理組合または区分所有者等に対して、マンションに立ち入り、または職員等に調査させることができるとしている。

 また、届出を要する管理組合から正当な理由がなく届出がないときは、条例の施行に必要な限度において、当該管理組合に対して、必要な措置を講ずるよう指導し、勧告することができるとして、踏み込んだ措置を執ることも規定されている。

 都は、この条例策定にあたって、18年3月から11月にかけ、6回の学識者、マンション管理組合団体、管理業、マンション管理士などで、マンションの適正管理促進に関する検討会を開き、議論を重ねてきた。

 また、9月にはマンションの適正な管理の促進に関する制度の基本的な枠組み案をまとめ、パブリックコメントを実施した。

 都の調査によれば、都内には管理不全の兆候のあるマンションが相当数確認されている。

 管理組合がない、したがって理事もいない、いても理事会も開かれていない、管理費、修繕積立金もない、計画修繕を一度も実施していない・・・などで、こうした管理不全マンションを放置できない、ということが条例案制定の契機になった。

全管連会長 川上 湛永

| 2019年2月25日 | カテゴリー 管理不全マンション 

東京都がマンションの適正管理促進条例案

マンションに管理状況報告を義務付け

 東京都は2月13日、「東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例案」をまとめ、公表した。

 20日開会の都議会に上程する。マンションの管理不全を予防することが狙いで、管理組合に管理状況の届出を義務付ける。

 理事会が設けられていない、定期的な大規模修繕が実施されていないなど管理不全マンションの広がりは全国共通の問題になっているだけに、管理状況の届出のインターバルについては触れていないが、条例制定後、規則で定める。

 条例案は都議会で成立すれば3月中に公布、施行されるが、届出制度については、管理組合側の準備期間なども考慮、来年4月1日から施工される。

 条例案は、21条からなり、第3条で都は特別区、市町村と緊密に連携し、区市町村が行う施策に対し必要な支援を、としている。

 また、第9条で管理組合の運営体制の整備として、管理組合はマンション管理の主体として、運営体制の整備を行うとして、管理者を置き、管理規約を定め、毎年1回総会を開き、議事録を作成、さらに管理費、修繕積立金の額、徴収方法を定める、としている。

 また、13条では、マンションの維持保全の状況に応じ、一定の年数ごとに計画的に修繕を実施するとしている。

全管連会長 川上 湛永

| 2019年2月23日 | カテゴリー 管理不全マンション 

今後も増える「築40年」

 国土交通省によると、2017年末時点のマンションの総戸数は644万1千戸で、1533万人が居住する。

 ここ数年の新規分譲は10万戸前後。ピークだった2007年には22万7千戸が供給された。

 分譲戸数が急伸したのは1980年代。今後、築40年を超える物件は大幅に増える。

 17年末時点で築40年を超えたマンションは72万9千戸で全体の11%程度だった。

 築40年超のマンションは2027年に184万9千戸、37年には351万9千戸になると予測されている。

 国交省が5年に一度実施しているマンション総合調査(2013年度)によると、回答を得た2324件の管理組合のうち、老朽化対策について議論している管理組合は35.9%にとどまり、8%は長期修繕計画を作成していなかった。

*築後、30年、40年、50年超の分譲マンション戸数

  http://www.mlit.go.jp/common/001235973.pdf

 

| 2018年12月19日 | カテゴリー 管理不全マンション 

 豊島区の繁華街にある築37年、世帯数9戸のマンションは管理が完全に崩壊。

 外壁には深いヒビが走り、基部だけ残った塀の周囲にはごみが散乱している。

 マンション管理士は「長年積み立てていたお金が消えていた」と、管理の支援に入った15年当時を振り返る。

 金を預かっていた不動産業者から返却された通帳の残高は130万円だった。各戸の積立金は月約1万円。修繕実績はほとんどなく、帳尻が合わない。

 もともと外国人の入居者が多く、現在の区分所有者は全員が台湾人。

 マンション管理士は管理不全のマンションを支援する国のモデル事業に応募。

 住民の責任者を決めて管理の再建にあたる。借り入れはせず、積立金を使って段階的に修繕を進める予定だ。

 物件で最後の日本人だった70代の女性は新築時に入居した。今後の修繕に不安を感じて退去を決め、2年前、部屋を台湾人所有者に買い取ってもらった。

 今は新しいマンションも必ず老いる。国土交通省の調査によると、老朽化対策について議論している管理組合は4割に届かないという。

 数十年後、気付いたときには管理不全になっていた・・・。危うさを内包する物件は多いかもしれない。

岡管連から

自分たちのマンションは、自分たちで守る』という心構えがないとうまくいかない。

管理組合の主体は、区分所有者自身である』・・・誰かがやってれる、してくれるものではない。

管理会社に任せていればよいものでもない。

管理組合ができない部分を管理会社へ管理を委託するのが原則である。

管理会社も営利企業である。

建物等の維持管理が悪くなれば、人が離れる。

人が離れれば、当然に荒廃してくる。

建物等の維持管理をよくするするのも、悪くするのも居住者自身である。

区分所有者自身がマンションへの管理に関心を持たなければ、助けることはできない。

最後に、管理は自分たちが作り上げるものです。

| 2018年12月17日 | カテゴリー 管理不全マンション 

老朽マンション潜む危機

~雨漏り・ひび割れ・・・でも修繕するお金がない~

 全国で増加する老朽化マンション。計画の甘さや修繕費、管理費の不足から快適な住環境の維持が困難になる物件がある。

 空室が生じにくい都心でさえ、こうした問題とは無縁でない。

 分譲から年月が過ぎ「管理崩壊」の危機に直面した二つのマンションの実態を取材した。

 築40年近く。住民から「雨漏りがする」と声が上がり始めたのは4年前のこと。

 2017年秋のアンケートで20戸以上に雨漏りがあることが判明。

 水で床が緩み壁紙が剥がれた部屋もある。ここまで建物が傷んだのは修繕積立金の不足が原因。

 7割以上が賃貸に出されており、未収率は1割を超えた。

 管理組合の女性理事長は「分譲時から一度も値上げしていないことも資金不足につながった」と説明する。

 45平方メートルの部屋の修繕積立金は月約3500円。

 1平方メートル当たりに換算すると76円で、国がガイドラインで示す218円の3分の1の水準だ。

岡管連から

分譲マンションの賃貸率が5割を超えると、総会等での意思決定ができにくい状態に陥ります。

さらに、総会において、管理規約等の改正などで特別決議が要することについては、

すべての議決権及び組合員の4分の3が必要になってきます。

そうなると、重要なことを決議しようとしても何もできない状態になる可能性があります。

岡管連ではこれこそが『管理不全マンション』に陥ると考えています。

 

| 2018年12月15日 | カテゴリー 管理不全マンション