【地域社会の取り組みを取材】
東京23区に住む高齢者の『孤独死』とみられる事例は、2013年だけでも、年間2,700人以上と、過去10年で、約2倍に増加している。
そんな中、ある都内の町会が考案した装置が、孤独死を防ぐアイデアとして話題を呼んでいる。
一人暮らしのお年寄りが増加し、孤独死が問題になる中、声かけや見守り活動を行う自治体や町会が増えている。しかし、都心部では、こうした活動にも限界があるという。
A町内会長は、「ご覧の通り、高層マンションで、新しいマンションが比較的多いんですよね、このへんは、新しいほど、セキュリティが効いており、見守りがなかなか難しい」と話した。セールスなどを嫌い、インターホンに出ないお年寄りも多いという。
こうした中、東京・品川区のマンションに、ある装置が設置された。その名も『見守りドア』。
開発したのは、A町会で役員を務めるBさんで、大手電機メーカーで仕事をしていた経験を生かし、考案したという。
Bさんは、「時計を改造しておりまして、センサーが離れると、時計が止まります。センサーがくっつきますと、時計が動きますという、簡単な構造になっています」、「ドアを開けますと、センサーが離れますので、時計が止まりまして、再び閉めますと、時計が動き出す」と話した。
この『見守りドア』を、マンションの管理人などが、巡回で確認する。長時間、ドアの開閉がなければ、何か異常が起きた可能性があるとみて、警察に通報するなどの対応をとることにしている。
町会のエリアには、70歳以上の高齢者が179人暮らしているが、現在、15世帯が『見守りドア』を設置している。
一人暮らしの男性(82)は、「声をかけていただければ、1週間も10日も、気がつかれないということはありえない。非常に安心感がある」と話した。
一人暮らしの女性(82)は、「本当にこれは、声なき見守り番というか、優しい気遣いのお道具だと思って、ありがたいと思っています」と話した。
A町会では、装置を設置することで、周辺が一人暮らしの高齢者を気にかけ、新しいコミュニケ―ションが生まれることも期待している。
Bさんは、「この『見守りドア』を設置することで、早く異変に気づいてあげられます。それによって、孤独死が少しでも減るようになればいいなと思っています」と話した。
一人暮らしの高齢者の数は、今後も増加し、2035年には、762万人に達するとみられている。
『見守りドア』をきっかけに、隣同士で声をかけやすい雰囲気が生まれる。これが、町の人たちのつながりの大きな変化になっていくことを期待したい。
(岡管連から)
時間の経過とともに生じるマンションの『二つの老い』という大きなテーマと、『コミュニティの形成』とは、表裏一体の関係にありますが、その関係を理解していないマンション居住者が多いのもまた実態でしょう。
特にマンションの場合、社会との関係性が希薄になりがちにあり、医療・福祉などの面で、行政や町内会等が関与できにくくなっています。
管理組合としても、居住者への声かけや見守りなど生活面についても、取り組む必要性が生じてきています。