追い詰められる管理組合!/中部マンションたより より - NPO法人岡山県マンション管理組合連合会

追い詰められる管理組合!/中部マンションたより より

以下、2021年9月12日朝日新聞より抜粋

【マンションの理事長から】

昨年1月、神奈川県のマンション管理組合理事長は、業務委託契約している管理会社の担当者から、「会社の事情もあり、もう契約更新はできません」、と言われた。5年ほど前から契約しており、理事長は、「青天の霹靂、かなりのショックだった。」

【管理士会から】

東京都マンション管理士会によると、2年ほど前から、管理費の値上げに応じられず管理会社から更新拒否された管理組合が、新たな管理会社の探し方を相談してくるようになったという。

担当者は、「相談先には自治体の窓口などもあるため、合わせると都内で相当な数になるのでは」と話す。

業界紙「マンション管理新聞」が2019年に管理会社30社を対象に調査したところ、約7割が採算が取れないことなどを理由に管理組合との契約を辞退したことがある、と答えた。

【背景に管理にかかるコストの上昇がある】

不動産調査会社の東京カンテイによると、首都圏の新築マンションの管理費は、19年までの直近10年間で約18%上昇した。

【管理人らの人材不足】

かつて、マンション管理人は、「シニアの第2の働く口」で、60歳前半で定年退職した人たちが多く採用されていた。ところが、13年に施行された改正高年齢者雇用安定法で、希望者全員を65歳まで雇うことが企業の義務となり、定年退職者の採用が難しくなった。

【大学の専門家から】

マンション管理に詳しい横浜市立大学の齋藤広子教授は、「マンション管理の主体はあくまで住民で、管理会社はサポート役。住民の関心が薄く理事の成り手がいなかったり、工事の合意形成ができなかったりするとサポートができない。管理会社に丸投げするのではなく、自分たちでできるところから、管理方法を見直すことが重要」と指摘する。

マンションは私有財産である一方、管理状況は地域全体にも影響を与え、災害時には防災拠点にもなり、「公共財」に近い役割を持つ。昨年6月には、適切な管理を行政も後押しする改正マンション管理適正化法が成立。問題があれば、区分所有者や組合の求めがなくても行政が指導や助言をできるようになった。齋藤教授は、「行政も管理に関わる流れになり、今後も管理のあり方の分岐点が来ている」と話す。

2022年1月10日 | カテゴリー 管理組合運営