マンション管理と家計の微妙な関係(1)/マン菅通信2019・12 - NPO法人岡山県マンション管理組合連合会

マンション管理と家計の微妙な関係(1)/マン菅通信2019・12

1 マンション管理の現状と今後の問題

  2019年に国土交通省から発表された「平成30年度マンション総合調査」などの結果を見ても、

 この状況は明らかです。

  『ヒト=マンション住民の高齢化』については、永住意識が高まっている中、70歳代以上の住民の割合

 が増加する一方、30歳代以下の住民の割合が減少しています。管理組合の高齢化も進展し、運営に支障の

 ある管理組合が増え始めています。行政もその対応として2016年に「マンションの管理の適正化に関す

 る指針」の改正、2016年及び2017年に「マンション標準管理規約」の改正を公表したのは記憶に新

 しいところです。

  『モノ=マンションの高齢化』については、平成30年末時点の国土交通省の推計によれば築40年超の

 高経年マンションは81.4万戸あり、これらが適正に保守されないと、共用部分である外壁等の剥落、

 鉄筋の露出・腐食、給排水管の老朽化といった生命・身体・財産に影響する問題を抱えることになります。

 大規模修繕工事の周期を12年程度とすると、築40年以上のマンションの約4割、築30年以上のマンシ

 ョンの約2割で適時適切な大規模修繕が実施できていない可能性があると指摘されています。このような高

 経年マンションが今後10年後には現在(81.4万戸)の約2.4倍の197.8万戸、20年後には約

 4.5倍の366.8万戸となると同推計では予想されており、2021年4月に5年に一度改定される国

 の住宅政策である「住生活基本計画」でも「老朽化マンションの保全や再生」が主要な課題として上げられ

 ると思われます。

  『おカネ=財政状況の悪化』については、計画上の修繕積立金の積立額と実際の積立額の差が不足してい

 るマンションが34.8%(うち、20%超不足しているマンションが15.5%)になっています。

 また、管理費や修繕積立金を3ケ月以上滞納している住戸があるマンションは24.8%となっており、

 築年数が古いマンション≒高齢者の割合が高くなる傾向にあることから、ヒトとモノの問題がおカネの問題

 として顕在化している状況です。

(株)優益FPオフィス ファイナンシャルプランナー(CFP) 佐藤 益弘

2020年6月05日 | カテゴリー その他