マンションに必要な「防災隣組」と「互近助」
防災対策は「互近助づきあい」
半年後、通報・初期消火・避難誘導に功績があったとして、居住者5人に神田消防署長から感謝状が贈呈されました。
翌月、「緊急防災研修会」の講師として私が招かれました。
その時に「『互近助の力』を実践された皆様に心より敬意を表します」というと、会場から大きな拍手が沸きました。
フロアごとに「防災隣組」をつくり、お互いに近くで助け合う「互近助」の大切さを言い続けてきた私にとって、こうした成功事例は極めて嬉しい出来事でした。
そのとき私が提案した「回覧板を手渡しで」も、さっそく取り入れてくれました。
従来は掲示板に貼ったり、ポストに入れたりしていた告知文書を、フロアごとに回覧板にして手渡しすることになったのです。
隣近所の絆を深めるため、回覧板で日常的に声を掛け合い顔なじみになるようしたいとおっしゃっていました。
都会は隣人との付き合いが希薄と思われがちですが、地域によっては地方よりも熱心に安全・安心なコミュニティづくりに取り組んでいる町内会もあるのです。
超高齢化社会、マンションでも普段の見守りや安否確認、そして災害後のスムーズな復興のためにも「互近助」と「防災隣組」の推進が必要です。
管理組合が主導し、住民の意識啓発、気持ちよい挨拶のできる「互近助づきあい」を図るべきではと考えます。
(著)防災システム研究所 所長 山村 武彦