マンションに必要な「防災隣組」と「互近助」
ご近所の力で延焼を食い止める
その日、朝8時半頃火災報知器のベルが鳴りました。
住民たちは非常放送で20階からの出火を知ります。
ドアを開けると、20階から上の階の窓の外や吹き抜けに煙が充満していました。
炎は窓から吹き出し上階のバルコニーへと延焼しそうでしたが、上階の住民が機転を利かせ段ボール箱など燃えそうなものは全部室内に入れます。
火元に駆け付けた住民たちは、訓練通り姿勢を低くし消火器、消火栓を使って初期消火にあたりました。
周囲の人たちが119番通報し、ドアをたたいて住民全員の避難誘導を行いました。
避難場所は「ご近助まつり」会場だったので避難しやすかったと言います。
短時間に避難が完了し安否確認もスムーズにできたそうです。
消防隊が駆け付け連結送水管による消火活動が開始されるまで、住民たちの消火活動が続けられた結果、上階や隣接部屋への延焼を食い止め、出火した1部屋だけの焼失に止めることができたのです。
これこそお互いに近くで助け合う「互近助」の力です。
(著)防災システム研究所 所長 山村 武彦