施工不良か劣化か
裁判となるケースも少なくない。大阪地裁には建築関連の訴訟を専門に扱う「建築部」があり、常時10数件が係争中だ。
神戸・三宮の20階建てマンションの管理組合は昨年12月、施工不良で外壁の補修工事が必要になったとして施工会社などに約2億4300万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。
訴状によると、マンションは05年の完成で、15年に14階の外壁タイルが幅1.5メートルにわたって剥がれ、4階のベランダに落下、一部は歩道に散乱した。補修会社の調査で外壁全体の15%に問題があるとされた。
貼り替えを余儀なくされた管理組合は「タイルを取り付けるコンクリート面の処理に手抜きがあった」と主張。施工会社は「原因は経年劣化」と争っている。
大阪府豊中市の9階建てマンションでも、築12年だった14年、外壁の4割でタイルが浮くなどし、管理組合はタイル(縦5センチ、横10センチ)15万枚を交換した。昨年3月、施工会社に約5900万円の支払いを求めて提訴。会社は「施工は適正」と反論している
施工不良と劣化の見極めは難しい。建築部にいた高嶋卓裁判官は法律雑誌の17年9月号で、判断基準の目安を公表。建築士らと検討を重ねた結果として、築年数に応じ、施工不良が疑われる外壁の破損割合を、施工5年超から10年以内は3%以上、15年までは5%以上 などと示している。
岡管連から
岡山市のマンションでも外壁タイルの剥落落下があり、同マンションの外壁の縦横2メートル程度のタイルが2か所で剥落落下し、岡管連に当該問題が持ち込まれた事案では、解決までに以下のような主な経緯があった。
・タイルの剥落落下
・売主、施工会社に相談
・施工会社等は責任回避
・半年後、岡管連に相談
・岡管連の会員である1級建築士に相談後、弁護士に話を持ちこむ
・弁護士と相談後、調停を申し立てる
・約1年かけて調停が成立
・調停成立後の約1年後、外壁タイル貼り替え工事が始まる
・約半年かけて、外壁タイル貼り替え工事化が完了
*問題発覚後、外壁タイル貼り替え工事が完了するまでに約3年半の時間を要し、役員の苦労、弁護士費用等、また役員の交代等、理事会としての対応が追われた事案であった。