高経年マンションと長期修繕計画
国土交通省の発表によると、平成28年末の時点において、築30年を超える高経年マンションは全国で172.7万戸を超え、今後も増え続けることが指摘されています。
高経年マンションでは、部材や機器類の物理的な劣化に対応するものだけではなく、生活様式の変化や生活水準の向上に対し、新築時の建物や設備の性能が対応できなくなる「社会的劣化」の改善も求められてきます。
省エネや機能向上を目的とした改良工事も計画修繕としてとらえ、計画に盛り込む必要があるでしょう。
社会的な劣化に対する改良・改修工事は、その実施時期を判断することに明確な基準はありません。
いつ計画し実施するのかは、管理組合によって様々です。
そして、大幅な改良工事を検討する中でよく話に出るのが、建物全体の「寿命」です。
「建物の寿命を60年と想定すると、築50年目に1住戸当たり100万円をかけてアルミサッシを更新するのはもったいないのでは」といった内容です。
一方で「建物を100年以上持たせることができれば、50年目に計画するのも妥当」という意見も聞きます。
耐震性の確保が技術的に難しい場合や、設備の改善が構造的に困難である場合を除けば、長期修繕計画上では、建物を100年以上持続させることを前提に見直していくべきと考えます。
建物を解体するには、大規模修繕工事1回分以上の工事費がかかるともいわれています。
少なくとも、建替えを想定して、その時期には積立金がゼロになっても構わないといった長期修繕計画の見直しは避けるべきでしょう。
(著)一般社団法人 マンションリフォーム技術協会 水白 靖之
岡管連から
大規模修繕工事の負担金として、戸当たりの目安として、100万円超の金額が想定されています。