多額の費用を要する昇降設備の修繕工事
すべてのマンションにある設備ではありませんが、多額の費用を要する修繕工事項目として、2つの昇降設備があります。
1つは人を運ぶエレベーター設備で、もう1つは多くの車を重層的に保管する機械式立体駐車場設備です。
それぞれの機械設備メーカーは異なりますが、いずれも概ね25年目の更新工事を推奨(必ずしも25年に実施する必要性はありませんが)しており、長期修繕計画に計上している事例が多いのも現状です。
工事費用は、エレベーターに関しては1基1千万円前後、機械式立体駐車場については車1台分あたり100万円程度の費用を試算している場合が多いでしょう。
設備の更新工事の際には、現行の基準に則ることが推奨されますが、建物の構造や規模などの問題で、最新の基準に沿った設備を導入できないケースや、多額の付加工事が必要となる場合もあります。
長期修繕工事の見直しの際には、できるだけ具体的な更新設備の範囲や仕様を、専門工事会社等からのヒアリングを通して把握し、管理組合として、どこまで「改善」させるかの検討が必要でしょう。
また昨今では、稼働していない機械式立体駐車場を抱えているマンションも多くなってきています。
維持費用が掛かる上に駐車場利用料金の収入も減ってしまい、管理組合の資金状況を圧迫する場合もあります。
機械式立体駐車場を廃止(撤去)して、平面式の駐車場にしたり駐輪場に改修したりと、改善策を講じている管理組合も多いのですが、駐車場関係の収入と支出が長期修繕計画に与える影響は大きく、将来の駐車場計画をどのように考えていくかで長期修繕計画は大きく変わってきます。
(著)一般社団法人 マンションリフォーム技術協会 水白 靖之
岡管連から
管理組合の収支計画の視点で見ると、昇降設備の修繕工事等について、管理組合の運営上の大きな問題点が見えてきます。
第1点として
駐車場収入は、多くの管理組合において、管理費に繰り入れられるのが一般的です。
第2点として
多額の費用を要する機械式立体駐車場設備の維持管理費用は、多くの管理組合において、修繕積立金から支出されるのが一般的です。
第3点として
エレベーター設備及び機械式立体駐車場の更新時期が、25年~30年というほぼ同時期に更新を迎える。
資金計画にあたっては、25年から30年先の見通しが必要になっています。
さらに付け加えますと、第2回目の大規模修繕工事(25年目が目安)では、内部の排水管工事で、配管の更新の時期でもあります。
修繕積立金に関し、年金生活者も多く、大きな問題となってくると思われます。