本判決を受けての管理組合の対応
本判決は、標準管理規約ベースの規約において、あくまでも理事長の職を解くことを理事会決議で行うことが可能と判断したものであり、役員としての地位そのものをはく奪することまでも理事会決議で認めたものではありません。
役員としての地位を失わせるためには、標準管理規約ベースでは総会決議が必要になります。
本管理組合も、理事解任は総会決議によっています。
したがって、仮に総会の招集にも応じない管理者である理事長につき、あわせて役員としての地位も失わせることとするのであれば、まずは理事会決議で理事長の職を解いて新たな理事長を選任し、その理事長が、規約で定めた手続きに従い総会を招集して、当該総会において役員解任決議を経るという手順を踏むことに留意しましょう。
以上のような状況にある管理組合では、理事一人一人が、区分所有者から付託を受ける立場で管理組合運営に向き合い、理事会として適切に対応していくことが求められることになりましょう。
佐藤貴美法律事務所 弁護士 佐藤 貴美