組合担い手不足 建物の荒廃進む
管理組合はマンション内のルールを決めたり、管理や修繕の費用を集めたりする。共同生活には欠かせない仕組みだ。管理組合があって今は正常でも、建物と住民の「二つの老い」が進むマンションは多い。役員のなり手不足や空室の増加が深刻になれば、管理組合はいずれ機能しなくなり、荒廃は避けられない。
改修か建て替えか、それとも解体か。判断を迫られる住民一人一人がもっと管理に関わる必要がある。連載でこう訴えると、多くの声が寄せられた。予想以上だったのは、管理や修繕を任せた業者への不信の高まりだ。「任せきりはやめ、住民主体で管理する大切さは分かった。でも住民をサポートするはずの業者の不正はどう見抜けばいいのか」。業者の管理費着服や工事のトラブルは各地で起きている。訴えは切実だった。
全国マンション管理組合連合会の川上湛永会長は「悪質な業者にとって住民をだますのは赤子の手をひねるように簡単。高齢化が進み資金力も低下する中、住民は最低限の知識を身に付ける必要がある」と指摘する。
6年前。家族や地域の絆をテーマに連載をした際、作家の重松清さんに聞いた話を思い出す。「昔のようなご近所との濃厚な人間関係はうっとうしくもあった。オートロックのマンションで絆を断ち切ったのは、僕たちだった」
近所付き合いがいらず、プライベートが守られることを理由に、マンションを買った人は多いはずだ。しかし、築年数がたつと、皮肉にもマンションこそ、住民同士の協力が必要になってくる。専門家や他のマンションとのつながりを活用し、業者と対等な関係を結ぶ一歩を踏み出してほしい。その助けになるような取材を今後も続けたい。
岡管連から
管理業者にとって、管理組合は『金の卵を産む鳥のかご』である。なぜなら、
・一度契約を結べば、毎月一定の収益が望める。
・一度契約を結べば、よほどのことがない限り逃げることはない。
・管理組合が管理業者に管理を委託しているのだが、住民が全く無関心であるため、
その立場が逆転している。
管理業者にとって、これほどうまみのある商売は、どこを探してもないだろう。