分譲マンションは、建物の完成時にすべての住戸が分譲される。したがって購入する人の年齢層や家族構成、経済状況などが似通る傾向にある。こうした傾向は入居者にとってはある意味心地よいものだ。同じような価値観を持った人たちが希望をもって新しいマンションに移り住む。家族もほぼ同じような構成で世帯収入もあまり変わらない。築年数が浅いうちは、所有者の間で大きな格差がつくことも少ないので管理組合の運営も比較的容易な場合が多いものだ。
ところが築年数が経過していくと、初めは「同じ」であった所有者間に格差が付き始める。うまくいく人もいれば、経済的に落ち込んでしまう、健康などを害してしまう人も出てくるのが人生だ。同じはずであった価値観にも微妙な「ずれ」が生じ始めるのが、建物の老朽化にともなって大規模修繕が必要になってくる築30年超あたりからなのである。
この時期に、年金暮らしがままならずに管理費や修繕積立金を滞納する高齢者がいる。相続したにもかかわらず、空き家住戸のまま放置し、管理費や修繕積立金の支払いを行わない相続人がいる。多くのマンションでこうした問題が顕在化し始めているのである。
(著)オラガ総研株式会社 代表 牧野知弘
(岡管連から)
マンションの場合、建物の住戸の一つに住民が一人でも住んでいれば、空き家対策法の適用外であることを、付け加えておきます。