長持ちへ知恵集め
京都市右京区の「西京極大門ハイツ」(築41年、190戸)の日曜喫茶は2008年から続く。運営するのはボランティアの住民。マンションに隣接する3階建ての棟の1階で朝食を100円で提供している。3階には絵本を貸し出すミニ図書館があり、住民以外も無料で利用できる。管理組合の佐藤芳雄理事長(66)は「住んでみたいと思われるマンションにして、資産価値を高めたい」と、その狙いを語る。
約30年前、管理会社に任せて大規模修繕工事をした際、積立金が修繕に必要な額の1割にも満たないことがあった。金融機関の融資でしのいだが、それ以来、人任せはやめようと決めた。自主管理に切り替え、管理人や清掃員に住民を雇い、経費を減らした。
この5年間で約25世帯が入居したが、大半が子育て世帯だ。マンションの価格も、佐藤さんが新築で買った時より約3割上昇した。
千葉市美浜区の「稲毛海岸三丁目団地」は築49年。768戸の団地は建て替えを諦めて、「築80年」を目指している。昨年の大規模修繕工事では、30~80代の住民約20人が「支援隊」を結成。工事のために必要だった高齢者宅の家具の移動などを手伝い、500万円ほどの経費を削減した。管理組合の久保田博理事長(77)は「高齢者には重労働。住民の団結で負担を減らしたかった」と話す。
面識のなかった住民同士につながりが芽生える効果もあった。今は買い物やごみ出しを代行する「生活支援隊」の結成を検討中だ。若い世代を呼び込もうと、空室を若者向けに改装する試みも始めた。久保田さんは「幅広い世代が協力し合い、後世に残せるマンションにしたい」と願う。
築50年以上のマンションは全国に3万戸。10年後は56万戸に増える。建物と住民の「二つの老い」の克服を目指す取り組みは、各地で進みつつある。成功するかは住民の知恵と結束にかかっている。
マンションを後世に残すには
♦住民主体で管理する自覚を持ち、計画を立てて修繕する
♦価値を高めるためのアイデアを出し合う
♦幅広い世代が住みやすいように住民同士が助け合う
NHK「おはようニッポン」(5月13日)で取り上げられた
京都市右京区の「西京極大門ハイツ」は、NHK「おはようニッポン」で取り上げられました。
その番組の中で「マンションは住んで初めてマンションであって、住まなくなったマンションはただの粗大ゴミ」であるという専門家の話が印象的でした。
岡管連から
・マンションを購入する場合、『マンションは管理で買え』とよく言われるが、当初から管理が付いている
わけではなく、管理は住民同士で作り出すものである。
・そのマンション管理の基本は、住民同士のコミュニティにある。
・マンションが『終の棲家』になりつつある中で、住民同士の『お互い様の精神』が必要である。
・管理組合の運営には「井の中の蛙大海を知らず」ではなく、『外部との交流』が欠かせない。