任意の回収手続き
任意の回収手続きには、書面による請求、自宅訪問、配達証明付内容証明郵便による催告書の送達等が挙げられます。
任意の回収手続きは、内容を公正証書として作成する以外は、法的強制力はなく、滞納者との話し合いにより支払いを促すことになるため、滞納者の財政状態によっては、全額回収するに至らない場合も多く見受けれれます。
このため、これらの手続きにより、滞納管理費等の回収に結びつかない場合には、法的措置を検討する必要が生じます。
任意の回収手続きの種類と特徴
1 書面による請求
・書面(請求書)を滞納者へ送付して、支払いを促す手続き。
・滞納者の現住所が不明な場合は送付できず、住所移転を把握していないと、送付しても返送されるため、
効果は限定的。
・滞納者が受け取った場合でも、無視されるケースも多い。
2 自宅訪問
・滞納者が応じた場合に、実施可能な手続き。
・現在の資産状況等、実態を把握し、支払い意思の有無を直接本人に確認できず、支払計画書などを取り交
わし、支払いを促す。
・多重債務者等の場合、面会に応じないケースもあり得る。
3 配達証明付内容証明郵便による催告書の送達
・心理的効果を期待して、支払われない場合には、法的措置を講ずることを予告する内容を含む催告書を
作成し、これを管理組合理事長名ないし管理組合の代理人弁護士名で送達する手続き。
・管理費等の消滅時効を、一旦(6か月)中断する手続き。
4 任意の交渉
・裁判外で、弁護士に代理人を依頼するなどして、滞納者と交渉し、合意に至った場合は、和解契約を
締結し、和解書等を作製する手続き。
・和解書等を公正証書として作成しておくこと、債務名義となり、後に紛争となった場合に、訴訟等を
起こさずに強制執行可能。
(著)公認会計士・税理士 吉岡 順子