マンションの空き家問題を考える(1)/マン管通信2017・1 - NPO法人岡山県マンション管理組合連合会

マンションの空き家問題を考える(1)/マン管通信2017・1

1 マンションの空き家はどれだけあるのか

  マンション(区分所有の住宅)で空き家がじわじわと増えています。国土交通省が住宅・土地統計調査を

 再集計したところ、築年数が古いマンションほど空き家率が上昇し、1970年以前に建設のマンションで

 は平均で11.1%、つまり、10年に1件以上が空き家となっていました。

  空き家率について次のことが言えます。第1に、空き家率は築40年を超すと、築年数が古いほど高くな

 るわけではありません。築年数が経てば、空き家率は高いところから低いところに広がっていきます。第2

 に、空き家率が高いマンションは、必ずしも駅から遠い、バス便のマンションとは限りません、このこと

 は、マンションの空き家率は、動かせない立地にだけ大きく依存しているのではないことになります。

2 なぜ空き家になるのか

 ① 第1は、大幅な売れ残りによる空き家です。

 ② 第2は、セカンドハウスや倉庫としての利用等です。

 ③ 第3は、売却希望ですが、売却できない状態です。

 ④ 第4に、賃貸にしても借り手がない場合があります。

 ⑤ 第5に、マンションの相続放棄による空き家です。

 ⑥ 第6に、グローバル化の影響による外国人所有やファンド所有等、投資を目的とした住戸所有の空き家

   があります。

 以上のように、少子高齢化、人口・世帯減少、生活スタイルの変化、社会状況の変化、そしてグローバル化

等を背景に、空き家化が様々な理由から進んできているのです。

(注)空き家対策法では、空き家等にはマンションの住戸単位の空き家は含まれていません。

                        (著)横浜市立大学国際総合科学部 教授 齋藤 広子

2017年2月17日 | カテゴリー 空き家問題