施工会社の選定手順
4 見積内容の比較および面談(ヒアリング)
各社から見積書や提案内容が提出されたら、理事会や専門委員会においてこれらを精査し、面談(ヒアリ
ング)を行う会社を選考します。
見積りの単価や計算に不備がないか、項目に漏れはないかどうかの確認はもちろんのこと、価格の妥当
性、他社との比較で極端に安値や高値の項目がないか、著しいバランスを欠いたりしていないかなどをし
っかりとチェックすることが大切です。
工事項目別の一覧表や細目の比較表、分かりやすい分析グラフなどを作成して比較検討します。
ヒアリングでは、施工会社から自社のPRも含め、施工計画、施工体制、工事中の居住者対応やアフタ
ーサービス対応などについての説明を受けます。
最近は大変わかりやすい説明資料を準備してヒアリングに臨む施工会社が少なくありません。
説明内容や質疑応答を通じて、各社の取組姿勢や受注意欲を感じ取り、工事に対する理解度、施工や安
全管理体制に問題がないか、工事中の居住者サービス内容、保証やアフターサービスなどについての細部
を確認します。
また、見積内容を精査した結果に基づく価格交渉や、必要に応じて再見積りの提示などを要請します。
ヒアリングには一般に現場代理人といわれる「現場監督」の予定者についても出席を依頼し、面談によ
り人柄や経験、コミュニケーション力などを確認することが望まれます。
工事の品質確保や円滑な進行は会社の規模や知名度などではなく、現場監督の力量に大きく左右されま
す。
限られた時間の中で人柄や力量を判断するのは難しいことも事実ですが、服装や挨拶の仕方といった第
一印象、話し方、質問に対する受け答えの仕方といったことなども重要な評価の一つになり得ます。
5 工事発注先の決定
提示された見積価格に加え、提出資料やヒアリングなどで確認した諸事項の総合評価により、専門委員
会で施工会社を選出し、その結果を理事会に答申します。
理事会では専門委員会から答申を確認して発注先となる施工会社を内定し、総会における承認を受けて
正式に施工会社が決定されます。
総会では、工事の内容、工事金額、資金計画、施工会社などについての承認を得ますが、施工会社の選定
のプロセスや内定に至った理由をきちんと説明し、正確な情報を開示することが必要です。
(著)日本建築家協会メンテナンス部会員 奥澤 健一