マンションの健全化業務への取組
1 無料相談会で雨漏りの相談
平成26年3月末に、Kマンション(築20年、32戸)管理組合(以下「K組合」という。)の組合員
が無料相談会に来て、「雨漏りがひどく、管理会社にお願いしても、何もしてくれない、どうすればよいの
か」との相談がありました。
相談会当日は規約等の資料の持参がありませんでしたので、後日資料を見て説明するために訪問すること
としました。
数日後、K組合に伺って、集まった7~8名の組合員から話を聞きました。
販売会社との入居時の覚書で、理事長が選出されるまでは管理会社A社が管理者としていますが、理事長
が選出されないまま現在に至っていて、入居開始以来、総会が一度も開催されていないとのことでした。
さらに、決算書も見たことがなく預金残高がどうなっているかも分からない、預金通帳も組合の印鑑もA
社に預け放し、管理委託契約書も分譲当初のままで更新されていない、理事会も組成されてなく全てA社に
お任せの状態等で、管理組合が全く機能していない状態でした。
A社や管理員に不平、不満がありながらも居住者同士の情報交換等もないので、どう対応したらよいか分
からないとのことでした。
2 A社の概要の調査
平成13年8月のマンション管理適正化法施行後もA社のようなことがあるのかと思いながら、先ず法務
局に行き、履歴事項全部証明書を取得してA社の概要を調べ、その足で、国土交通省東北地方整備局のマン
ションの担当部署に行き、マンション管理業者登録簿を閲覧しました。
そこには役員の氏名、資本金の額、税引き前当期利益0円、当期純利益0円の記載だけでした。
閲覧後、担当の方に相談してK組合での事実関係を伝え、今後の対応への協力をお願いしました。
(著)マンション管理士 山田 健二
(岡管連から)
K管理組合の問題点等を、ここで指摘しておきます。
① 管理組合が組織されていないため、総会もできない。
② それゆえ、当然理事会も存在しない。
③ その結果、管理会社に任せっぱなしであった。
④ 築20年の間、そのような運営状態でありながら、組合員誰一人、気付かない、指摘しない、
いかに無関心であったか。
⑤ その結果、管理会社が運営を主導していた。
⑥ 本来、管理組合が自主・自立であるべきであるところ、組合員から「管理会社にお願いしても、
何もしてくれない」といい、管理組合が委託者であり、管理会社が受託者であるにもかかわらず、
本末転倒な発言が出てくる。
⑦ そのつけは管理組合、すなわち組合員一人一人に負担がかかってくる。
⑧ 管理者(理事長)=管理会社は利害関係そのもので、まさしく利益相反取引に該当する。
⑨ この3月改正された標準管理規約に新たに第37条の2(利益相反取引の防止)が追加され、
それによると役員の利益相反取引の防止が図られている。
⑩ その関係から言えば、管理委託契約の更新手続きもこの20年間行われていない。
など 以上