滞納管理費等請求控訴事件:東京地判平成27年6月15日
本件は、マンション管理組合X(原告・被控訴人)が、滞納区分所有者Y(被告・控訴人)に対して、未払滞納金と違約金としての弁護士費用等について37万円余りを請求した事件ですが、本件マンションでは、旧管理規約は、月額で管理費の支払義務が規定されていましたが、その期限が明記されていなかったので、同規約を改正して、①修繕積立金支払義務の創設、②前月末までの支払義務、③年14%の遅延利息、④違約金としての弁護士費用並びに督促および徴収の諸費用を請求できる旨が盛り込まれた新管理規約に基づき請求したものです。
その後、Xは、Yに対する改正前の滞納管理費に係る不動産強制競売申立後にYから任意支払を受けたので、同申立てを取り下げましたが、強制執行費用として支出した実費を、管理規約の改正後に生じた滞納管理費等に加算して請求したところが本件の争点です。
コメント
本件控訴審では、「新管理規約中の違約金の規定は、組合員が滞納した管理費等に係る強制執行費用等を当該組合員に負担させることを目的として規定されたものであるから、その強制執行費用等が新管理規約設定後に発生するものであれば適用され、管理費等の滞納時期を問わないものと解するのが相当である。
したがって、(注・新管理規約設定前の未払管理費の確定判決を債務名義とする強制競売に係る)上記費用についても新管理規約が適用されるというべきである。」として、控訴を棄却しています。
(著)創価大学法科大学院教授・弁護士 花房 博文
(岡管連から)
標準管理規約がこの3月に改正されていて、今ある規約を、時代の変化に応じて改正していくことをお勧めいたします。
特に、管理費等の滞納の手続き等について、改正標準管理規約のコメントにおいて、詳しい説明がされていて、各管理組合に応じたものを規約に取り入れることができます。