3 廃止を検討する場合の注意事項
新築時にわざわざお金をかけて機械式駐車場にしているのには、いろいろな理由があります。一般的な
ものは附置義務台数の確保です。
多くの行政庁には条例で駐車場の附置義務台数の定めがあります。条例での義務付けがない場合でも、
市区町村と台数の協定を結んでいることがあります。
もしこの台数より減らそうとすると、当事者である管理組合と行政庁との折衝が必要です。
このほかに、マンションで販売上の武器になると売主が判断し、多めに設置している場合もあります。
この分は問題なく廃止できます。ただし、工作物として建築確認を受けている場合は協議が必要です。
次は工法の問題です。機械式といってもいろいろな種類がありますが、大きくは地上式とピット式に
分けられます。
地上式は単純に撤去すれば平置きになるので、特に問題はありません。
問題になるのはピット式(空洞)で、屋内・屋外を問わず、荷重の検討が必要になります。
屋内であれば、建物の杭にかかる荷重が変わるため、埋め戻す材料の荷重を確認する必要があります。
屋外でも、地盤によっては沈下または浮き上がりの恐れがあるため、同様に確認が必要です。
(著)一般社団法人マンションリフォーム推進協議会 小林 直樹
岡管連から
機械式駐車場は維持管理に相当な費用がかかるため、撤去する場合、管理組合として、様々なことを
想定して取り組む必要があります。次に主な検討すべきことを列挙します。
(現状)
① 機械式駐車場の耐用年数は、15年~20年。ペンキの塗替え等大きなメンテナンスは、
3年~5年に一度。
② 駐車場収入は、大部分が管理費に組み込まれているため、管理費収支は、駐車場収入で
バランスが取れている。
③ 機械式駐車場の大きな修繕等の費用は、修繕積立金から支出。
(撤去する場合)
④ 一定以上の駐車台数を確保する必要がある(附置義務台数)。
⑤ 当該設備が建築確認を受けているか確認する必要がある(固定資産税)。
⑥ 共用部分の変更であるため、特別決議が必要。
⑦ 地下式の場合、費用が多額になりその工面が必要で、修繕積立金を圧迫する恐れがあり、
組合員の理解が得られるか。
⑧ 規約改正や細則改正の必要の場合があり、規約改正の場合、特別決議が必要。
⑨ 損害保険の見直しが必要。
⑩ 駐車場収入が減少した場合、組合運営に支障をきたさないか。
⑪ 管理費の値上げを検討する場合もある。
など