【外壁落下のトラブル】
道路を歩いていたら上からタイルやコンクリートの破片が落下してきてケガをしたり、下に停めてあった車に傷がついたなど、所有者である管理組合の責任が問われる重大なトラブルに発展する可能性のある問題です。
外壁の回りで落下する可能性があるものは、タイルだけではありません。
付着力の低下した手摺笠木などのモルタルが部分的に落下したり、鉄筋爆裂箇所のコンクリート片が浮き上がって剥落することもあります。
金属手摺の付け根のアンカーが錆びて膨張し、回りのコンクリートやモルタルを押し出してその破片が剥落する事例もあります。
いずれも共用部分の劣化が落下の原因になりますので、管理組合は定期的に適切な補修を行い、これらの剥落・落下を予防することが求められます。
雨漏りの予防と同様、大規模修繕等の計画修繕工事の時に、タイルやモルタルの浮き、鉄筋爆裂などを十分に調査し、不具合箇所を見つけて確実に補修することが大切です。
日頃から、落下の可能性が予見されるタイルの浮き上がりや、モルタルやコンクリートの浮き上がり、ひび割れ等を見過ごさないようにすることも大切です。
(著)日本建築家協会メンテナンス部会員 江守 芙実
【特殊建築物の定期報告制度】
5階建て以上、延べ面積1.000㎡を超えるマンションは、建築基準法第12条に定める特殊建築物に該当し、以下の項目について3年に1度、定期報告を特定行政庁に対して行わなければならない。
1 敷地及び地盤:敷地内の通路、擁壁の状況など
2 建築物の外部:外壁の劣化の状況など
3 屋上及び屋根:屋上回りの劣化の状況など
4 建築物の内部:防火区画や、床、天井の状況など
5 避難施設等:避難施設、非常用設備の状況など
平成20年4月から、竣工後又は外壁補修工事後10年を経過したマンションは、それ以前は手の届く範囲に求められていた外壁の打診(タイルなど外壁を叩いた音から浮きの有無などを確認する検査方法)を、全面で実施し、その調査結果の報告も必要となりました。
(岡管連から)
新築後又は大規模修繕工事後の特殊建築物の定期報告では、外壁タイルなど躯体への付着物は、全面打診が必要になった。