【管理会社元社員が管理費等など1.8億円着服】
3月17日、北海道内大手のマンション管理会社の40歳代の男性社員が、担当していた13の分譲マンション管理組合から管理費等計1億8000万円を着服していたことが発覚したとの報道がありました。
不正の期間は、1999年12月~2015年1月の15年間に及ぶもので、その手口は業務指示書の不正発行や、領収書の偽造などによる不正な経理処理を繰り返していた模様です。
今回発覚したきっかけは、男性社員が担当していた一つのマンション管理組合から2015年1月下旬、『管理費等を別口座に移動したい』との申し出があり、既に引き出され本来とは別の口座で管理されていたことが判明したことのことです。
なお、長期間発覚しなかった原因は、男性社員がすべての管理費等を1人で管理していたことなどによることや、管理会社自体に社内チェック体制が機能していなかったこと。また、被害者側の管理組合においても、チェックが果たされていなかったことなどが指摘されています。
【管理組合が行う5つの対策】
1 面倒なことに関わりたくないと、特定の人や管理会社に任せてしまわない
2 通帳と印鑑を1人が管理せず、分離して管理
3 理事長と会計担当理事が定期的にローテーションで管理
4 請求書、領収書などの突合せや取引金額の証拠資料を確認
5 銀行預金の残高証明書の改ざんに対応するには、管理組合(理事会)自身で直接残高を確認
【善管注意義務】
民法に、『受任者(管理会社)は、委任の本旨に従い善良なる管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負う』とあります。また、標準管理委託契約書には、『乙(管理会社)は、善良なる管理者の注意をもって委託業務を行うものとする。』とあります。以上のように、管理会社には『善管注意義務』があります。
管理会社は単に受託業務を処理するだけでよいのではなく、専門家、そのプロとしての平均的な注意を尽くす必要があるということです。一般的にこれぐらいはと思われる注意をもって管理業務を行わなければなりません。ちなみに、管理組合の管理者である理事長にも区分所有法第28条により、上記委任に関する民法の規定が準用されています。
(岡管連から)
区分所有者である役員が無関心あるいは、管理会社に任せっきりにしていると、ある時気が付くとお金がない、お金が足らない、払えないなどという事態に陥ることがあります。
100戸程度のマンションであれば、修繕積立金は10年ほどで、1億円程度積み立てられます。
そのような事態に陥った場合、その損害を取り戻せなくなると、その損害金は、区分所有者全員に及ぶことになり、区分所有者全員がその負担を負うことになる可能性があります。
また、その損害金の負担が難しい場合、マンションの維持管理に重要な支障をきたす恐れが出てきます。